日本国憲法を考える (文春新書 35)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600359

感想・レビュー・書評

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  • 成立と運用の歴史的経緯と他国との比較において、憲法の問題点を抽出することにより改憲を推進しようとする試み。ロマン主義に陥る事なく冷静な分析がなされており、中々説得力があり読み応えがある。
    結局は理念主義・理想主義の護憲派と、実証主義・現実主義の改憲派との対立なのだろうが、世論の動向に反して憲法学者は護憲派が多いので必然的に出版物も護憲モノが多くなる。結果、「本読み」は現実とは乖離した護憲的思考が植えつけられる事になる。今後の国民的議論の展開を見据え、両者のバランスを取る上でも改憲モノが増える事に期待したい。

  • 著者:西修(1940-、富山県、法学)

  • 日本国憲法を神聖化せず、もっと議論すべきだし、必要なら改憲もすべきと思う。昨年可決の集団的自衛権に関する法案では、本来なら憲法解釈では無く、改憲すべきであったと思う。何故改憲しないのか。
    ー日本国憲法の神聖視ー
    連合国軍総司令部による自虐史観がまだこの国を蝕んでいるのかも知れない。

  • 憲法学会では珍しいと思われる、改憲派と目される先生の著書である。
    憲法の条文そのものにとらわれず、制憲された時の経緯、諸外国との比較、などなど明快な解説でわかりやすい。法律学とはこうでなくてはならないと思う。

    また、日本国憲法自体にも矛盾点や不合理な点があることを指摘する。環境権やプライバシー権、知る権利などの新しい人権が含まれていない、制憲当時の不手際がそのまま残っている(国会議員の総選挙なるものはない)など。前と後ろで不合理な点が多々ある。

    個人的な思いとして、法学は立法当時の政治的配慮や考えを見通した上で語られなければならないと考える。憲法の論議によくあると思われるのだが、条文そのものを抽象的に解釈し、論争に明け暮れている感を覚える。
    そういう意味では、この本は単純明快である。

  • [ 内容 ]
    現行憲法のここが問題だ。
    いたずらな“神格化”を排し21世紀日本にふさわしい新しい憲法像を提示する。

    [ 目次 ]
    日本国憲法、四つの“神話”
    成立過程の「自己欺瞞」とは
    『前文』―憲法の“顔”
    「象徴天皇制」の意義
    第九条と「特殊日本的平和観念」
    内閣法制局の第九条解釈を検証する
    人権概念の再構築―「共生の権理」をもとめて
    欠陥品としての第四章『国会』
    疑問視される内閣の危機管理能力
    「司法権の独立」再考〔ほか〕

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    [ 参考となる書評 ]

  • 文春新書から出ているという事実から推測される範囲内の内容。読者の素朴な疑問に答えようとしており、諸外国との比較も興味深いが、唐突な接続詞・あてこすりの類が頻出し、著者の意図に反して安心して読めるものではない。

  • 「憲法」の議論を聞いていると、非常に感情的なものが多い気がするが、この本は違う。非常に冷静に議論が進められている。彼は改憲派であるが、明治憲法ノスタルジアから来る「復古的」改憲派とは全く違う。改正するにしろ、しないにしろ、少なくとも憲法が時代の変化に追いついているかどうかの点検は怠るべきではなかった。それは国会議員の大いなる怠慢であると著者は説く。

  • 憲法というものに興味があるなら必ず読むべきだと思う。
    今まで習ってきた歴史、公民はいかにうそがおおかったかわかる。
    憲法に関する本でこれ以上の本はまだ読んだことない。

  • これも必読です。
    改憲派は読むべし。
    西修先生の鋭い指摘が光ります。

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著者プロフィール

西 修(にし おさむ)
1940年、富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程(憲法専修)、同博士課程修了。政治学博士、法学博士。駒澤大学法学部教授をへて、現在、駒澤大学名誉教授。専攻は憲法学、比較憲法学。メリーランド大学、プリンストン大学、エラスムス大学などで在外研究。第一次・第二次安倍内閣安保法制懇メンバー。第34回「正論大賞」受賞。主な著書に、『現代世界の憲法動向』、『日本国憲法成立過程の研究』(以上、成文堂)、『日本国憲法を考える』、『憲法改正の論点』(以上、文春新書)、『図説日本国憲法の誕生』(河出書房新社)、『国防軍とは何か』(森本敏・石破茂氏との共著、幻冬舎ルネッサンス新書)、『憲法の正論』(産経新聞出版)、『いちばんよくわかる! 憲法第9条』、『世界の憲法を知ろう』『証言でつづる日本国憲法の成立経緯』、『憲法9条を正しく知ろう』(以上、海竜社)ほか多数。趣味は落語で、芸名は「またも家楽大」。

「2021年 『知って楽しい世界の憲法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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