これでは愛国心が持てない (文春新書 550)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605507

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  • 自分の国、日本が好きかと聞かれてあなたはなんと答えるだろうか。政治家のパーティ券のキックバックのニュースばかりが流れ、失言・暴言が行き交い、ならば政権交代して心底安心して政治を任せられる政党の名を挙げられるか、と言われれば、とてもじゃないが失敗の過去が未だ私の記憶には深く刻まれ、交代すら考えることが出来ない(勿論やらせてみないと解らないが)。だから、自分の国を愛してるか、に対する答えはよく解らないとしか言えない。サッカーや野球、ラグビーの日本代表を応援したり、オリンピックやフィギュアで日本人選手を応援している時は勿論、日本人であることを誇りに思える。だが、いざ給与明細を見ながらこの国の先行きを考えると「自分の愛国心」に迷いが生じる瞬間がある。
    本書は愛国心を持てない筆者が、その理由の一部として、「北方領土問題」と「靖国問題」を挙げて、この国のダメな部分を語っている。思い出せばわたしの幼い頃などは「北方四島は日本の領土です」だったか、テレビコマーシャルに紛れてよく流れていたことを記憶する。歴史の授業でも地理の授業でも日本の領土として学んできたし、経緯や書籍を読みながら知識をある程度積み上げた今も、そう思っている。一時期はプーチンと安倍元総理が話し合えば半分だけでも返ってくるのでは(この時点で何故か自分が相手にややへりくだっている感じも出てしまうが)という淡い期待も抱いた。ウクライナ侵攻によりそれも夢と消えてしまったが。
    もう一つの問題である靖国問題も、そもそも問題として普通に認識してしまうレベルまで、中韓に操られている自分がいる。筆者の認識と同じく、何故他国にそこまで干渉されなければならないのか、といった感情は持ち合わせつつも、自分の好き勝手に振る舞えるほど世界は甘く無い。他国に弱みを作り、そこへつけ込むことで、自国の内部批判の目を外に向けさせるのはどの国も採る簡単、手っ取り早い手法である。元を正せば確かに日本が行ってきた過去の戦争が、相手から見れば「侵略」的な意味を持つのだから、日本の主張だけを一方的に声高に叫ぶのは良い態度では無い。とは言いつつも、ニュースで政治家の靖国参拝に対する各国の遺憾コメントを見る度に馬鹿馬鹿しくなる。何故一掃できないのかと。
    この辺りの話は非常に判りやすく、我が国の海外に対する態度が弱腰、はっきりしない、下手に構え過ぎでは?と疑問符だらけに感じる代表例だ。これら問題に加えて、沖縄の基地問題など戦後日本がアメリカに物申せない実態や、韓国に竹島を占領されても取り返せない現状など、平和憲法が国を縛っているのか、それでもことを荒立てない主義が必要な理由があるのか、最悪、本当に自衛隊の現状武装や核を持たない弱さが原因なのかと、色々考えてしまう。一体この国は何を考えて何を守ろうとしているのか。
    そうした意味で、前述の北方領土問題では1人の漁師の命すら守ることもできず、靖国問題においては自分の遺族にすら祈りを捧げられない人々がいるこの国に対して、愛国心を持てというのは確かに無理がある。私は決して日本が嫌いでは無いと思う。だが、もっと好きになれる国になるにはどうしたら良いか。課題が多すぎて、生きている間に一点の曇り無く愛せる国になっているとも、到底思えない。

  • 北方領土と靖国の話。

  • 北方領土問題と靖国問題。どちらも国内の意識の統一もできていない。
    著者の主張に全面的に頷けないのは、世代の違いからか。アメリカだってロシアだって日本人にひどい事をしたんだから、お互い加害者であり被害者だと言うのは、それ以外の国の人に主張できる話なのだろうか?

  • 識者は語る

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