誰も「戦後」を覚えていない [昭和30年代篇] (文春新書 674)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606740

作品紹介・あらすじ

日本人の本当の姿が見える昭和30年代を、政治、文芸、映画、音楽、テレビ、犯罪、災害など、世相の硬軟をとりまぜて、ユニークな視点からふり返る。大好評シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和30年台に入るとぐっと話が身近になる。昭和20年代と比べると断絶と言ってもいいぐらいだ。
    それは、メディアのせいだろう。テレビや週刊誌が出てきて、メディア露出も含んだ生活体験が、いま(というよりも私の子供の頃)に似てきた。

    ----

    中学生の頃、図書館の松本清張全集を読もうと戦ったことがある。黄土色に太いフォントの題名で、ズラッと並ぶさまは、迫力があった。恥ずかしい言い方だが、あれは「大人の階段」に見えた。ああいうのを読んで理解していないと、お子様なのだという感じがした。

    で、頑張って読んでみたけど、よく分からなかった。

    なんでそんなふうに思ったんだろうかと思っていた。周囲に松本清張好きの人もいなかったし。
    そしたら、この本で、

    「松本清張には、続く水上勉・黒岩重吾らと共に『社会推理』の名が付いた。うまい命名で、知らなかった(あるいは隠されていた)情報が開示され、その情報を使って社会の構造(特に権力の暗黒面)を推理し告発する・・・・」(P60)

    厨2病だったわけだ。私も、昭和30年台も。だから呼応したのか。
    でも結局は、よく分からないまま数冊読んでおしまいだった。ちないみに未だに苦手感がある。少年時代の挫折感は大きい。
    「おどろおどろしい割には、けっこう大味じゃないか」と思った記憶がある。

    ちなみに、私が今でも好きな清張作品は、「或る『小倉日記』伝」です。マイ・フェイバリット第4位というけっこうすごいところに位置しています。
    けっきょく、こういう大人になってしまいました。

  • 昭和30年代は小生が小学校に上がって、中学の終わりまでにあたり、社会の出来事や事件への目覚めや関心が始まった時期になる。
    本書に書かれている事件の大半や映画・テレビドラマなども、九州の片田舎の町に住んでいた割には、我ながらよく記憶しているものだと思う。にもかかわらず書評という観点でこの本を評価すると、新書の分量で扱うにはあまりにも多くの題名や人物名が出てくるために、その中身が薄く、著者も歯がゆい思いはあるだろうが、前著に比べて評価を落とさざるを得ず、残念だ。

  • [ 内容 ]
    日本人の本当の姿が見える昭和30年代を、政治、文芸、映画、音楽、テレビ、犯罪、災害など、世相の硬軟をとりまぜて、ユニークな視点からふり返る。
    大好評シリーズ第三弾。

    [ 目次 ]
    はじめに―時代区分は必要か
    昭和30年代はなんでこなんに懐かしいのだろう―まずは“小さい幸せ”が大事な時代だった
    「この幸せを手放せない」60年安保の気分―60年安保反対闘争/三井三池争議/蜂ノ巣城攻防戦
    「清張」も「風太郎」も必要だった―小説が教師だった時代
    アッという間に水が来た―犯罪と災害の世相史
    巨匠の映画でこの時代の生活をさぐろう―小津・成瀬・黒澤の「鍵」「カーテン」
    こんなにB、C級映画ばかり見ていた―ジャンク映画と言うなかれ
    音楽は時代の変化そのものだった―ロカビリーからフォーク・ソングまで
    その時、テレビは何をしていたか―外国テレビ映画とコメディの花盛り
    歴史の真実は落ち穂ひろいにあり―その落ち穂ひろいからこぼれたこと

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 昭和40年代から遡って、私が生まれた昭和30年代にスポットを当てた一冊を読んでみました。「犯罪と災害の世相史」の章、特に伊勢湾台風の描写がすごい。勉強不足でした。

  • 2008/12
    日本の戦後社会史・風俗史をたどっている。前2作に続いて、今回は昭和30年代について書かれている。著者の専門的な分野でもあるテレビメディアが誕生している時代でもあり、そのあたりについての部分は力がこめられている。同時代を生きた一人の感想としてのレベル。

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