新約聖書 1 (文春新書 774)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607747

感想・レビュー・書評

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  • マタイによる福音書
    マルコによる福音書
    ルカによる福音書
    ヨハネによる福音書

  • 宗教

  • 新共同訳での新約聖書のうち4つの福音書を収録し、
    それぞれに佐藤優氏の解説が添えられている。

    通常、聖書と触れ合う機会というのは教会での説教で断片的にーというのが多いため
    通読を前提とした(その結果、新書という体裁をとった)本書は新鮮だった。

    ゴルゴダの丘でのセリフひとつとってみても、悲嘆にくれながら絶命するマタイ/マルコの福音書と聖人然とした態度を貫くルカの福音書で全く印象が異なる。

    ルカ、ヨハネによる福音書が物語としての肉付けもされており、初読者にはとっつきやすいと感じた。

  • 佐藤優氏監修の新書版新約聖書。イエスのカエサルのモノはカエサルにとかのエピソードも今までは気にもしなかった。しかし佐藤優氏の解説でYESNOどちらでも駄目な答えをぶち壊す一流の解答という事が分かった。
    この本に限った事では無いが弟子の裏切りが心に残る。ユダではなく鶏が3回鳴くまでに貴方は私の事を知らないと言うというエピソード。絶対に裏切らないと言っている奴ほど信用できないという事か。むしろ裏切りを指摘されて売り飛ばしたユダに漢気を感じなくも無い。

  • 170317 速読 図書館

  • 佐藤優氏が「新約聖書を宗教に特別な関心をもっていない標準的な日本人に読んでもらうために書いた」という、全2巻の第1巻。
    第1巻では、イエス・キリストの生涯について記した4つの福音書が収められている。
    キリスト教の理解では、イエスが出現し、人間の罪をあがない、十字架上で死んだことによって、人間の救済はすでに始まっており、そのメッセージ(福音)を伝える核になるのが4つの福音書であるという。そしてそれは、大きく、「神の国」をイエスの中心的な福音であると考え、互いに近い関係にある「マタイによる福音書」、「マルコによる福音書」、「ルカによる福音書」と、「永遠の命」をイエスの中心的な福音と考え、言葉(ロゴス)が神であるという独自の神学に基づいて書かれている「ヨハネによる福音書」の二つのカテゴリーに分類されるという。
    そして、著者は各福音書について以下のように述べている。
    「マタイによる福音書」・・・キリスト教の思想としてよく引用される箇所が多い。「(主の祈り)天におられるわたしたちの父よ、御名が崇められますように。・・・」は、現在も、カトリック教会、正教会、プロテスタント教会のすべてで唱えられる。
    「マルコによる福音書」・・・4福音書の中で最古のもの。「神の国」の到来を中心的な福音と考え、「人間により理想的な社会や国家はできない。神の支配がもうすぐ実現するのだから、人間は悔い改め、その支配を受け入れる準備をせよ」と説く。
    「ルカによる福音書」・・・「マルコによる福音書」を下敷きに、知識人が書いたと考えられ、その著者は「使徒言行録」も執筆している。キリスト教における、「この世の終わりは、歴史の目的であり、終焉であり、完成である」という考え方が色濃く反映されている。目的に向かって突き進んでいくという、欧米文明に刷り込まれたキリスト教的発想、目的論がわかる。
    「ヨハネによる福音書」・・・他の福音書と全く異なる。ロシアのキリスト教はこの福音書の影響を強く受けており、ロシア人の気質が欧米人とかなり異なるのはそのせいと考えられる。「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」ことが強調され、抽象的概念の世界で真理を追求することに意味を認めず、その真理が具体的にどのような意味を持つかについて常に関心を持つという、キリスト教徒に刷り込まれた価値観を表している。また、イエスの出現によって、人間に神に従うか神を拒否するかの二者択一を迫っており、物事を突き詰め、決断を迫るというキリスト教文化圏に埋め込まれた文化のもとを示している。
    各福音書の本文訳のみではなく、ビジネス関連の著書も多い著者が、聖書が欧米のキリスト教文化圏の発想・価値観にどのような影響を与えているのかという観点からの解説も加えており、有益な書である。
    (2010年11月了)

  • キリストの生涯について四人の人が記述した本。目が見えない人を見えるようにしたとか、病気の人を直したとか、湖の上を歩いたとか言われても、逆の反応はあっても、正直キリストには惹かれなかった。

  • 「その日の苦労は、その日だけで十分である。」

    古典をより楽しく読みたいという思いが、聖書を手に取ったきっかけである。マタイ、マルタ、ルカ、ヨハネによる福音書が掲載されている。読みやすい。私が感じたのは、マタイが王道であり、マルタが簡易マタイであり、ルカはマタイ+-の情報であり、ヨハネは特殊である、ということである。特に、ヨハネは、ほかの3つと違い説明されている事柄も多く、また、他3つが同じような記載であっても、ヨハネだけは大きく違うこともあった。たとえば、「裏切りの予告」。

    ぜひ次の巻も読みたいと思う。

  • 新約を通読するのは2度目。1回目は根気が続かなくなって途中から読み飛ばしてしまったので、もう一回。宗教としてのキリスト教に興味があるというより、西洋文明の根っこに興味があって。

    宗教的な罪とか、罰とか、審判とか、奇跡とか、そういうことを別にすると、道徳的にはまあわりあい穏当で常識的なことが書いてあって、ふーんという感じではある。
    が、考えてみると、2000年前に書かれた聖典に常識的なことが書いてあると感じるほうが不思議だ。実際、旧約聖書の世界観は、今の常識からするととんでもない。侵略略奪当たり前だし、神様は大量破壊兵器みたいだし。
    イエスの教えについて、基本的な部分で強い違和感を感じないのは、現代日本人であるぼくたちの「常識」が、グローバルスタンダートという名の西洋基準に基づいているからなのだろう。そして西洋基準は新約の世界観に強い影響を受けている。クリスチャンであろうとそうでなかろうと、ぼくたちは間接的に、キリスト教の世界観と無縁ではいられないのだ。

    本書の前半の福音書は、ドラマもあり、奇跡もあり、メリハリもあって読み物として面白い。
    後半の手紙シリーズは文字通りの説教であって読み通すのは根気がいるが、キリスト教から復活だの奇跡だのをひっぺがした精髄みたいのはこの部分にあるのだろう。

    新約世界は、○○すべきである、という教えの部分と、ちゃんとすれば最後の審判の日に復活するけど、そうじゃないと地獄行きだからな、という報いの部分がセットになっている。この信賞必罰の部分についてふと考える。この部分がなかったら、キリスト教は成立しなかったのだろうか? 

    一方、信じる、という言葉には、理屈や論理は抜きにして、という一面があって、そこがどうしても納得いかない。せっかくものを考える頭をもって生まれてきたのに、それを使わなかったらそれこそ神様に申し訳ないだろ、とも思うし、自分の頭で考えなかった結果何が起きたかは、歴史がいく度となく証明している。だからぼくは自分の頭で考えたい。根拠を示して欲しい。わけもなく、聖書に書いてあるから復活とか最後の審判とか信じろと言われても困る。

    佐藤優は最後の審判を信じているそうだ。だが彼の「信じる」と、ぼくの「信じる」には意味の違いがある気がする。そこが知りたいな。

  • [図書館]
    読了:2012/12/22

    なぜキリスト教が、というか宗教があれほど人をハマらせるのか、という疑問を解きたくて、聖書本をちょくちょく読む。この本は、新書で読める、という点がとても新鮮だ。なぜ今まで誰もやらなかったんだろ。

    読んだ感想としては、やっぱり疑問は解けないままだった。納得できない言説が多過ぎる。

    佐藤氏は序文で「キリスト教にとって重要なのは、私と神の関係だ。そこで他人がどのような神を信じているか、あるいは信じていないかについて、キリスト教徒は無関心なのである。」と書いているけれど、マタ28-19で、「あなた方は行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」とイエスが言っている…。

    p. 103「神の支配がもうすぐ実現するのだから、人間は悔い改め、その支配を受け入れる準備をせよ、というのがイエスが伝えたメッセージなのである。」
    共観福音書は「神の国」、ヨハネによる福音書は「永遠の命」。
    うーん、どっちも現代の感覚からすると受け入れ難い気がするのだけど…これを信じる人が現代にも多数いるってのが不思議だ。

    何度も読めば読むほど、男尊女卑、ユダヤ人差別の根源との思いが強まってくる。そして、「我が言う通りにせよ、さもなくば地獄の業火に焼かれる」という脅迫で人をコントロールしようとしているとしか思えなかった。

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