- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166609864
作品紹介・あらすじ
「小保方さんなんてかわいいほうですよ」世紀の大発見のはずが一転、論文不正やねつ造の報道にとってかわられ、世間を驚かせたSTAP細胞をめぐる騒動。しかし、バイオの研究者たちの実感はというと、「もっと真っ黒な人たちがいる」というものだった。iPS細胞の発見にはじまり、再生医療や難病の治療、食糧危機や絶滅した生物の復活まで様々な応用可能性が期待され、成長産業の柱として多くの予算を投入されるバイオ。しかし、生命現象の未知の可能性と崇高な目的が謳われるその裏で、バイオ研究を取り巻く環境は過酷さを増している。若手研究者たちの奴隷のような労働実態、未熟で自己流の研究者が多数生み出される大学院の実態、絶対の存在である大学教授、続発する研究不正……。STAP細胞騒動の背景には何があったのか。一連の騒動によってあぶりだされた知られざるバイオ研究の虚構の実態を、かつて生命研究の一端に身を置いた科学ジャーナリスト賞受賞の病理医が、あらゆる角度から徹底検証。バイオの未来を取り戻すための提言を多数盛り込んだ決定版の1冊です。
感想・レビュー・書評
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入試で物理を捨てた結果、選択肢がせばまって、さしたる知識も意欲もないまま生化学の大学院に進み、結果としてピペドとなるしかなくなる。耳の痛い指摘だ。学生の扱い方には放牧型とブロイラー型があって、最も深刻な放牧ブロイラーというのが衝撃的。さらに背景にある国家戦略、事業仕分け、高名な学者の弊害等の問題は読ませる。単に煽り貶めるだけの告発本でなく、本来の研究の楽しさに戻ろうと呼びかける著者の想いがいい。
[more]<blockquote>P157 研究不正=ミスコンダクト。捏造/改竄/登用の3つが主なものとされている。英語の頭文字を取ってFFPと呼ばれる。
P211 チャンピオンデータ=奇跡の一枚 たまたま出たチャンピオンデータだけを貼り合わせるとあたかもその仮説が証明されたかに見えてしまう。
大胆な仮説・大発見と研究不正の間の距離は近い。
P248 殿様生物学2.0 今の時代、普通の人たちは昔の殿様以上にいろいろなことができる。バイオを取り戻せ。奴隷にならず自分でやりたい研究をやろう。</blockquote> -
これもありきたりの、STAP事件便乗本。
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ピペドの闇の深さがわかった
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現在理系の中でもドル箱産業になりつつある生命科学への警鐘を鳴らす一冊。
実際に研究職に携わっていただけに非常に説得力があった。 -
捏造シリーズの最後一冊。
捏造だけでなく、社会全体のポスドク問題を捉えていて私自身は非常に納得できる一冊であった。
女性研究者が厳しいというのも納得できた。
研究者の週あたりの勤務時間は80から100時間も15パーセントはいる、うんうんと頷いてしまう。
そして、休みの間も研究について考えていないといけない。休みはあってないようなものだ。
それでも、やらないという選択肢は見つからず、休みなのに実験のために出勤する本日。 -
追試をやっても科学者はあまり得をしないから、追試されないままの論文が沢山ある、とか。