- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166610310
感想・レビュー・書評
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東條英機の陸士一期先輩鉄山と言ふ厳つい名前、戦前陸軍の統制派と皇道派の対立、そして戦争への道、これら小生の戦前日本史のいい加減な脈絡に一本それなりの筋を通して貰つた書と言へる。
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名前は知っているが具体的にどういう人かわからない永田鉄山がよくわかった。長野県諏訪市生まれの秀才。石原莞爾のような天才肌ではない。バランスのとれた人格と思考をもつ。人柄も真面目だが堅苦しいタイプではなかったらしい。第一次世界大戦を視察した経験からこれから起きる戦争は総力戦になると考え、陸軍の改革と国家総動員体制の在り方を構築しようとする。その方法は常に憲法と法律から逸脱しない漸進的なやり方だった。しかもその体制を整えるとこで戦争への抑止になると考えていた。しかし、天皇親政の急進的な革命的変化を求める皇道派と衝突。陸軍大臣を頂点とする秩序と規律を重んじ、非合法的な手段を嫌う永田は恨まれる。また関東軍の独走を抑えるのに腐心した。皇道派の相沢三郎が、怪文書を信じて永田を斬殺。翌年、二二六事件で皇道派が壊滅。永田が望んだ統制を取り戻すが、永田のいない陸軍に長期的視点と鉄の意志と柔軟な思考とバランスの取れた人格を持った人間はいなかった。永田を慕った東条英機などが跡を継ぐが、永田が極力避けようとした戦争に突入する。永田の前に永田なく、永田の後に永田なし。
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陸軍のことがよくわかる。暗殺されないまま戦争を迎えたら
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軍務局長として相沢中佐に斬殺されたことで有名な永田鉄山であるが、その人柄、思想、陸軍における立ち位置、この事件の背景などについては何も知らないに等しかった。さすがに、本の帯にある「東條ではなく、この男だったら太平洋戦争は止められた」というコピーをそのまま信ずるわけにはいかないが、「この男」について知りたいという気にはなった。
本書では、永田鉄山のことだけでなく、昭和陸軍の統制派と皇道派の思想や対立理由、暴走を繰り返した関東軍の考え方なども一緒に分かる。
太平洋戦争に進む昭和の日本、特に陸軍についての入門書としても読めそうだ。 -
書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。
http://www.rockfield.net/wordpress/?p=5499