司馬遼太郎に日本人を学ぶ (文春新書 1065)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610655

作品紹介・あらすじ

初めて親しむ司馬作品は、この順で読め!歴史小説の大家として知られる巨人・司馬遼太郎。膨大な作品群を前に途方にくれる若い世代のため、良きガイドが登場した。著者は、作家最後の手紙を受け取った元担当者にして、戦史研究家でもある。60万冊に及んだ蔵書の買いっぷり、史料を読み進める脅威のスピード――間近で目撃した司馬伝説を織り交ぜながら、代表作をわかりやすく解説。道に迷わず司馬作品を読み進めるコツを紹介する。まずは、『燃えよ剣』から始めよう。土方歳三を初めて人間らしく描いたこの作品には、何よりも小説家でありたかった、という作家の本領がイキイキと発揮されている。そして、幕末から明治へと作品を読み進み、最後に「なぜ昭和史を書かなかったか」という大きな謎に、初公開エピソードで迫る。日本人とは一体何者か。戦場で浮かんだ問いを胸に、22歳の戦車兵だった自分への手紙として作品を紡ぎ続けた作家。日露戦争については、「よくやった過去というものは、密かにいい曲を夜中に楽しむように楽しめばいい」と語り、一方で、ついに太平洋戦争を歴史小説では書かなかった。歴史を大きな俯瞰で捉えた作品群は、何度読んでも新しい日本人像を提示してくれる。その本質に鋭く迫るガイドブックを頼りに、国民が誇るべき貴重な財産に触れよう。

感想・レビュー・書評

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  • 文藝春秋の編集担当が語る司馬文学の逸話、裏話、本物の評論。司馬フアン必読の一冊。紹介される代表作は、①燃えよ剣、②竜馬がゆく、③最後の将軍、④世に棲む日々、⑤翔ぶが如く、⑥坂の上の雲、⑦その他(義経、国盗り物語、功名が辻,新史太閤記、豊臣家の人々、関ヶ原、覇王の家等)、⑧ノモハン戦執筆断念の理由、⑨司馬と太平洋戦争,⑩最後の手紙 等

  • 歴史小説の大家、司馬遼太郎の膨大な作品群を通して、司馬遼太郎の本質に鋭く迫ったブックガイド。

    司馬遼太郎の担当者であった著者が、維新史に関する司馬作品の読む順番や司馬作品の魅力、司馬遼太郎が昭和前期の戦争を描かなかった背景などを書いています。

    司馬遼太郎の作品を読みたいが、どれから読めばいいのかと悩んでいる人は、本書が紹介している作品や読む順番を参考してみてはいかがでしょうか。

  • 2017/7/1流し読み。一番「燃えよ剣(土方)」だそうな。「坂の上の雲」のイントロになるか。★4の下

  • 司馬遼太郎の作品は長編・短編あわせて67篇におよぶ。さらにエッセイ・評論などを加えると無限に近い。
    しかも一つの長編は文庫本にすると3巻~10巻ものボリュームがある。
    かなり以前に司馬作品を100冊読破したので、もう読む作品も少ないだろうと思って調べたら、読んでいない作品がまだまだあったのに驚いた記憶がある。

    著者は「私たち昭和世代は、司馬さんがつむぎ出す作品世界を刊行されるごとにむさぼり読み、この作家が年齢とともに広く、深くさせていくさまを身近で知る贅沢を味わうことができた。しかし司馬さん没後に生を享けた若い世代は、一から司馬作品と取り組まなければならない。豊饒だが、未知の膨大な作品世界に困惑するのも当然であろう・・・(略)・・・とくに若い世代に本書を手に取っていただければと思う。司馬作品こそわれわれへの貴重な贈り物であり、また国民が誇るべき共通の財産だと思われるからである。そして、この偉大なる作家が書き残した日本人、いや日本への数多くの警句や提言を、自分の課題として真摯に受け止めていただきたいと思う」
    著者がいうように、本著はこのように膨大な著書を残した作家の作品をどのように読んでいけば良いかの入門書とおもいしや、それなりに司馬作品を読んだ人にも、読み応えのあるものになっている。

    最近歴史家の磯田道史も『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』という本を著している。
    やはり歴史家が書いた司馬遼太郎論なので、時代小説 < 歴史小説 < 史実小説と順位づけて、より歴史の事実に近い「史実小説」を理想としているような論調が見られるが、これは「小説家」というものあるいは「司馬遼太郎という小説家」を理解していないことが、本書(司馬遼太郎に日本人を学ぶ)を読めば分かってくる。
    司馬は晩年よく「小説を書きたいなあ・・・」とみどり夫人にコボしていたようだが、司馬は歴史の史実に縛られない自由な創造の羽根を広げることができる小説家を願っていた。記録文学ではなく、自由な表現を許された小説家としての自負があった。「そう司馬さんの本質はあくまでも小説家なのだ」と著者はいう。

    本書は、若い世代だけでなく、それなりに司馬作品を読んできた読者にも「目から鱗」の記述が多々ある。
    司馬ファンにとっては、最良のガイドブックであると言える。
    追記
    因みに司馬本人に、自分の作品のベストワンは何かと聞いた人がいて、司馬曰く「一冊というのは難しいわな。せいぜい2冊ということでいえば、『燃えよ剣』と『空海の風景』かな」と言ったそうである。

  • 司馬遼太郎のガイドブックだった。売れっ子なのでなんとなく知ってるタイトルだがちゃんと読んだのは竜馬がゆくだけでした。坂の上の雲はドラマがとても好きでしたが最期の2話くらい見終えてないかも。。(1話だけで映画くらいのボリュームある)
    だいぶ日本の近代史はこの人が作ってる気がする

    著者のおすすめ順
    1.燃えよ剣
    2.竜馬がゆく
    3.最後の将軍
    4.世に棲む日日
    5.翔ぶが如く
    6.坂の上の雲

  • ノモンハン、太平洋戦争への思いが興味深い。やっぱりすごい作家なんだな。『峠』『坂の上の雲』この大好きな作品を読み返そう。そしたら、まだまだ知らない司馬遼太郎に会える気がする。

  • 日本陸軍の不条理に立ち向かい、指揮命令した参謀の非道さを糾弾する司馬さんの小説が読みたい。

    とりあえず「この国のかたち」を読もうと。

  • 20160410 いつまでも読み継がれる国民作家。まとめて作品を見た事がなかったので読んでなかった本もそうだし読んだ本も読み直ししたくなった。司馬さんの本が読まれているうちはまだ大丈夫かも知れない。

  • 冒頭で本書を、若い世代の為の司馬作品のガイダンス、と述べるが、作品紹介というよりは、その人物や時代に関する著者の知識が延々となぞられた中途半端な内容。ただ、ノモンハン事件が執筆されずに終わるまでの経緯は、著者が当事者の1人だっただけに興味深かった。淵田美津雄を主人公にした小説の構想などは初めて知ったが、それらのくだり、最後の数10ページが唯一の読みどころ。

  • 司馬さんの事が書かれている。深く日本と日本人の事を司馬さんが考えていた事に真摯に感動した。今サラリーマンとして働いてるが働く人も歴史を考えながら未来を考えながら働いていかないとダメではないか?教養がサラリーマンも大切だなと、それが働く姿勢に繋がる事に自分で実感しつつある事に、自分で気付いた事に少しだけだが手を掛けたかな。

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著者プロフィール

1941年、大阪市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。専攻・国際関係論。日本文藝家協会会員。
主な著書として、『敷島隊の五人(上下)』『零戦の誕生』『暁の珊瑚海』(以上、文春文庫)、『ミッドウェー海戦(第一部・第二部)』(新潮選書)、『勇者の海』『空母瑞鶴の南太平洋海戦』(以上、潮書房光人社)、評論として『特攻とは何か』『松本清張への召集令状』(以上、文春新書)、『作家と戦争――城山三郎と吉村昭』(新潮選書)がある。

「2020年 『ラバウル航空撃滅戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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