日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」 (文春新書 1131)

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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611317

作品紹介・あらすじ

2016年末、米国新大統領に当選したトランプ氏と安倍総理がニューヨークのトランプ・タワーで電撃会見し、大きなニュースとなった。この会見で安倍総理をアテンドしたのが、安倍家と親しい米国弁護士の村瀬悟氏。悟氏は、米国の有名弁護士事務所のパートナーを務める日系人3世だ。 村瀬家は、米国の日系人サークルの中でも特別な地位を占める。そのルーツは、悟氏の祖父に遡る。悟氏の祖父は、軍医として日露戦争で活躍するも、日本の医学のレベルの低さを知り、米ニューヨークのメディカル・スクールに留学。現地で開業する。ここから、日系人・村瀬家が始まる。 そしてニューヨークで誕生したのが、本書の主人公、村瀬二郎氏だ。二郎氏は、日系2世として米国で育つが、「大和魂を忘れるな」という父の方針で中学のとき日本に帰国。しかし、旧制芦屋中学在学中に太平洋戦争が始まる。立派な軍国少年へと成長した二郎氏だが、国籍の問題は常に二郎氏を悩ませる。そして戦争が終わり、米国に戻ると、今度は米国陸軍への徴兵が待っていた……。 青春時代に戦争にぶつかり、「二つの祖国」の狭間で悩み、苦しんだ二郎氏は、その後、アメリカで弁護士になるが、こんどは日米貿易摩擦の矢面に立たされる。「戦争前夜」とまでいわれた日米関係の悪化。そのとき、二郎氏は日本のために、摩擦解消に陰に日向に尽力する。 激動の20世紀に「二つの祖国」を生き抜いた男は、「大和魂」と「アメリカンスピリッツ」の狭間で何を考え、どう行動したのか。「堤清二『最後の肉声』」(「文藝春秋」掲載)で2016年(第47回)大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した筆者の受賞第一作の大型評伝!

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:289.1A/Mu57k//K

  • 読む前は日米通商摩擦の事を詳細に書いてあるかと思ったが村瀬二郎の生涯を綴った伝記であった。

    村瀬二郎という人がいかに大和魂を持った人で日本とアメリカのビジネスの違い、政治の世界での身の振り方を日本人に教えたフィクサーなのかなと読んでて感じた。

    「仕事に誠実であれ」、「失敗するのは仕方がない。失敗を恐れるのではなく、そこから学んでこそ、成功にたどり着く。」
    という言葉
    また日系人が日本という国にどれだけ愛着を持っているか外から見ることによるアイデンティティの確立などが印象に残った。

  • 村瀬二郎とはまさに現代人に求めれられるダイバーシティをいち早くまた誰よりも深く追求した人物であるということが良くわかった。グローバル人材を目指すのであれば知っておくべき歴史であろう。
    本書の纏め方として、時系列の前後や、突如別の登場人物についての描写が多くなったりと読みづらい箇所が多かった。また途中「これは、村瀬二郎についてのストーリーについての本なのか?」と疑問に思うこともあった。個別のストーリーは色濃いだけに、これは編集者の範疇なのかもしれないが、文章構成が一貫していない点が残念であった。

  • 山崎豊子の「二つの祖国」はずいぶん前に読んだことがあるが実に感動的な社会派小説だった。
    一方本書は、「リアル」な人物史のようである。戦後の日米間での成功物語でもあるのだが、時代が現在に近づくにつれ「生臭さ」も見え隠れする。
    現在、アメリカと日本の間にうごめくロビー活動集団を「ジャパンハンドラー」というそうだが、本書の主人公はその草分けかもしれない。
    著者はジャーナリストだけあって、時代背景と個人のキャラクターを絡み合わせながら実に読みやすく仕上げている。日米間の時代の変転を知ることができる点は評価できるが、あまり深い考察は見当たらないようにも思え、ちょっと残念。

    2017年9月読了。

  • 【大宅賞受賞第一作の大型評伝!】大和魂とアメリカン・スピリッツの両方を体現した男。「戦争前夜」と言われた日米通商摩擦で、日本を救った日系人弁護士の感動の生涯

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