独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで (文春新書 1206)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612062

作品紹介・あらすじ

1949年、毛沢東は北京の天安門で中華人民共和国の建国を宣言しました。2019年はそれからちょうど70年になります。朝鮮戦争、ソ連との大躍進と飢餓による死、文化大革命、米中国交回復、天安門事件――。農村部で勢力を蓄えた共産党が中国全土を支配し、GDP第二位の「超大国」となるまで、この国の歴史はまさに巨大なトラブルの連続だったといえます。そして今でも、一党独裁体制、民族弾圧、さらには都市と農村の格差といった矛盾を抱えています。その源はどこにあるのか? そこで鍵となるのは、やはり建国以来この国に君臨した毛沢東でしょう。独裁も不平等も国民監視システムも民族紛争も、毛沢東の作り上げてきたものの延長上にあるといえます。では「中華人民共和国」というシステムはどのようなものなのか? それを理解するには中国内部だけではなく、世界史的な視点が必要になります。習近平は、まさに文革世代。毛沢東的独裁の申し子ともいえる存在です。これから中国がどこに向かっていくのかを知るためにも、この70年の歴史を振り返り、その内在論理を解明する必要がある。2019年の世界を読み解くのに必須の一冊。序章 中国共産党という組織第一章国民党と共産党 コミンテルンが生んだ双生児第二章毛沢東の“国盗り”戦術第三章 中華人民共和国の誕生第四章 大躍進 史上最大の災厄第五章 世界史から見た文化大革命第六章 新たな独裁者鄧小平第七章 習近平 引き継がれる独裁の系譜

感想・レビュー・書評

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  • 中国共産党の歩みをざっと把握できます。
    習近平がどのような土壌で生まれたのか、中国がチベット・ウイグルに対してどのような考えから弾圧しているのか、それらがアンチ・中国に走ることなく説明されていました。
    中華人民共和国がどのような国か理解できる良書です。

  • 2020-5-21 amazon

  • 897

    靖国問題は国内政治のために利用されただけだと考えています。そもそも中国はそれまで靖国神社を問題になどしていなかったのです。  靖国問題をめぐっては、日本国内でも大きな議論となり、左右両陣営に分断されました。それもまた中国側の狙いどおりです。日本は中国に踊らされているのです。それを見た韓国が同様の手法で日本を攻撃するようになりました。慰安婦や徴用工問題などでクレームをつけて日本を踊らせる。日本もいちいち踊るから、彼らの術中にはまるの

  • kindle unlImited.
    著書はモンゴル人で天安門世代。
    書かれている内容は、おおむね既に知っていることだけど、中国内の少数民族から見た中国という視点そのものが新鮮だった。

  • 本書は孫文から習近平までの中国を中立的な視点で振り返る。特に毛沢東時代の記述が豊富で、彼がかつて掲げていた理念と実際に行った政策との間には矛盾が満ちていることを指摘している。また、現在まで受け継がれている漢民族至上主義的思想がいかに実践され、中国共産党による一党独裁のための土壌がいかに作られてきたのかを論じている。

    非常に興味深い内容で、平易な書きぶりなので、サクサクと読むことができた。今日の中国に関する問題を考える上では、まず中華人民共和国の歴史的経緯を知っておくべきであり、そうした面でこの本は有益だと考える。

  • 図書館で借りた。
    中国の現代史をざっとおさらいできる。著者が中国内モンゴル出身で日本に帰化された方なので、歴史事実を述べるだけでなく、非常にリアルな証言もある。

    個人的な発見としては、「中国の歴代王朝のいくつかは、北方遊牧民の征服王朝である」という聞き慣れた意見を、ある意味では中華人民共和国もその一つであるとみなせるという考え方にはハッとさせられた。

  • 去年帰国した時に買ってあった中国関係の新書。旅のお供に読了しました。
    内モンゴル出身で日本に帰化した文化人類学者の筆者が、第3の視点で中国現代史を紐解く。
    中国では伏せられていたり、逆に外国からだとスルーされるようなことも取り上げられたりで、ちょっとしたお勉強。
    但し、これは堂々と本棚に置いておけない本ですね。

  • 中国の現在の政治体制のルーツが分かった。独裁、密告、下克上、、著者は批判的な姿勢なので多少は割り引いた方がいいかもしれないが、それでも中国の今後が空恐ろしい。

  • 東2法経図・6F開架:222.07A/Y57d//K

  • 近代から現代への歴史描写がコンパクトにまとめられていて、現代中国を理解するのに最適な内容。この史実をいまの日本の政治家達はどこまで理解しているんだろうと、全く不思議に思う。が、それとお構いなく自立しているのは、それはそれで凄い。

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著者プロフィール

1964年南モンゴル・オルドス高原生まれ。静岡大学人文社会科学部教授。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。専攻は文化人類学。博士(文学)。著書に『「中国」という神話』(文春新書)、『墓標なき草原――内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(岩波書店・司馬遼太郎賞受賞)、『日本陸軍とモンゴル』(中公新書)、『逆転の大中国史』(文藝春秋)など多数。

「2018年 『モンゴル人の中国革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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