老化は治療できるか (文春新書 1432)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166614325

作品紹介・あらすじ

今、アンチエイジングの限界に挑むビジネスが世界中で高い注目を集めている。 グーグル共同創業者のラリー・ペイジは15億ドルを投じて不老不死を目指す研究所を立ち上げた。そして、「寿命をあと100年延ばすことはできる」と発言している。 同じくグーグルの投資部門の責任者ビル・マリスもこんな予測を口にする。「人は500歳まで生きられる」「私は死ななくてもすむようになるまで長生きしたい」 権力も金もほしいままにした人間が、究極的に求めるもの……秦の始皇帝も、エジプトのファラオも、そして現在の世界の富裕層も躍起になって求めているのは「不老不死」である。ロシアのプーチン大統領も、鹿の血の風呂に入っているとメディアで報じられたことがあった。 金持ちや権力者だけではない。いま日本では一般人にもアンチエイジングが大流行である。老化防止を謳う化粧品や健康食品が市場に溢れ、テレビCMでも頻繁に流れている。 しかし、不老不死が人類の永遠の夢であっても、決定的な妙薬や技術はいまだ発見されてはいない。はたして人は何歳まで生きられるのか? 不老不死は可能なのか?……世界最先端の研究成果を紹介する。 それと同時に、科学者たちがおすすめする「日常の中でできるアンチエイジング」のコツも披露する。

感想・レビュー・書評

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  • 統計データから人間の平均最大寿命は115歳と結論づけられている。125歳まで生きる確率は1万分の1未満。
    人間の寿命は、生物学的年齢と回復力で説明できる。
    55歳を過ぎるとがんの死亡率が上がる。チンパンジーやゴリラの寿命は60歳を超える。
    ゾウは細胞数が多いのでがん化しやすいが、修復能力が高い。ヒトの細胞にゾウのDNAを移植すれば、最大寿命を延ばすことは可能かもしれない。
    DNAの傷が蓄積されてしまうので、デロメアを伸ばせてもがんにはなる。
    GLS1阻害による老化細胞を除去できる可能性がある。
    老化はプログラムされているかも。
    人間は240gのタンパク質を作り出している。それはなぜか。式年遷宮のようなモノではないか。
    アルツハイマー、パーキンソン、ALS似共通しているのは、脳の細胞にタンパク質の塊ができること。オートファジーの活性が低下する。ルビコンが増えたため。腹八分目にするとルビコンが減る。
    オートファジーは、睡眠、健康的な食事、腹八分目、運動、で活性化する。
    慢性の炎症が起きる原因はストレスにもある。
    ベニクラゲは何回も若返ることができる。
    サーチュインの中でSIRT1を増やすと老化が遅れる。
    NMNは究極の抗老化物質の可能性があるが、点滴は危険。
    老化は病気か。病気でなければ研究は進まない。美容外科と同じ。
    モーゼは120歳デシンだ。旧約聖書には人は肉に過ぎず、120年以上は生きないとされた。
    エビジェネティクス時計は正確。
    マウスは食事制限で寿命を延ばせるが、猿では伸びなかった。
    脳は老化防止の関門。脳を変えると人も同じではなくなる。
    アミロイドβやタウがたまっても神経細胞が死なない人が一定数いる。
    認知症を事前に治療することが社会的に許されるか。
    デュアルタスクが認知症予防に効果がある。
    不老不死は楽園か。ずっと生きなければならないのは幸せかどうかわからない。
    睡眠不足で加齢は加速する。
    起きる時間を変えずに、少しずつ早寝にすると睡眠負債は解消できる。
    運動は日課にする。夕方がいい。
    午前中の光は体内時計を整える。
    動脈硬化を以下に抑えるか。
    一日に腕立て伏せと腹筋、スクワット200回を行う。
    海馬は運動で機能が高まる。
    脳の可塑性=80になっても、能力は磨ける。
    後悔が残るくらいがちょうどいい。

  •  河合香織さんの『老化は治療できるか』。今回の学びは以下に尽きる。
     老化のビジュアル診断の開発までにはまだ時間がかかるが、今の我々にもできることがあると。「仮説では、血圧、糖尿、脂質といった生活習慣病の危険因子によって、ゲノムに傷が入り、細胞が老化していくと考えている。つまり、老化する前の上流の部分の異常を食い止めること。それぞれ良い薬があるので、そこで調整する事は今すぐにでもできるでしょう」との専門家の見解。新薬やワクチンの前に、日々の健康管理が重要だという養生訓にたどり着く。

  • 丸善の新書コーナーで目に留まり、読んでみた。

    フラットな視点(悪い方の意見をトンデモと結びつけない)で、最新の老化研究の状況についてまとめていると、一読して感じた。 最後に参考文献を載せているのも、非常に良い。

    本書でインタビューに答える研究者達の多くが言及するように、不老不死というよりはまず健康寿命を伸ばし、平均寿命との乖離を縮めることが大事になると自分も考えている。引き続きこの分野の進展は本など読みつつ、アップデートしていきたい。

  • 欲望の果てに行きつく「不老不死」。しかし、それは叶えることはできない。人の最大寿命は120歳。どんなに頑張ってもそれ以上は生きられない。老化細胞を生存させるGLS1の阻害、カロリー制限によるオートファジーの維持、サーチュインを働かせるNMN点滴、悪玉細胞GPNMBをワクチンで退治…。研究は進むが、今できることはほとんどない。結局はバランスの取れた生活が一番。禁煙、休肝日、多品目食、腹八分、適度な運動、十分な睡眠。健康寿命を延ばして、目指せスーパーセンチュリアン。110歳過ぎても読書レビューを書き続けよう。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/569746

  • 【最新科学で「アンチエイジング」の限界に迫る!】アンチエイジングが大流行だが、そもそも人間は何歳まで生きられるのだろう? 最新科学で「不老不死」の可能性の限界に迫る!

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著者プロフィール

河合 香織(かわい・かおり):1974年生まれ。ノンフィクション作家。2004年、障害者の性と愛の問題を取り上げた『セックスボランティア』が話題を呼ぶ。09年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞、19年に『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅壮一賞および新潮ドキュメント賞をW受賞。ほか著書に『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『帰りたくない 少女沖縄連れ去り事件』(『誘拐逃避行――少女沖縄「連れ去り」事件』改題)、『絶望に効くブックカフェ』がある。

「2023年 『母は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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