戦狼中国の対日工作 (文春新書 1436)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166614363

作品紹介・あらすじ

 習近平体制が確立して以降、中国は「戦狼外交」と呼ばれる超攻撃的な外交を繰り広げてきた。アメリカをはじめとする西側国家を舌鋒鋭く批判し、日本などの周辺諸国に対しては軍事力をちらつかせながら恫喝する……。こうした中国の外交姿勢は、当初、「口先だけ」と思われていた。 しかし、これはけっしてハッタリではなかった。いつの間にか、中国政府の魔手は私たちの周辺に張り巡らされていたのである。ウィーン条約を無視して、大使館以外の在外拠点を勝手に日本に開設。その中には秘密警察の「派出所」として機能している拠点もある。そこでは、大陸を逃れてきた反体制派中国人の監視や脅迫、留学生からの情報収集、さらにはスパイ行為などがおこなわれているのである。 著者は日本国内に開設された中国秘密警察の拠点を特定。体当たり取材を試みた。さらに、日本に逃亡中の反体制活動家にインタビューすることにも成功。彼らが日本国内においても中国当局の尾行や監視にさらされている現実を、生々しい脅迫エピソードとともに聞き出している。 また、SNSを駆使して日本で公然とフェイクニュースを拡散し、「認知戦」を繰り広げる大阪総領事・薛剣にもインタビュー。中国共産党が日本においてどのような宣伝工作を繰り広げているのかを、緻密な取材で解き明かす。 地を這う取材に徹してきた筆者。その取材で明らかになってきたのは、「中国はマジで危険な国家になった。それは長年中国ウォッチャーをしてきた自分の想像をはるかに超えている」(筆者の言葉)である。 観念論先行の中国批判本とは一線を画する作品である。

感想・レビュー・書評

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  •  中国の勢いと物量で強気に押しまくる戦狼外交は、緻密な計算を伴って大局的な観点から推し進めているものと思われていたが、案外行き当たりばったりで計算なく進められているものだという話である。案外そのように見えなくもないが、末端の事象が記載されているのみで、戦狼外交全体を語るには物足りなさを感じた。しかし冷徹で隙がないと思われていた中国のほつれた穴を見れたようで、興味深い発見も多々あった。

  • 一章と竹内さんのところだけ。中国やっぱり怖。竹内さんもいつか後悔するかもね。

  • 自滅するかな

  •  著者は冒頭で「したたかな中国」イメージを否定する。対沖縄・宗教工作あたりは多少「したたか」かとも思ったが大体は粗雑で、著者の言葉を借りれば「農村土豪ムーブ」。
     国家レベルというより地方公安局レベルだったり、難民はじめ世間知らずの一般人にやらせたり。面白半分のハッカー集団「悪俗圏」。軽いノリのパンダハガー日本人。慣れない仕事に緊張している雰囲気の黒シャツ男襲来やセッちゃんの言動には笑ってもしまった。
     ただ、農村土豪だとしても勢いがあるのは確か。「相手国にどう受け取られるかという想像力に欠け、カネと人海戦術という単純な武器だけで、無為無策のまま正面突撃を繰り返すような、粗雑で直線的な動き」という著者の表現がしっくり来た。

  • 面白い。取材がたくさんされてる。

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著者プロフィール

ルポライター

「2023年 『2ちゃん化する世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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