夏草の賊 上 (文春文庫 し 1-24)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105242

感想・レビュー・書評

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  • なんていうか、ユーモラスなんだよね。
    土佐が、当時はもう、風俗も何もかも違う、今の感覚で言ったら、ジャングルの奥地、みたいな。
    そこに京から嫁いでいく菜々の気丈な性格も、かなり大好き。
    結局最後、京都は遠すぎたわけだけど、でも、読後感はそんなに悪くなかった気がする。

  • 長宗我部家のお話。四国の歴史でした!

  • 長宗我部元親とその妻の話。全然知らない武将だったが、この作品を読んでとても興味が出てきた。下巻も楽しみ。本筋からはそれるが「うわなり打」という風習も初めて知った。先妻が後妻を襲うって。まだまだ知らないことがあって面白いなぁ。

  • ★評価は読了後に。
    奇しくも作家が本作中で書いてますが、世界が狭いんですよなぁ、日本史って。これだけ今でも皆を惹きつけるのだから、戦国時代ってすごいダイナミズムがあると同意しますが、それでも世界と比べるとどこか小さい。
    今日本は苦境に直面している、崖っぷち、とそこかしこで苦言を呈している方々も含めて、地理が社会・意識に及ぼす影響をそこに住まう人間が根本的に理解できていない気がする、当方も含めて。
    良いか悪いかという次元の話ではないんだろうけれどもね。

  • 2019.8.2(金)¥100(-20%)+税。
    2019.8.22(木)。

  • この小説のすごいところは、長曾我部元親が偉人として描かれてはおらず、一武将として描かれているところだと思う。まずその実績を見れば、四国を統一したとはいえ、家康や秀吉に比べれば決して華やかな人生ではない。そしてその事実を、むしろ少し卑下しながら描いてしまうところが、リアリティを演出している。

    元親は、作中で何度も、自身のことを運のない人だという。もし自分が東海に生まれていたら、天下を制することができただろうと。

    いつも戦いに臆病さでもって臨み、部下に毒森をさせては罪悪感を目的意識で抑え込み、弟の死を味方の士気を上げるために利用する。
    猛将の類ではなく、戦を好まず、策でもって敵を伏せることを得意とする武将だ。

    人一倍弱い心を持っていて、日々葛藤に悩ませれている漢字が、共感できる。

    一番印象に残っているのは、彼を天下人へと掻き立てる源泉について。かれは、欲望から天下を欲しているのではなく、岩が崖を転がるように、元親という人間が天下へ転がっているだけなのだと表現する。ある意味あたっているのかもしれない。一国の領主として生まれ落ちた以上、支配者となる道はすでに開かれている。

  • 信長・秀吉の時代に土佐の支配者だった、長曽我部元親氏の一生を描いた小説。
    ベースとなった土地や人物や出来事からしてやむをえないのかもしれないが、司馬氏にしては、やや盛り上がりに欠ける展開だった。
    土佐に生まれ育った元親は、土佐、そしてやがて四国を治める者として頂点に立つ。しかし、一方で中央政権の信長や秀吉の権力や兵動員力は圧倒的であった。元親としては、中央から正室をもらい、できる限りの事をするが、まったく歯が立たない。
    後々、江戸時代後半に土佐から優秀な藩士たちがたくさん輩出された背景など、面白いと思った。また、正妻の奈々や長子の信親のキャラクターも魅力的だった。
    それにしても、司馬の描く秀吉はとても魅力的な人物に思える。

  • 久しぶりの司馬遼太郎です。
    もう何年も読んでいなかったけど、ひさしぶりに読んでみると新鮮です。
    戦国武将の中でも、四国の長宗我部氏については、何の認識も持っていない中で、最近の戦国武将ブームの中でその名前だけを知っていたが、どんな生い立ちの人だったのかが、よく分かった。

    戦国の世では、日本全国が本当に領地の切り取りを行って、覇権を争っていたこと、その時流に乗り遅れたものがどのような運命に陥ったのかというようなことが、長宗我部元親の一生を見てみると分かってくる。

    これまで、信玄、信長、秀吉、家康そして正宗などの有力武将の話を読んでいたが、元親はまた趣の違う生涯と、統一後の辛酸をなめたのだということがわかった。

  • 上下巻買うつもりが間違えて上巻を二冊買った…誰か下巻をください…

  • この時代の土佐って詳しく知らなかったので読み進めるたびにいろいろ意外な描写があってよかったです。
    奈々さんがかわいい。
    司馬さんの作品の中ではかなり読み進めやすい印象です。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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