この国のかたち 二 (文春文庫 し 1-61)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105617

作品紹介・あらすじ

この国の習俗・慣習、あるいは思考や行動の基本的な型というものを大小となく煮詰め、エキスのようなものがとりだせないか-。日本史に深い造詣を持つ著者が、さまざまな歴史の情景のなかから夾雑物を洗いながして、その核となっているものに迫り、日本人の本質は何かを問いかける。確かな史観に裏打ちされた卓抜した評論。

感想・レビュー・書評

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  • 本巻もとりとめなく筆者の趣くままに日本人の歴史の断片が述べられる。中国や朝鮮との比較が面白い。職人に対する考え方など。
    また呉越同舟の越が日本での稲作文化の祖先ではないかとの考えは興味深い。

  • 再々読ではあるが、詩的表現力には感服です。
    湯聖「ゆひじり」重源の話は印象的。

  • 1990年の作品。今から30年以上前。エッセイを読んでいると5年くらい前でも「古さ」を感じるものもある。この作品は違う。なんでだろう。状況が変わっているのはもちろんなのに。

  • 加藤清正は難治の肥後に適した男らしさである
    天領はのんびりしている
    神道は尊ぶという精神そのもの。仏教は信じるもの
    阿弥陀仏はシルクロードから。大乗仏教、日本の救済を求める仏教へ。本来は解脱のはずが、救済へ。華厳が、体系的。奈良東大寺は華厳。
    日本に金が尊ばれたのは仏像から。国内で大仏ができた。その後は世界の産金国に。江戸にとり尽くす。が、金のおかげで貿易で豊かな文化に。
    仏教は師承主義ばかり。空海の完璧さ。最澄のオープンさ。結局、ほとんど改革なしで現在に。

  • 国に入ってはまずその法を聞く。

    あとがきに司馬遼太郎さんも書いておられるが、古くからの日本の習俗、慣習あるいは行動の基本的な型をその大小なく書き連ねてあり、読むごとに日本の輪郭が浮かび上がってくるように思う。

  • この国のかたち [02]

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  • 歴史的な事項だけでなく、身近な題材も歴史的なトピックから語られる、司馬氏の珠玉の評論集。最も印象に残ったのは、「華厳」。

  • 理系の書物を読む間に読んでいる。さほど難しくなくスラスラ読めるのでオススメ

  • 考え方の多様性が認められ、かつ守られることが、昭和二十二年に施行された日本国憲法によって保障されているのである。明治憲法が上からの欽定憲法であり、また戦後憲法が敗戦によってえた憲法であるなどといういきさつ論は、憲法というものの重さを考える上で、さほどの意味をもたない。
    (本文より)



    「この国のかたち 二」。司馬遼太郎さん。

    司馬エッセイの金字塔、第2巻。

    家紋の雑学、江戸時代の「天領」の功罪、近親婚の国際比較、宗教の日本独自色、金の採掘の日本史、「公」の意識、「汚職」について、フランシスコ・ザヴィエル、日本の風呂文化と仏教の聖人の関係、杉と檜の木材としての歴史...

    相変わらず自由奔放な雑学と考察が一篇一篇、打上げ花火のように炸裂します。
    そしてそれらの「へえ~」や「ふむふむ」が、冒頭の引用のように、時折急降下爆撃機のように強烈な一撃を放ってきます。


    以下、本文よりの引用。



    世界で家紋を持つ文化圏はヨーロッパの貴族社会と日本以外にない。

    日本はいわば南方社会で、いとこ結婚制度を多目に見ねば、大混乱してしまう。

    持統天皇(女帝)の配偶者(天武天皇)は、いとこどころか叔父にあたる。

    仏教が受容され、造寺造仏がはじまった。仏たちにはメッキが施される。それには、金が要るのである。金の有用性は、仏と共に誕生した。

    江戸期、オランダ人が、幕府による屈辱的な待遇に耐えつつも万里の波濤をしのいで長崎に来たのも、日本が決裁する金の魅力だったことは、よく知られている。

    江戸中期以後は黄金の産出が激減し、元禄文化の華やぎを最後に、江戸文化も地味なものになった。

    江戸二百七十年の安泰をもたらした理由の一つは、天領の税金が安かったということである。

    こどものころは、たれもが時代と地域をマユのようにして育つ。

    美濃部が(天皇)機関説で追われた時も、天皇は侍従武官張をよび、「美濃部説のとおりではないか」といわれたという。

    十八、十九世紀の近代国家の設備としての条件は、大学と鉄道と郵便制度だろう。あるいはこれに病院を入れてもいい。

    明治政府は維新後わずか四年で、手品のようにあざやかに郵便制度を展開した。手品のたねは、全国の村々の名主(庄屋)のしかるべき者に特定郵便局をやらせたことによる。

    日本の建築史は、スギとヒノキの壮麗な歴史でもある。

    飛鳥・奈良朝の巨大建築の主材は、ヒノキであった。硬すぎるということがないのである。粘りがあり、狂いにくく、耐久性が高く、しかも加工しやすい。

    容器は、経済と深く関わるものらしいが、大桶と大樽を可能にしたのは、スギのおかげだった。スギは軽くてやわらかくて加工しやすいのである。

    政治家・官吏、あるいは教育者たちの汚職ほど社会に元気をうしなわせるものはないのである。

    公職者の汚職をみれば、国民自身が、わが身にはねかえって、自己を嗤い、自分を卑しめざるをえない。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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