- Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167112349
感想・レビュー・書評
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地学に関する本を読んでいて気になって読んだ。
何気なくみている地図、1箇所ずつ測量していた時代があったんだなと、改めて実感した。今みたいにヒートテックがあるじゃなし、装備も揃わなかった頃に切り立った山に測量の為に入る。
なかなか見つからなかった登頂路の謎を解いて?初めて山頂にアタックするシーンは息が詰まるほどの緊張。
今だと人工衛星とかから測定したデータで地図を作れるんだよね。Google マップをその当時の人達が見たらさぞ驚く事だろう。
先日読んでいた宗教本につながる部分もあった。さいきん読書量が増えたので思わぬところでつながる。
山岳信仰に絡んで曼荼羅や大日如来の話も。
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前人未踏といわれ、地元でも長らく登ってはならない霊山とされてきた劔岳。それまで、越中奥山の地図には立山以外の山は等高線すら入っていなかったが、日露戦争後、その空白地域の地図を完成させるため、測量官の柴崎芳太郎が三等三角網完成の仕事の命を受ける。
陸軍の陸地測量部に属する柴崎は、国の年度予算に縛られるなか、優秀な案内役、宇治長次郎らとともに、1年のうちごく限られた時期にしか登れない劔岳に挑み、多くの苦労の末、初登頂に成功する。
当時は今のような山登りの装備があるわけでもなく、時に命がけとも言える挑戦をしなければならない、測量官の仕事のハードさに驚き、改めて尊敬の念を抱いた。
当然のように目にする地図も、最初にそれを完成させるときには並々ならぬ苦労があったことを思いながら眺めると、もっと細部まで見なければいけないような気持ちになってくる。 -
点の記:三角点設定の記録
明治40年に測量隊柴崎芳太郎らによって成し遂げられた剱岳初登頂の小説。
長い間本棚に積読になっていたのを、この春は剱岳を目前に滑ったのをきっかけに色んなところで剱岳のことを目にすることがあって読んでみた。
当時まだ日本では山岳会という民間の会は発足しておらず、ほとんどの山は役所の測量部によって登頂されていたそう。しかも道なき道を行っていたのだからすごい。先人は偉大です。立山は何度か行ったことのある山域で山の名前や地名も知っていたから、割にするする読み進められた。物語としてもとても面白い。
三角点ってほとんど興味なかったんだけど、今度見かけたらタッチしたくなりそう。
2021.5.24 -
今では剣沢からの南稜ルートでアプローチは楽になっているが、それでも前剣、やっと剣とピークを乗り越えて、剣岳山頂に至る真夏の道は厳しかった記憶が残る。頂上から北は日本海側に開け、眼下には急峻な尾根が連なる。 映画が放映された後新田次郎の原作を読んで、初期の登攀ルート開拓の困難さを思い知るにいたった。
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点の記:三角点の設置記録を記した資料。劔岳は一般登山ルートとしては最難関として知られる岩稜険しい山であり、測量官、柴崎芳太郎によるこの山への初登頂、三角点設置の記録が描かれている。基本は史実に則した内容だが、ドキュメンタリーに留まらない苦難や緊迫感が伝わってきた。これを読むのと読まないのでは剱岳を登る際の解像度が遥かに違ってくるだろう。
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立山の山小屋にて読了。
その後劔に登り、感慨深いものがあった。 -
測量方法、山の名前がなかなか頭に入ってこず読了するのに時間がかかったけど、ようやく読み終わりました。劔岳をどう踏破するかという面白さもあるけど、測量するまでの過程を知ることができて、過去の人々の努力によって自分が今地図を見ながら登山することができてるんだなと実感でき良かった。映画も見てみようと思う。
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山岳小説の白眉といわれる本書をついに手を取りました。柴崎芳太郎らの測量班により明治40年7月に登頂に成功した剣岳と立山連峰周辺の測量記録に基づく小説であり、山の厳しさと地図の奥深さに一層の興味を抱かせてくれる一冊でした。
明治時代には測量の基本であった三角測量についての知識(選点・造標作業)やその過酷さを理解することができました。常に危険と隣り合わせで山の中で天幕を張って数週間過ごさないといけないのは、想像を絶します。
さらに物語を楽しむためには剣岳周辺の詳細な地図や何より実際に上ってみることが一番だと感じました。 -
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