日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔 イギリス人はおかしい (文春文庫 た 49-1)
- 文藝春秋 (2001年2月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167123093
作品紹介・あらすじ
英国ベタ誉めはもうたくさん!英語の喋れる祇園の元クラブホステスが渡英して、たまたま『エイリアン』で知られるリドリー・スコット監督の大邸宅のハウスキーパーとなって13年。その間に見聞した貴族や大富豪から一般大衆までの、イギリス人の赤裸々な姿を辛口とモーモアで綴った英国暮らし体験記。
感想・レビュー・書評
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「おいおいおい、『家政婦は見た』かよ!」と、半ばピーピング・トムになった気分で手にとったエッセイ集だけど、いやー面白かった。
かの有名なリドリー・スコット監督の豪邸にハウスキーパーとして雇われた日本人女性が見聞きした「生の」イギリスがここにある。
といって単なる礼賛ではない。タイトルでなんとなく察しはつくと思うけども、ダメな部分にはものすんごい辛口の批評がされていてな…^^;
続編もあるのでそっちも読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウェイトレスでも店員でもとかく経験重視で、レファレンス(経歴証明書)がないとはなから相手にされないイギリス社会のシステムとは恐れ入ったけど、大昔に習った「イギリス経験論」とか思い出しちゃった。
著者が初渡英した1972年1ポンド750円位とあって驚愕!1990年、確か1ポンド約250円だったよなあ。
サッチャー政権とマークアンドスペンサーに手厳しい。噛み付く噛み付く。
バアちゃんことミセス・スコットがステキ。彼女のその後が知りたいので、続編を探して読む!
ドイツ人の戦争花嫁の話と元英兵捕虜虐待の話が印象的だった。
解説は森瑤子の父親・伊藤三男。 -
リドリー・スコットの暮らしぶりを知りたくて読むことにしたが、著者高尾さんの色が凄く濃いエッセイだった。
エッセイだからそんなもんなのかなもしれないけど、面白い箇所もありつつ中々偏った見方の人でもあるし、年代のギャップを感じる所もあった。
最後の方は戦争や政治に関しての辺りなど年配の人の主観でかなり書かれているのと、延々と自論を聞かされている感じがして読んでいてしんどくなった。
後書きでまたそれが繰り返され、本を閉じてしまいました。 -
リドリー・スコット監督の豪邸でハウスキーパーをしていた女性が書いたエッセイ。
イギリスのリアルにダメな部分を辛辣のこき下ろすのが爽快。スコット監督の几帳面さも面白いし、監督の母上のめんどくささとかもすごい。
もう20年近く前に書かれた本ですが、映画好きの方やイギリスの暮らしに興味がある方には是非読んで頂きたい本です。 -
読書録「イギリス人はおかしい」2
著者 高尾慶子
出版 文藝春秋
p30より引用
“ 数日経て、スコット氏にブライアンから
受け取ったセメントの塊を見せた。
「フン、驚かんね。ブリティッシュのビルダー
のやりそうなことだ。彼らにはそんな繊細な
神経はないね」
とブライアンと同じことをおっしゃった。
”
目次より抜粋引用
“私はハウスキーパー
ロンドンの貧困地区に住む
英国で失業すると
福祉国家英国のいま
国籍と国際結婚”
多くの職を経てイギリスでハウスキーパー
となった著者による、イギリスの実情の一部
を記した一冊。同社刊行作加筆文庫版。
有名映画監督の家でのエピソードからそこ
を去る時まで、実際にそこに生きた人ならで
はの視点で書かれています。
上記の引用は、住み込みの著者の使うトイ
レと風呂の水が流せなくなったエピソードで
の一節。
部屋の工事で使ったセメントの残りを風呂や
トイレに流したのであろうとのこと。どんな
国でも、ちゃんとした人もいればいい加減な
人もいる、人のすることにはそんなに大差な
いのかもしれません。
二十年以上前のことなので、今とは状況の
違うことも多いでしょうが、イギリスの抱え
る問題の一部について知るには良い一冊では
ないでしょうか。
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いやいやちょっと待て、あなたも十分おかしいですよ!と言いたくなるのは私だけ?
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図書館で借りてみてから高尾慶子ハマり中。けっこうズバズ書いちゃう人。ネット検索してみたが、今も生きているのか不明。
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少し古いエッセイですが、爽快な読後感と、英国、日本に対する愛を感じます(^^)
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かなり前のイギリスを書いてあるが、今でも結構通じるものがあると思った。
イギリス人の気質をわりと明確に言い当ててる感じで読んでいて痛快。ただし、個人的な見解で、偏りすぎている感も否めない。 -
図書館で。
イギリスで仕事をしている、旅行者ではない労働者の(でも外国人の)目から見たイギリス観。住んでなければわからない、知らない事は多いんだろうなぁ、と思いました。が。比較対象として日本が出てきますが日本も今やそれほど夢のようなよい国ではないのよね、と思いながら読みました。
サッチャー元首相への攻撃はある程度まで読み進めてげんなりしました。現代イギリス政策の批評本というわけではないので軽めに済ませてもらった方が読みやすかっただろうなぁ、と。何が良いとか悪いとかでもないし比較文化というのはなかなか難しい分野だな、と思いました。日本は義理・人情というよりも周囲の目を異様に気にする、もしくは気にしないと生きていけないような歴史があったからああなったのであって…。今では日本も大分変っていると思います。が、それを一概に政治の所為にしてもねぇ。あ、でもゆとり教育とかは政策だったのか、そういえば。
それなりに面白く読みましたがそれほど続けて読みたいという本ではありませんでした。