【貴重!】歴史小説家・海音寺潮五郎が手がけた日本の城郭ガイド!
作者の海音寺潮五郎氏は、私が複数冊読んだ唯一の歴史小説家です。って、全くもってほめられた紹介の仕方ではありませんが……
決して日本史に関心がないわけではないのですが、戦国大名が国取合戦を繰り広げる話についていくのは、ちょくちょくつらくなるのです。戦争で物事を決めていたのかと思うと何だかなー。群雄割拠の時代だったと言ってしまえばそれまでですが★
似た内容でも、架空の世界でSFファンタジーとして読むほうが、自分には合っているのかもしれません。おっと、話が脱線してしまったようだ。
そんな私ですが(どんな~?)、海音寺氏が描いた上杉謙信伝『天と地と』だけは別口扱いなのです★ 甲斐の武田信玄ではなく越後の地方英雄を選んだ着眼点、小気味良い語り口、スケールの大きさ、愛の悲しみ、そして幾度かの映像化がいずれもクオリティーに恵まれたこと等々、『天と地と』の魅力を語れば尽きません。
その著者・海音寺潮五郎さんに活字でお城へご案内いただけるとあらば、完全にひいき目で読んでしまいます。それでいいのだ♪
紹介されるのは十二の名城。熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、跳んで五稜郭まで網羅した名ガイド☆ これらの城すべてがドラマを秘めているのです(なぜか悲劇が多いようですが……)。
まずは城に主(あるじ)あり。名城とは名武将が棲むところを言うのじゃな、と勝手に盛り上がって読みました☆
築城から何代か経過すると、侍たちだけではなく城そのものにも気質がにじみ出てくる、城ごとの性格が表れる、という点も興味深く感じたのでした。
作者は創作に当たって知識を駆使する意味でも、ぬかりなく調べて綴ったものと察しまするが、読む側としては肩肘はらずにさらっと楽しく読める一冊☆ 本書を旅行鞄に忍ばせて、お城巡りに出かけてみたくなりました★