猫のつもりが虎 (文春文庫 ま 2-21)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167138219

感想・レビュー・書評

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  • グレタ・ガルボの足は太くて歩き方はばたばたとして優雅ではなかった。撮影の合間に裏方たちとキャッチ・ボールをするのが好きで、実は男だったという噂があった。なんていうどうでもいいような話題をああでもないこうでもないと論じて、「~なのでせう」あるいは「きっと~にちがひない」と勝手に断定する。17編。和田誠の絵がいい。まあ、いつもに比べてパワーは控え目かな。

  • 丸谷才一・文 × 和田誠・絵
    のかけ合いの妙なエッセイ集です。

    丸谷才一さんの文学、芸術やその他諸々に対する造詣の深さと、感性の瑞々しさのギャップに思わず「ふふふ」となってしまいます。
    これはやみつきになってしまいそう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「思わず「ふふふ」となって」
      とっても硬い方だと思っていたら、ニヤリとさせて貰える洒脱な方でした(一番最初に読んだのが「忠臣蔵とは何か」だっ...
      「思わず「ふふふ」となって」
      とっても硬い方だと思っていたら、ニヤリとさせて貰える洒脱な方でした(一番最初に読んだのが「忠臣蔵とは何か」だった所為かな?)
      2012/11/19
    • marikoさん
      >nyancomaruさん
      「硬軟自在に」というのはまさにこういうことですね。
      >nyancomaruさん
      「硬軟自在に」というのはまさにこういうことですね。
      2013/01/08
  • 丸谷才一・和田誠という黄金コンビの一冊ですが・・・、古い本だったのか。新しいものと思って買っただけに、ちょっと残念。丸谷さん、まだまだがんばってくださいね!

    • goya626さん
      お亡くなりになりました。
      お亡くなりになりました。
      2020/05/30
  • 丸谷才一のエッセイ集。軽妙洒脱な語り口で短くまとめられているので、とても読みやすく、いつでもページを開けます。
    いろいろなことに対する柔軟な好奇心と、深いうんちくにひきつけられます。

    ベルトの用途が時代で変わってきたとは知りませんでした。そして、グレタ・ガルボの男性説には笑ってしまいました。
    あの煙るような銀幕の向こうに霞む、世紀の大女優をつかまえて、なんということでしょう。
    相撲の四十八手を覚えたら、表現力がつきそうです。
    また、冬にロシアに行ったら、ぜひアイスクリームを食べてみようと思います。

    MindMap→http://lily-book.seesaa.net/article/152017678.html

  • 「猫のつもりが虎」丸谷才一 文春文庫2009。単行本初版は2004だそう。丸谷才一さん(1925-2012)のエッセイ集。
    2018年の12月に読み終わっているようで、およそ一年前。ほぼ完全に忘却。
    丸谷才一さんのエッセイとか評論は大好きで、特に軽めのものはチャンスがあればいつでも読みたいな、と思っています。
    確かこの本は、近所の古本屋で文庫本を見つけて100円だから買ったと思います。
    スカートについての考察とか、グレタ・ガルボが実は男性だったという都市伝説の話とか、あと食べ物の話など、
    かなり晩年の軽さ、それに話題的な軽さもあって、非常に読みやすかった印象。楽しかったです。
    丸谷さんは、とにかく明るくて、からっとしている。そして、ユーモアにあふれています。
    もちろんそれだけではなくて、なにより強靱な博覧強記、そしてふむふむな考察に溢れているのが基幹の魅力なんですが、
    それにつけても同じ背骨があっても、暗かったりひねくれていたり陰湿だったりする書き手さんもいるわけで(それが悪いというのではなく持ち味として)、
    むしろ日本人の書き手さんはそういう人が多い気がします。
    アメリカ=米語、が文章世界の土台にある村上春樹さん、
    イギリス=英語、が土台にある丸谷才一さん。
    このおふたりは、どこかしらか「バタくさい」というような表現を超えて、米語なり英語なりという道具を上手く活かして、風土的なしがらみから情緒を解放している気がします。
    そういうのが、嫌い、という人もいらっしゃると思います。僕は好きです。

    表紙も含めて、今は亡き和田誠さん、素敵です。

  • 丸谷さんは昔から好きだが、本作も最高。軽妙洒脱。「エジプトの女王」は特に良かった。クレオパトラというと妖艶でエスニックな美女かと思いきや、その知的な美貌で貴人たちを惹きつけていた…(のかもね)という話。「アントニウスはクレオパトラに20万冊の本を贈つた。エジプトの女王がねだつたのでせう」。あと彼女は「ギリシャ人」!

  • ───天使が通り過ぎる時───

    小説ばかり読み続けていると「はて、この前は何を読んだっけ?」と分からなくなることがたまにある。
    小説は物語世界に自分が入りこんで読むので、前の作品を読み終えて次の作品に入ると、今は高校生なのにその前は刑事だった、などという人格崩壊が起きてしまい、ストーリーさえ忘れてしまうときがままある。
    なので、読み終えたら、まず早めにレビューを書くか、要点だけでも書き留めておかないと、レビューさえ書けなくなる。
    年をとったせいもあるのだろうが。
    やはり、合間に毛色の違う読み物を挟んでから、別の小説に取り掛かるほうが楽なようだ。
    そんなわけで、久々(数十年振り)に、高校時代によく読んでいた丸谷才一氏のエッセイを読むことにした。(図書館の文庫コーナーでたまたま目に留まったので)

    丸谷氏のエッセイは雑学というか、知的探究心を満たしてくれるのものが多いので、「ふーむ、なるほど」と頷きながら、(これは何処かのネタで使えるな)と思いながら読める。
    彼のエッセイを読んで得た知識は、若かりし頃、いろいろな場面で活用させていただいた。
    例えば学生時代。
    女の子とデートの最中に「会話が途切れて訪れる沈黙」=「一般的に『天使が通り過ぎる時間』というやつです。(フランス語で言うとアンジュパッセ)」が怖かったので、そんな時に、
    「何故に英語で蒸留酒を精神と同じ『スピリッツ』っていうか知ってる?」とか
    「この煙草、どうしてCOOLじゃなくてKOOLというスペルなのか分かる?」などと言って、その危機を切り抜けるのによく使った。

    さて、丸谷氏が今でも現役でエッセイや書評、小説を書き続けているのはたいしたものだ。
    もう86歳であらせられる。
    (昨年、文化勲章を受章されました。遅ればせながらおめでとうございます。)
    この『猫のつもりが虎』というエッセイ集は、文春文庫の2009年7月の発刊なので、けっこう最近の本である。
    ただ初出一覧を見たら、全て1990年から1993年に書かれたものだ。
    それでも面白く読める。やはりたいしたお方である。
    ただし、彼なりの拘りで相変わらずの読みにくい旧仮名遣い。(「てふてふ=ちょうちょう」の世界)
    「かはいさうだつた。=(かわいそうだった。)と書かれても、今の若い人たち(私とて)は読みづらくて閉口すると思うが、そこは丸谷氏の信条だから致し方ない。
    それでも、慣れればさほど苦にならないので、このエッセイからも面白いネタを吸収した。
    「寒冷地アラスカでアイスクリームが大人気」とか
    「編集者が作家から最終原稿を受け取るとき、必ず何か言うのだが、相撲好きの夏目漱石にはこんな言葉を返したのでは?」とか、かなり面白い。

    雑学的な知識を仕入れたい、デートで会話が弾まなくて困るという方には、丸谷才一氏のエッセイを読むことをお薦めします。
    いろいろ応用できると思いますので。

    ───最後に、天使を通せんぼ(?)するための雑学を一つ。

    ナポレオンが捕まってエルバ島に流される時に言ったとされる有名な言葉があります。
    「エルバ島を見るまで余は有能なりき」というやつです。英語で言うと、
    Able was I ere I saw Elba.  註:ere=before
    日本語で聞いたことはあるかもしれませんが、英語の文字を見て気づきましたか?
    「タケタガヤケタ」の英語版で、前から読んでも後ろから読んでも同じスペルなのです、これ。
    すごいでしょう。(これを今でも覚えている自分にも驚く。何度も使ったからか……)
    デート中に(天使が通り過ぎそう、ヤバイ!!)と思った時にでも使って頂ければ本望です。
    註:「ナポレオンはフランス人なのに、どうして英語で言ったんだろう?」という疑問など抱かずに。

    • 杜のうさこさん
      はい!そうです。ご覧になりました(笑)

      コメントしようかな~と迷ったんですが、出張でお忙しそうだったので、
      「koshoujiさんな...
      はい!そうです。ご覧になりました(笑)

      コメントしようかな~と迷ったんですが、出張でお忙しそうだったので、
      「koshoujiさんならわかってくれるはず」
      と信じて「いいね!」だけでガマン(笑)

      これ、すごいですね!
      面白いです!何故英語?あはは~
      このレビューを読んで読みたくなっちゃいました。

      koshoujiさんの青春時代のエピソードには
      いつもほっこり(*^-^*)
      またたくさん聞かせてください!
      2015/11/10
    • koshoujiさん
      そうなんです。この英語版“タケヤガヤケタ”を知った高校生の時は、
      「これは面白い!!」と思ったんです。
      うさこさんのコメントを読んで、こ...
      そうなんです。この英語版“タケヤガヤケタ”を知った高校生の時は、
      「これは面白い!!」と思ったんです。
      うさこさんのコメントを読んで、これが何の本に書いてあったのかが気になったので、
      さっきまで本棚から古い本をやたら引っ張り出して30分ほど苦闘していました。
      が、残念ながら結局分かりませんでした(笑)。
      知ったときは、「これは使える」と思ったんです。
      で、大学に入ってデートをした時、“天使を通せんぼ”するために使ったのですよ。
      すると、その子が、すかさず、
      「でも、ナポレオンってフランス人じゃないの? なんで英語なの?」
      と鋭いツッコミをされ、そのとき初めて私は「そういや、そうだな」と気が付いたのです(笑)。

      でも、別の子とデートした時もめげずに使いましたけどね。(^^)/
      他の子はあまり拘らず「〇〇君って、物知りだね」と言われて有頂天になっていましたが。
      すかさず素朴なツッコミを私にした子は、たしか日本一の天才女子が集まる、天下の桜蔭高校出身だったような……(笑)。
      今、思えば、あのブログにここまで書いた方が面白かったかもしれません。今から修正しようかな・・・・・。
      2015/11/10
    • koshoujiさん
      ははは、本当に追記してしまいました・・・・・。(:_;)
      ははは、本当に追記してしまいました・・・・・。(:_;)
      2015/11/10
  • 短いエッセイ集17篇。博学の丸谷氏についていけないが、話は面白いものが多い。日常の視点を離れてなるほどと気づかされる。

  • ジャケ買い♡

  • ニヤッとしたり、勉強になったりなエッセイ集。
    力の抜け具合が寝る前に丁度よかった。

    日本にも建築の批評家が必要だという話。
    ロシア人は何でもロシア人が発明したことにしないと気が済まない話(米原万里はこういうことは書いていなかった気がする)。
    野球好きなタクシーの運ちゃんの話。
    本居宣長の話。
    日本の単純美とゴチャゴチャ美の話。
    等々…

    底を流れるアカデミックな雰囲気に憧れる。
    もっとたくさん丸谷さんの本を読みたい。

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著者プロフィール

大正14年8月27日、山形県生まれ。昭和25年東京大学文学部英文学科卒。作家。日本芸術院会員。大学卒業後、昭和40年まで國學院大學に勤務。小説・評論・随筆・翻訳・対談と幅広く活躍。43年芥川賞を、47年谷崎賞を、49年谷崎賞・読売文学賞を、60年野間文芸賞を、63年川端賞を、平成3年インデペンデント外国文学賞を受賞するなど受賞多数。平成23年、文化勲章受章。著書に『笹まくら』(昭41 河出書房)『丸谷才一批評集』全6巻(平7〜8 文藝春秋)『耀く日の宮』(平15 講談社)『持ち重りする薔薇の花』(平24 新潮社)など。

「2012年 『久保田淳座談集 暁の明星 歌の流れ、歌のひろがり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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