- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167141653
感想・レビュー・書評
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江戸時代に絵を描くという世界にイ生きようとする女性のすざましさ、この作者 女性を書くのがうまい
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う〜〜ん、難しい。
主人公の明世。奔放な性格で、絵一筋を目指しながら20年にわたり間島家の嫁としてそれなりに勤め上げる。いっそ、奔放に徹するか、絵を捨てて良妻賢母に徹すれば、もっとスッキリするのでしょうが。むしろ当時のしきたりで言えば悪妻に当たるのでしょう。
ただ、修理との再会あたりから、話はグッと盛り上がってきます。秘めたる愛、そして再び大きくなる南画に対する情熱は、最後には。。。。
ストーリー全体としては納得できないところもあるのですが、やはり独特の情緒や、凛冽とした文体などで読ませてくれます。
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今よりももっと女性が不自由な人生を強いられる時代なのに結婚して家に仕えながらも絵への情熱を捨てず、最後まで自由を求めた主人公の明世が素敵でした。
必ずしも全てがうまくいくわけではなく、終盤に哀しい出来事もありますが、それでも前を向くことができる強さが良かった。
全部読み終えて、ふと、表紙を見ると2羽の鴉の絵……この表紙は、作中の文章からだったのかと、しんみりとしました。
初読みの作者さんでしたが、しっとりとした筆致で、物語の中にぐいぐい引きこまれました。
他の作品も読んでみようと思います。 -
この本は、幕末の動乱を背景にしながら、絵の世界に生きようとする武家の娘の半生を描いた時代小説です。
乙川さんの文章は、情景がすっと頭の中に浮かんでくる。天才的な文章力です。
この人の小説を読んだ後はどんな作家さんの文章もあっさりしすぎて物足りなく、また時には幼稚に感じたりもしてしまいます。
乙川優三郎、恐るべし!
川の流れのようにゆったりとした時間を味わい尽くさせていただきました。そして、幸せとはいえない結末でありながら少し癒されました。
「丁寧」の絵が観たい。。 -
新聞に連載されていた時から、ずっと楽しみに読んでいた作品です。幕末の小藩に生まれた末高明世は、南画に魅せられ、画家を志した。だがこの時代、武家の娘は親に逆らい画家になることは許されず、明世は不本意な結婚を強いられる。しかし、年月が流れても、明世の胸には絵に対する変わらない情熱があった。明世が絵を描くシーンがとてもいい。姑との会話も、忘れがたく、何度も読み返した。
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江戸末期に生きる比較的裕福な武士の家に生まれた女性が主人公。何をするにも家人の許しが必要で、 女子として夢を貫き生きていくには辛い時代。画家志望であったが自分の意思とは関係なく家を守り続ける。しかし愛する人を次々と亡くし家も没落。しかしどんなドン底にあっても生きる希望を捨てずに夢を追い続ける姿に気持ちがほんわり温かくなります。文中のフレーズ「一枚の白紙の上には無限に思われる心の自由があり身分も男女の別もない世界が広がっている。」絵心ないが今度トライしようかな‥。
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祖母に薦められ、初めて乙川さんの作品を読みました。
しっとりした最後に、主人公の絵に対する熱意を感じました。
途中、涙が止まらなかったです…。
乙川さんの、他の作品も読んでみたいです♪