新装版 鬼平犯科帳 (19) (文春文庫) (文春文庫 い 4-70)
- 文藝春秋 (2000年12月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167142711
作品紹介・あらすじ
双肌をぬぎ、太やかな腕を剥き出しにして、せっせと桶をつくる働き者のおろくは、息子の変事をきいて顔色が変わった。「これ、どうしたのだ?」「うちの子が、勾引(かどわか)されたんでございます」叫ぶようにいったおろくが、平蔵の手を振り切って家を走り出た。──幼児誘拐犯は、実の親か? 卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が……。「霧の朝」「妙義の團右衛門」「おかね新五郎」「逃げた妻」「雪の果て」「引き込み女」の六篇を収めた力作短編集。
感想・レビュー・書評
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幼児誘拐犯は実の親か?卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が…。ある時は鬼になり、ある時は仏にもなる鬼の平蔵の魅力を余すことろなく描く力作6篇。
コロナ禍でモヤモヤする最近だが、鬼平犯科帳の映像化というニュースが飛び込んできた。平成の時代を中村吉右衛門版で楽しんできた私には、今から配役を自分なりに想像する楽しみが出来た。 -
時々、ふらっと長谷川平蔵に逢いたくなります。
盗賊改方の木村忠吾は、最近はおかしらが、若い同心でまだ新婚早々の細川峯太郎ばかりを共に連れて市中見回りばかりするので、妬ましくて仕方ない様子。
それにしても、柿に味醂をかけて食べるのは、美味いのだろうか?きになります。 -
「霧の朝」幼児誘拐
「妙義の團右衛門」ありがとう利平治
「おかね新五郎」鉄火と剣豪
「逃げた妻」が戻ってきて一緒に逃げてほしいという
「雪の果て」そのろくでもない末路
「引き込み女」もうちょっと何とかならんかったのか -
霧の朝
妙義の團右衛門
おかね新五郎
逃げた妻
雪の果て
引き込み女
「妙義の團右衛門」また密偵が一人…。分かっていながら読み進めるのはすっきりしない。
「逃げた妻」「雪の果て」木村忠吾の馴染みの店、治郎八に通う浪人 藤田彦七との話。
「引き込み女」おまさが女賊 お元と再会。引き込みのはずなのにまさかの展開。磯部の万吉はまた出てくるか。 -
一度崩れてしまうと、破滅するしかないのか。
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本巻は親子の情、火盗改メと盗賊の内通合戦、男と女の難しい縁、と何とも盛り沢山な内容であった。怨恨から子を誘拐した賊を、当初疑われていた実の親が見つけるとは小説ならではなのだが、読んでいる間はするりと読み手の懐に入ってくる。恐ろしいことだwww「妙義の團右衛門」でしてやられた平蔵だったが、馬蕗の利平治の仇を討つことで意地を見せた時には、こちらの溜飲も下がる思いだった。
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「霧の朝」、「妙義の團右衛門」、「おかね新五郎」、「逃げた妻」、「雪の果て」、「引き込み女」の6編を収めた力作短編集。