新装版 鬼平犯科帳 (21) (文春文庫) (文春文庫 い 4-72)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142735

作品紹介・あらすじ

大島勇五郎は、名前ほど勇ましくないが有能な同心だ。しかし最近おかしい。不審を感じた平蔵が、自ら兇盗の跳梁を制する「春の淡雪」、探索方から勘定方に戻されて、ふて腐れていた細川峯太郎が、非番の日に手柄を立て、再び探索方に戻るまでを描く「泣き男」、浮気の虫が騒ぎ出した木村忠吾にも温かく厳しい眼をそそぐ「麻布一本松」ほか、「瓶割り小僧」「討ち入り市兵衛」「男の隠れ家」を収録。“仏の平蔵”の部下への思いやりをしみじみと描く、慈愛溢れる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 鬼平犯科帳 (21)

    20巻で、探索方から勘定方に戻されてしまっていた細川同心が非番の日に手柄をたてる「泣き男」。めでたく探索方に戻ったはいいのですが、自分にとって都合の悪いことを隠すという悪いクセが治らず、鬼平さんに怒られていました。
    この細川同心と同じくダメっぷりを見せてくれるのが、「麻布一本松」での、木村忠吾さん(この人はもうお約束)。
    この二人のように、ある意味笑えるダメさ加減ならまだよいのですが、火盗改方の同心でも洒落にならない破滅をしてしまう人がいます。今回は「春の淡雪」で登場した、大島同心がのっぴきならないところまで追い詰められ、悲惨な末路になりました。
    色んな部下が居て、それを束ねる鬼平さん。懐が深く、まさに理想の上司だと思います。

  • 「泣き男」おかえり細川
    「瓶割り小僧」少年時代ちょっと知ってただけ
    「麻布一本松」市口また出た
    「討ち入り市兵衛」盗賊同士の大喧嘩
    「春の淡雪」さようなら大島
    「男の隠れ家」不憫な婿養子と盗賊のお友達

  • なんだか、きれいな季節を憂うような題名の話は、同心が切なく死んでしまうような。どんな人にも欲がある。そこに付け込まれるのか。

  • 2022.2.26 読了


    やっぱり長谷川平蔵!
    理想の上司!!
    カッコよすぎる。。。



  • ※読了2回目と思われる
     売却済み

  • 事件が解決してからの平蔵

    「わしはな、佐嶋」
    「は‥‥」
    「もはや、すでに死んだつもりよ」
    「何と、おおせられます?」

    「この年齢になって、あれこれしたいと想うていた楽しみは、すべてあきらめたわ」
    「もっとも、若いころのわしは、他人の何倍も男のたのしみを味わってきたことゆえ、いつ死んだとて、おもい残すことの、先ずは無いと申すことよ」
    「いまのわしは、若いころの罪ほろぼしをしているようなものじゃ」

    いい生き方、羨ましい。男はこうでありたいものだ。

  • しぶといな、細川峰太郎。
    ここまで生き残ればずっと生き残れるかもしれない。

    平蔵さん、いくつか刀を使い分けてますよね。
    どれが何だかよくわかっていないけれど…。
    TPOに応じて差し替えているのか、大小それから短刀とそれぞれのことなのか。
    ちゃんと読めばわかるんだろうけど…。

  • 「討ち入り市兵衛」の展開が面白い。いきなりお熊婆の所へ瀕死の重傷を負った盗人・繁蔵が担ぎ込まれ、蓮沼の市兵衛につながり、繁蔵の仇討ちで市兵衛が長官・平蔵の正体を知らぬまま非業の死を遂げる。市兵衛の配下だった長三郎達にお咎めなく、市兵衛の菩提を弔うよう解き放った場面でジ~ンときた。「男の隠れ家」でも同様に、最後に弥吉を放免するが、弥吉が戻ってきた理由がまさか追っ手の影に怯えての末にだとは笑えた。久しぶりの鬼平、やはり楽しい。

  • いよいよ鬼平シリーズも後半戦に。21巻は「泣き男」「瓶割り小僧」「麻布一本松」「討ち入り市兵衛」「春の淡雪」「男の隠れ家」の6短編から成る。この六話は個性的な登場人物が登場し楽しめる。

  • 心に沁み入る話が多かったです。手柄を立て再び探索方に戻れることになった細川の話『泣き男』をはじめ、盗賊の頭が部下の仇討を果たす『討ち入り市兵衛』、道を踏み外し戻れなくなった同心の話『春の淡雪』等々。益々、円熟味を増しているのに、もうすぐこのシリーズも読み終わってしまうと思うと寂しい・・。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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