総員起シ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167169060

作品紹介・あらすじ

沈没後九年で瀬戸内海から引揚げられた悲劇の潜水艦イ33の一室から、“生けるが如き”十一の遺体が発見された。表題作のほか、「烏の浜」「海の棺」「剃刀」「手首の記憶」を収める。

感想・レビュー・書評

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  • 大平洋戦争の5つの短編集。特にタイトルにもなっている「総員起シ」が秀逸。作者の吉村昭氏の戦艦武蔵に通じるドキュメンタリーとして型潜水艦の引き揚げを描いている。

  • 悲惨無惨

  • 伊33号のこの事件のことを初めて知った。サルベージされていく経過はドキドキハラハラ。ドラマを見ているよう。

  • 短編集
    総員起シはプロジェクトX的でさくさく読めました。
    他の話も、戦争は悲惨だ!と押し付けられるのではなく、じわじわと押し寄せる恐怖と悲しさがあります。

  • 淡白に、目の前で起こっている状況を書いているからこそ、伝わってくるものがある。
    「総員起シ」など、身ぶるいしたほどだ。
    「烏の浜」は冷たい海に沈んでいく兵の震えを感じた。

    戦争といえば、特攻隊員であったり、家族を思う兵の姿を取り扱った物が多いが、むしろこういう戦史小説のほうがよほど…と思う。
    比べてはいけないのだろうけれど。

    前者は「聖戦」と正義を彩った者たちの何が違うのだろうかと考えてしまう。

  • 戦争中の悲惨な出来事を生々しく書いた短編集。終戦直前に北海道の漁村に流れ着いた500の兵士の真新しい遺体、終戦後の8月中に樺太からの引揚船が国籍不明潜水艦に攻撃され沈没した際の乗船家族たちの悲惨、樺太でソ連軍の婦女暴行を避けるため集団自決した看護婦たちと生き残った人たちの心の傷、沖縄の地上での闘いを見た15歳の少年、そして事故により沈み、9年後に60㍍の海底から引き上げられた潜水艦の中で生きていた当時そのままの姿で見つかった約20人の遺体と遺書、そして生き残った2人の脱出劇とその後の人生。いずれも戦争の陰でいかに多くの人命が悲惨な状況の中で失われていったか、改めて心に深く刻みつけられます。しかし、少し暗すぎました。

  • in a sense, this novel was impressive beyond the reach of my capacity and I wil not forget reading this horrible war stories. I learned human responses to extremely abnormal conditions of the war.

  • 2012.4.27(金)¥157。
    2012.5.24(木)。

  • 4167169061  286p 1991・1・25 9刷

  • 訓練中に沈没し9年の歳月を経て引き揚げられた潜水艦『イ33』。その中の一室には生前の姿のままで発見された兵士の遺体が・・・。潜水艦の引き揚げに総力を上げた技術者、生き残った兵士の証言、死に物狂いで艦内に入りカメラを向けたカメラマン。
    あまりにも壮絶で息を飲んで読了。
    他、4編を収録。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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