- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167169169
感想・レビュー・書評
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731部隊の研究者、曾根二郎の実話を小説化。
どうせ死刑になるならと捕まえたスパイ達の人体実験を提案する曾根。最初は凍傷対策などだったが、いつしか蚤などを使った細菌兵器への研究へと傾いていく。そこには科学者としての知的探究心や自身の立身出世があり、倫理的な問題は表面上は消えていく。
対中国や対ソ連で実際にこれらの兵器が使われた事実は戦律する。さらに戦後はアメリカに利用されたというのだからさらに驚きだった。
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医者や科学者が持つ探究心が突き詰められ過ぎると時として狂った方向へ向かってしまう。それが戦争という人と人が殺し合う状況下の中、人が人と思わなくなり、人が人で無くなる本当に狂気に狂った行為が行われる事もしばしばある。俗に言う"731石井部隊"が極秘で行った細菌戦用兵器開発と人体実験が生々しく描写された史実小説は予想通りの重苦しさで頭が痛くなった。実験材料となる囚人達を丸太や満州猿等と蔑んだ呼称で呼び毎日非道な実験を行う心境は計り知れないし知りたくもない。理性をこれ程まで無くしたら最早人間として終わりでは無かろうか。
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戦争の暗部というより、近代日本の暗部そのもの。そして、暗部は勝者にもたらされ、共有され占有される。戦いに正義などなく、勝者にも正義はない。危険で極悪な俗悪も審判もなく、裏取引だけで葬られる。この小説はなぜ復刻されないのだろう。
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装丁が違うんですが…初期の作品ぽい。人体実験シーンが衝撃的。
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4167169169 221p 1989・8・10 1刷
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太平洋戦争末期、満州で行われていた人体実験を行う巨大施設のおはなし