ドラゴン・ティアーズ――龍涙 池袋ウエストゲートパークIX (文春文庫 い 47-17)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174200

作品紹介・あらすじ

時給300円弱。茨城の"奴隷工場"から19歳の中国人少女が脱走した。彼女が戻らないと、250人の研修生は全員が強制送還される。タイムリミットは1週間。捜索を依頼されたマコトは、チャイナタウンの裏組織"東龍"に近づく。彼女の事情を知り、板ばさみになり悩むマコト。万策つきた時、マコトの母が考えた秘策とは。

感想・レビュー・書評

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  • 「家なき者のパレード」が印象的。
    社会のボトムで弱者が、さらに弱者を喰らう。
    声の届かない透明人間達が、表面下で搾取され続け、人間の尊厳などいとも容易く踏みにじられる有様が、なんともやるせない、、

  • 毎回読んでいるシリーズなので。
    読みながら、前にも読んだことあるような….とも思いつつ、サクッと最後まで読めました。

    今回のテーマは「貧困、格差社会」
    借金や低賃金に苦しむ現代の若者の姿が4作にわたって描かれている。

    マコトは池袋のトラブルシューター。日々池袋に潜む問題を自分の目で、脚で確かめ、頭で考えて解決していく。

    この作品を読むといつも、マコトの世の中をみる目と人への寛容さにハッとさせられる。自分より偉い人や立場の弱い人、たとえばホームレスなどにも平等に接し、人間と人間として会話をする。前文にはいつもマコトが私たちに語りかけてるくる文があるのだが、それを読むといつも私は胸が痛くなり、切ないような気持ちになる。私が東京で生きるなかで徐々に失ってしまった感情がそこには語られていて、それが物語の中で起こる問題であり、現代の様々な社会問題に繋がっている。
    マコトの視点や寛容さを忘れたくなくて、私はいつまでもこの作品を読み続けているのかもしれない。

  • 相変わらず池袋にある果物屋(実家)で働くマコトは危ない事件に巻き込まれる。今回は中国マフィアやらぶっちぎりにヤバい奴らと対峙する。もはや長瀬智也と窪塚洋介をあてこみながら読むわけだけど、何にしてもカラッとした文体と疾走感が最高にカッコイイ。ずっと続いてほしい。続くと思うけど。

  • 社会問題を題材に、池袋の若者の今を描くシリーズも9作目。

    格差社会の下半分で必死に生きている人々に訪れる不幸な事件の数々。どの物語も、弱者が弱者から奪う構図になっている。
    石田衣良は底辺であがく人々に焦点を当てて、彼らの再起を暖かく見つめる。その視点こそがこんなにファンを獲得できる所以なのだろう。
    ただ甘く優しい文章だけでなく、時に硬質な語り口になり、僕たち読者を凍りつかせるのだ。これらの問題が無くならない限り、マコトもタカシも走り続けるのだろう。

    実はこの作品を読んでいる時に、次巻で終了であることを知ってびっくりしていたのだが、それも一時的なものらしく、すでに第二次シリーズが開始されていることを知って、ほっとした。

    物語はいつもの4編の構成。最終話にじんときた。
    中国から二本の工場に送られてくる研修生を救う話。
    中国のことを知っているようで、ほとんど知らなかったんだなあ。

  • 表題作はほぼマコトが活躍できてないんだけど、マコトがいないと成り立たないというちょっと不思議な話だった。人と人をつなぐのが彼の役割なのかな。

  • 表題作が面白い。
    なんと言ってもマコトの母ちゃんがかっこいい。
    キップが良くて肝心なところをビシッと一言で決める。流石、マコトの母ちゃん。
    出てくる中華ギャングも含めて余り後味の悪い奴は出てこない。
    最後の落とし所が素晴らしい。

  • 石田衣良さんの作品の中では未だにIWGPシリーズが一番しっくりくる。

    石田衣良節というのか癖が、マコトの語りに一番合っているからか。

    続巻が出ているとは知らず、未読だった分をまとめ読み。

    美容系キャッチセールス、出会い喫茶、中国人の違法就労。

    それにしてもキングがキャッチとはね…
    私の中では未だに窪塚さんなんだけど…

    中国人の違法就労、シビアで難しいな〜と思ったけど、マコトのおふくろさんがあっぱれすぎた。
    なかなかできる決断じゃないよ。

  • 最後のドラゴンティアーズが意外な結末だったけど心温まった。久しぶりに好きと思えた良い話。

  • 今回はマコトがあんまり何もしてないような印象を持った。なんか真っ当なことしか言わないし。マコトも年取ったということかな。

  • おもしろいし題材は新鮮なんだけど、シリーズの始めの方に比べると、スピード感がない。
    今回はあんまりマコトの知恵を絞るかんじがなくて、案内人ぽくなってる気がした。

    マコトも歳をとったのかな。
    ガキというカテゴリにはもう入らないしね。

    そこが残念。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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