山霧―毛利元就の妻 (上) (文春文庫) (文春文庫 な 2-32)
- 文藝春秋 (1995年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167200329
感想・レビュー・書評
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おかた(毛利元就の妻)が輿入れするところから物語は始まります。
元就、おかた、それぞれの人物造形がとても面白く、
二人のやりとりを飽くことなく読み続けられます。
「元就はなにかというと手紙を書くのが好きな男なのだ。
けっして字はうまくない。文章も名文どころか、
読む相手がうんざりすることまちがいなしというくどさである。」
「念入り男、元就は、手紙や命令書などは、必ず写しをとるのである。」
といった元就のまめな様子、
進まない顔して戦に出て、勝利してるのに暗い顔して帰ってくる。
でもしょっちゅう「微笑んで」という表現が使われ、
穏やかな雰囲気を浮かび上がらせます。
それでいて、しっかり家の存続に尽力し、人に恨まれることもやる、
戦国の世が描かれています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
柑子色の灯
千法師
鷹の羽
細越峠
転機
地獄耳
絵図
著者:永井路子(1925-、文京区、小説家) -
大河ドラマ原作だったので読みました。謀将、智将であった毛利元就の人間的な面を描いています。
美伊の方がなくなるまで側室を持たなかったこと、美伊の方が亡くなった後の毛利元就の手紙で亡き妻を偲んでいた事実から推測される愛妻家という新しい毛利元就像を教えてくれます。
司馬遼太郎の功名が辻と双璧をなす夫婦二人三脚の戦国武将のストーリーです。
一気に読みました。 -
十六世紀初め、土豪たちがひしめく中国山地の小領主、毛利元就のもとに、「鬼」といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは否応なく戦国の夫婦として生きていくことになる。互いに支え合い、やがて元就は頭角をあらわし名将への道を歩み始め、ふたりのつむぐ明るい未来は近づきつつあった。
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政略結婚から生まれた愛
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(1997.03.20読了)(1997.01.18購入)
毛利元就の妻
(「BOOK」データベースより)amazon
十六世紀初め、土豪たちがひしめく中国山地の小領主、毛利元就のもとに、「鬼」といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは否応なく戦国の夫婦として生きていくことになる。互いに支え合い、やがて元就は頭角をあらわし名将への道を歩み始め、ふたりのつむぐ明るい未来は近づきつつあった。
☆関連図書(既読)
「毛利元就(上)」内館牧子著、日本放送出版協会、1996.12.07 -
この作品は、戦国の雄、毛利元就の妻を主人公にした小説です。
毛利元就は、中国地方全てを掌握した戦国大名として知られていますが、この物語は毛利元就の立身出世を描いたものではありません。
描かれているのは、安芸の少領主である元就が、強国の狭間で生き抜く辛酸難苦の日々です。
永井路子は、中世の女性の役目を「セックスを伴った外交官」と定義しています。
女性が嫁ぐことによって、嫁ぎ先に実家の利益を誘導させるのが女性の役目ですから、夫婦の間にも常に緊張感が漂っています。
夫婦間の疑惑、主君と家臣間の不信、小領主同士の綱引き、そして大国の圧力といったように、全ての人間関係がスリリングに展開します。
それぞれの「家」の思惑で結婚したふたりの男女が、子供をつくることで少しづつ距離を近づけて家をもり立てていく夫婦の共同作業に転化していくあたりが丁寧に描かれています。 -
次の旅行は山口県にいってみたいなぁ、
という単純な動機からはじめて手にとった毛利元就に関連する本
カレがどうやって強力な地盤を作り上げたのかを無知の状態で読んだので、先を思いながらハラハラ。
あっけらかんとした嫁と陰鬱な旦那のやりとりにほのぼの。
四季おりおりの表現が短歌のように美しく、
読んだだけで雪の中のお城や晩秋にいる気分に。 -
永井先生の作品はほぼ読みましたが、中でもお気に入りの作品。毛利元就と奥さまの物語。元就好きにはたまらない感じです。
上下巻。