イルカと墜落 (文春文庫 さ 2-15)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167209155

感想・レビュー・書評

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  • 墜落という大きな出来事を味わいつくしている沢木さんの体内時計のようなものを、一緒に感じさせてもらえた旅だった。あとがきのNHKクルーの国分さんの文章のおかげで、沢木さんの人となりが、より立体的に迫ってきてとてもよかったです。

  • 旅ばっかりしているというイメージのある沢木耕太郎が乗った飛行機が墜落する話。とてもおもしろかった。あとがきのNHKのディレクターの文章もとてもよかった。飛行機に乗るのがもっと怖くなった。

  • 「沢木耕太郎」がアマゾンでの墜落体験を語ったノンフィクション作品『イルカと墜落』を読みました。

    次々と読みたくなる「沢木耕太郎」作品、、、

    『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』、『旅する力―深夜特急ノート』、『オリンピア―ナチスの森で』に続いて連続4作目です。

    -----story-------------
    突如として死に直面したとき、人は何を思い、どう振る舞うのか。
    「窓の外の熱帯雨林がぐんぐん近づいてくる。どうやらこの飛行機は墜ちるらしい」 ―― 2001年9月22日、テレビ番組取材中の著者を乗せたセスナ機は、ブラジル郊外で不時着。幸い乗員全員は軽傷で済んだが、「死者はもとより重傷者さえ出なかったのは奇跡」といわれたほどの惨事だった。
    本書は「墜落記」としてその事故の生々しい一部始終をつづったものに、その序章にあたる「イルカ記」を加えて構成しなおしたものである。

    著者を含む取材スタッフは、現代文明に一度も接したことのないアマゾン奥地のインディオについてのテレビ番組を企画していた。
    免疫のない彼らは現代人(文明)と接することで、病気や悪弊などをうつされて死亡したり、その共同体が崩壊したりしていた。
    ブラジル政府職員の「ポスエロ」氏は、そんな彼らを救おうとしている人物で、スタッフはまず彼に会うことにした。

    『イルカ記』では、その「ポスエロ」氏との交流を軸として、インディオたちの置かれた状況を解説している。
    折にふれ描かれるジャングルの風景や地元の人々との会話が、切迫した事態をふわりと和ませてくれる。

    続く『墜落記』は予兆めいた雰囲気で始まる。
    再び本格的な取材にブラジルへ出発する著者は、その直前に「向田邦子」の追悼会に出席するが、そのあとである胸騒ぎをおぼえる。
    そしてそれを裏づけるかのように、米同時多発テロによって取材日程は大きく狂い、著者は「虫の知らせ」をより強く感じていく。
    やがて、その胸騒ぎは現実のものとなってしまうのだが。

    驚くのは事故の後、「墜落は私の人生に何の変化ももたらさなかった」と著者が言っていることだ。
    九死に一生を得たにもかかわらず、その体験に平然としていられる精神の強靭さにあらためて感心してしまう。
    -----------------------

    尊敬する冒険家「植村直己」も旅したアマゾン… そのアマゾン奥地に、現代文明と接することなく暮らしているインディオ「イゾラド」との接触を試みたテレビ取材のため「沢木耕太郎」が訪問します。


    ブラジル政府職員の「ポスエロ」との交流を軸に話は進みますが、、、

    2回目の訪問時には、米同時多発テロが発生し、ブラジルへ向かう途中のカナダで足止めを食らい、その際の米同時多発テロやその報道に対する冷静な見方や、アマゾン奥地へ向かうセスナ機が整備不良?のため墜落した際の平然さは、さすが「沢木耕太郎」って、感じがしましたね。

    自分だったら、どんな行動をとっただろうか、、、

    きっと、メディアに踊らされたり、慌てて冷静さを失ったりすると思うんですよね。

    経験の違いもあるんでしょうけど… 「沢木耕太郎」らしいレポートでしたねぇ。


    それにしても、セスナ機が墜落し、大破するという大事故に遭いながら、死者や重傷者はなく、乗客五名が軽症で済んだというのは、幸運だったと思います。

    運も実力のうちなんでしょうね。

  • アマゾンでイルカを見たというのと、飛行機で墜落したという話。
    行間が広く、読み応えはない。沢木さんの思い込みが文章に多く現れていて、それが鼻につくとあまり面白くは感じられない。
    逆に、その沢木さんの思いに納得できるならば、「ああ、墜落にしてもこういう感じ方があるのか」と共感できる。

  • 沢木耕太郎に実際起きたことが書かれている。非常に興味深い。

  •  直前に読んだ「杯」の中で、何度か「飛行機の墜落体験だってあるんだ」と述べられていて、ナンノコッチャ?、と思ってたら、こういうことだった(゜o゜;
     当時ニュースになったんだろうけど、まったく記憶に残ってない(>_<)

     前半はともかく、後半はいい意味で「上出来な中学生の作文」みたい( ´ ▽ ` )ノ
     解説で「沢木さんの作品が面白いのは彼が聞き上手だから」と書かれているけど、こういう自分自身のとてつもない体験を描くとなると、また別の回路が働きだすみたい( ´ ▽ ` )ノ
    「いつになく嫌な予感がした」とか「まるで映画の中にいるみたい」とか、異常な経験の渦中にあることを子どものようなむき出しの好奇心でワクワク楽しんでいるさまがしっかり伝わってきて、読んでるこっちも不謹慎ながらついニッコリしてしまう(そういう意味で「上出来な作文」)( ´ ▽ ` )ノ
     
     ひょっとしたらだけど、サワコーのノンフィクションの基底にあるものは、こういう異常体験への羨望なんじゃないか?、とも思った( ´ ▽ ` )ノ
     ボクシングのチャンピオンになったり、すべてをかけてそれになりそこねたり、誰にも知られずひっそり社会の奥底に埋もれたり……そういう、サワコー自身が経験し得なかった「次元」への切望が、これまでの執筆活動の原動力になってたのかな?、とか( ´ ▽ ` )ノ

     まあ、こういう一生一度あるかないかの事件に遭遇できたことは、サワコーにとって幸福だったんだろうね( ´ ▽ ` )ノ
    (ちなみに、阿刀田高のエッセイを読むと、本作なみの「九死に一生」という瞬間を、何度も何度も経験してるもんだから、愕然とする(゜o゜;)

    2018/07/11

  • 沢木耕太郎は、やはり、かっこいい。


    ピンクイルカに遭遇する
    乗っていた飛行機が墜落する。
    かなりびっくりな経験
    アマゾン。憧れの地。

    NHKのプロデューサーが書いた後書きがよかった。

  • 沢木耕太郎のアマゾン紀行。ノンフィクションの中で予兆や予感を描くのって難しい。

  • 自分の飛行機が墜落したときのことを書けるなんて。旅を基にするこの作家は、やはりナニかもっているなと感じさせる。生きて帰るまでが旅。

    沢木氏の傑作の一つと思う。

  • 「マジかよ!」
    実際に墜落する時に思うことってこんなものなのかも。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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