- Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167215156
感想・レビュー・書評
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天皇制の否定を喧伝しようと画策する無政府主義者たちと、大逆事件として誇大な凶悪犯罪へと仕立てようとする公権力のはざまで真の自由とは何かを問いかけてくる。思想・信仰・言論、主義主張は違えど、包摂する社会が民主主義の根幹であろう。自身との差異は分断・差別・排除へと帰結すべきではない。統制をとるなんて驕り高ぶらず、許すことの大切さ、寛容する共同体へ努める姿勢が人道的となる。ここに記された事件記録に学びを確信し、公文書はおいそれと破棄しない、官僚はこの志を忘れるべからず。
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明治の終わりの暗い時代。大逆事件のことが、よくわかりました。
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大逆事件は、桂太郎内閣の意を受けた、のちの内閣総理大臣(事件当時は司法省刑事局長)平沼騏一郎の「一人の無政府主義者もなきことを、世界に誇るにいたるまで、あくまでも撲滅を期する方針」に基づく捜査のため、証拠不十分や捏造をもって控訴した冤罪の可能性を大いに孕んでいることがはっきりしている。幸徳秋水らの公判の特別傍聴席に、陸軍軍医総監の森鷗外の軍服姿が見られたのであるが、そのとき彼はなにを感じたであろうか。石川啄木は「こうして記録を精読すると、ムリに事件を大きくしていったことがわかる」という感想を述べている。
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4167215152 484p 2004・2・10 1刷
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彼らの考え方については賛成したり、出来なかったりしますが、人の生き方、命の重さについて考えさせられます。
時間をおいてもう一度読み直したい、重厚な作品です。 -
人が人を裁くとき、どんな理由でもつけられる恐ろしい話