太平洋戦争日本軍用機秘録 異端の空 (文春文庫 わ 8-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167249090

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  • 技術者の根性と、発想のすばらしさ。
    そして終戦の絶望感。

    こういう人たちが戦後にいてくれたから、今の日本があるのだろう。

  • 太平洋戦争における日本戦闘機の物語。
    ゼロ戦や隼といった戦闘機は、太平洋戦争の日本軍の主力戦闘機として大活躍し、その開発や戦歴は多くの本で紹介されています。しかし、その裏で戦闘機として企画されながらも日の目を見なかった戦闘機も数多くあり、その中でも特にユニークで印象深い試作機を紹介したのがこの本です。
    飛行機の技術的な面だけではなく、その開発に携わる人々の姿も併せて紹介しています。
    最初のエピソードは、ロケット戦闘機「秋水」です。戦闘機の動力としてロケットを装備して、どうやって戦闘を行うのかまったく想像できませんでしたが、この飛行機の仕組みはロケットで急上昇して相手の上空まで一気に高度を取り、降下しながら相手を攻撃するというものだったようです。この戦闘機の設計は、ドイツのメッサーシュミットの設計図が基になっており、実際に機体を制作して一度だけ飛行を行いました。しかし、試験飛行でエンジン不調のため墜落してしまい、技術的な問題と運用の難しさ(着陸を一回で決めなければいけない)から、結局「お蔵入り」となってしまったようです。この「秋水」を始め、前翼機「震電」、大戦中最高の飛行艇だった「二式大艇」など、大戦機マニアには興味深いエピソードが綴られています。
    大戦末期の物資や燃料に苦労する中で、戦況を打開するための飛行機開発に打ち込む人達の姿にとても感動しました。

  • 試作戦闘機「震電」のことが読みたくて購入。一気読みしてしまった。でも「必中への急降下」の解説にあるように、「流星」艦上攻撃機のことも載っていると思ったんだが……ないじゃん。

    とはいえ普段スポットライトが当たらないような機体に関してのドラマが描かれていて興味深いことは確か。あぁ、「ザ・コクピット」やっぱり売るべきじゃなかったな……。

  •  第二次大戦という混乱の世界の中で消えて行った航空機(実用化されていないのも含む)に焦点を合わせた珍しい作品。
     秋水や震電などはそれなりに有名だが、研三はこの本で知った。
     研三かっこいいよ。あの見た目はかっこよすぎるだろう……。丸っとした秋水も好きだけれど、あのすらっとした刀のようなフォルムは素敵すぎる。ぜひともこの世に生まれて欲しかった・・・(涙
     開発段階の話も出るので、航空機のメカニズムにも触れているので、知識がないと読むのも眠たくなる事この上ない←

     しかし、その世界で人人は確かに生きていたし、国の命運を賭けた開発・研究に必死になっている様子が伺える。彼らの仕事には誇りがあったり、それに伴う重大な責務もあった。
     それに屈する事なくやり遂げようという強い意志が、この作品には多く書かれている。

     この本を読むたびに、毎回秋水に会いに名古屋にいきたくなる。マジで。なんで愛知にうつっちゃったのかなー。うううう。

  • 所収の機種は「秋水」「零戦」「ユングマン」「零観」「二式大艇」「研三」「震電」.

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著者プロフィール

昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる。主著に「回想の横空夜戦隊」(編者)「首都防衛三〇二空」「彗星夜襲隊」「空の技術」「異なる爆音」「戦雲の果てで」「航空戦士のこころ」「銀翼、南へ北へ」「太平洋戦争 日本の海軍機」「非情の操縦席」「敵機に照準」「倒す空、傷つく空」「兵器たる翼」「必死攻撃の残像」「海鷲戦闘機」「陸鷲戦闘機」「急降下!」「審査部戦闘隊」(潮書房光人新社)、「決戦の蒼空へ」「液冷戦闘機『飛燕』」(文藝春秋)、「日本海軍夜間邀撃戦」(大日本絵画)、「零戦戦史 進撃篇」(グリーンアロー出版)、「写真史三〇二空」(文林堂)、「写真集本土防空戦」(徳間書店)など。訳書に「ドイツ夜間防空戦」(潮書房光人新社)、「第二次大戦のドイツ夜間戦闘機エース」(大日本絵画)、「超・空の要塞B-29」(朝日ソノラマ)など。

「2020年 『局地戦闘機「雷電」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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