ユーコン漂流 (文春文庫 の 5-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167269135

感想・レビュー・書評

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  • お金ではない「人間の付き合い」の旅。
    複雑な文明社会から解放され、自由になることの意義、そんな旅が描かれている。

    ユーコン川を下る、というと冒険と考えられるが、自己管理さえきちんとできれば実は初心者たちもできてしまうというのも未知でした。

    人がいなければ読書にふけり、居心地のよい村には幾日でもいる。
    だけど自分が旅によって「停滞」してしまうと「パワーが切れた」といってそそくさと日本に帰る。

    足掛け3年かけたユーコン3000㎞の旅。
    1度に全てではなく、そんな風にして旅するのがまたいい。
    この旅では、人との交流、読書、そして蚊の量が半端ない。

    お金を使ってしまえば閉じこもってしまえる現代の日本人が読むべき1冊だと思います。
    どっぷりとハマってはいけない旅の「魔力」と「魅力」を、ここまで的確に表現した本を、私はかつて見た事がありません。

  • 雄大な大地を流れるユーコン川の旅、アラスカで暮らす人々との出会い。心地よい時間と余韻を与えてくれる本でした。野田さんが愛犬ガクを紹介する言葉がいいです。「世界中を旅している。経験豊かな犬だ」「英語も判る。バイリンガル犬だ。」。一緒にいろいろな場所を旅してきた相棒なんですね。

    ビーバーで充満する川。この光景を見てみたいです。クマの国。ここでは人間の方が異端な存在になるのでしょう。
    ネイティブの白人に抱く感情には根深いものがあるのでしょう。マイナー言語は失われていき、外国の資本主義が入り込み生活文化が変わる。グローバリズムは文化にとって善いことなのか、文化が混合すると魅力の無い世界になってしまうのかもと考えてしまいます。

    on my own.自由な旅をしたいのなら、自身の選択と行動によって生じる結果もまた、自分自身の責任だという覚悟が必要ですね。日常、組織の一員として動いているとこういった感覚が希薄になってしまいます。自分と向き合う旅をしてみたくなりました。最も気に入った文章。「さしあたり、ぼくの欲しいもの―酒、食物、本―はすべて手許にあり、この日、人生はほぼ完璧であるように思われた。」この心境が素敵です。

  • 「なんで俺は、都市という虚構の殻に閉じこもってあーだこーだやろうとしてるんだ」って思ってしまうなあ。

    3700kmの大河を下りながら、人々と出会い、友情や仲間意識を育み、多くの大切なことを感得する旅。
    アメリカ中西部の小さな町からアラスカに移ってきた白人夫婦の話と、垣間見える幸福感・充足感。
    この地域の人々の、旅人への丁重なもてなしの精神と無条件の援助、森の中のログキャビンに鍵をかけない習慣。他人のもてなし・友情・仲間意識によらず、お金によって自動的に食べ物が出てくる貨幣経済の罪深さへの気付き("社会から「人間のつき合い」を奪っていく")。
    川のエッセイや旅行記なんだけど、結局、人と人の繋がりや社会の構造について思いをめぐらさずにはいられなくなる。

  • もう15年も前の本なんですね、いいなぁと思いながら癒されました。
    ガクかわいい。

  • アラスカはユーコン川のカヌーでの旅の記録。都会にうんざりしている人にオススメ。

  • シーカヤックが好きだと言うと、会社の先輩が教えてくれた本。

  • 傑作。

  • 2001年3月21日購入。
    2007年1月22日読了。

  • 20070125
    野口さんの本で初めて読んだもの。
    俺もこんな自由な旅をしたいし、語れるほどの面白い人生を歩みたい。

  • 作者の本でカヌーを始め、この旅が自分の夢になった。ユーコンの流れをイメージしながら読んでいると、いつしか自分も別世界に。

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著者プロフィール

熊本県生まれ。早稲田大学文学部英文学科卒業。在学中、ボート部で活躍。卒業後ヨーロッパを放浪。帰国後、高校の英語教師、旅行雑誌の記者を経て、エッセイストに。傍ら、カヌーによる川旅に打ち込む。これまでに日本の一、二級河川約200を漕破。さらに北米、ニュージーランド、ヨーロッパにまで活動範囲を広げている。長良川河口堰問題や川辺川ダム建設反対運動、吉野川可動堰問題などにかかわり、講演などを行う。

「2008年 『イギリスを泳ぎまくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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