菊籬 (文春文庫 み 2-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 119
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167287061

作品紹介・あらすじ

農家の嫁としての経験が生み出した処女作「村芝居」から円熟期まで宮尾文学の源流をなす名品集「彫物」「金魚」「自害」「水の城」「村芝居」「千代丸」「菊籬」「宿毛にて」収録。(藤田昌司)

感想・レビュー・書評

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  • 宮尾作品は、スケールの大きい長編が多い印象が強いので、短編集をどうしても読んでみたかった。ようやく手に入れた本書は、宮尾ワールドが見事に凝縮された珠玉の作品集だ。
    それぞれに濃厚で脳が痺れるけれど、その濃さがクセになり、ページを繰る手が止まらない。歪んだ愛憎が浮かび上がってくる、その巧みな描写に心を掴まれた。長編にどっぷり浸かるのもいいけれど、短編は短編で、切れ味鋭くて魅力的だ。
    恋愛物あり、歴史物あり、自伝的作品あり…色々な「女の生き様」を堪能できる、正にファン必読の一冊。

  • メモ: 途中で図書館の返却期限来て返した。土佐藩つながりの短編あり。

  • 他にも読んでみようかな 初めての宮尾さんでした

  • 昔の女性の、生々しい感情が迫ってくる短編集。

    「彫物」と「金魚」は秘めた女性の性がねっとりと表現されていて好き。

    「自害」「水の城」「村芝居」あたりはなんだか入り込めなかった。

  • ずい分昔に読んだ本ですが、最初の「彫物」という話だけはっきりと覚えていました。
    他のお話ももちろん面白いし、短編とは思えないくらいよく出来たお話ばかりだけど、その「彫物」があまりに強烈で印象的すぎるからです。
    この本はこの「彫物」を読むだけでもいいというくらい価値があると個人的には思います。

    男に捨てられてばかりの20代の芸者が自分の体が毛深い事を気にしてとうとう体に入れ墨を入れる。
    やがてその彫物師に恋をする彼女は異母妹に男をとられまいととんでもない事を決断するという話。
    読み終えて、何て残酷な・・・と思いました。
    そして痛々しい。
    この話では入れ墨を体に入れる際、どんなに痛いか、体を痛めつけるのかというのを詳細に描いていて見ているだけでこちらも痛くなってくる。
    そして、男の関心をひこうとする女心が何とも痛い。
    多分こういう女性は男性にとってはいじらしさを通り越して恐い存在なのだろうと思う。
    それがまた悲しい・・・。

    他の短編も全て女性が主人公で、大体において男性とはなんと冷酷で残酷になれるものか・・・と思うお話ばかりです。
    寝たきりになった養い親の情夫を引き留めるため、ある条件を飲む女性の話。(金魚)
    自害した土佐藩支藩の当主に仕えた女中の追想。(自害)
    妊ったまま離縁された知的障害をもつ伯爵令嬢とその養育係であり祖母である女性の話。(水の城)
    エッセイ「菊籬」私小説「宿毛にて」
    など。

    女性は確かに強い。我慢強い。
    だけどその立場は弱い。
    そう思う短編集です。

  • 最近昭和の物語が好き。特に宮尾登美子ワールド、苦境の中生き抜いていく女性像にとても惹かれるものがある。この本でも各短編を楽しめた。

  • 宮尾登美子さんの書く女性らしい文体、
    そして知的なセンスが大好き。

    『彫物』は、彫師をめぐる姉妹の話だけれど、
    結末の切なさ…。

    ふと谷崎潤一郎の『刺青』を思い出してしまった。

  • 着物の似合う美人作家さん、宮尾登美子さん。
    知的で素敵です〜。

    これは、何度か読んでる短編集なんだけど、、、
    『金魚』『千代丸』はどちらかというと、好みじゃないな〜。
    リアリティがありすぎるからかな?

    一方、幻想的な情景が眼に浮かぶような
    『自害』『水の城』なんかは夢中系です。
    どっぷり物語の中に入り込んでしまいます。

    いずれにしても、とても力のある作家さんですね。
    この本は、異なった色合いの小作品を
    楽しめる一冊、といえましょうか◎

  • 初・宮尾登美子サマ・・・。「刺青」からもうやられました・・・。男が絡めば妹でも女は女。意地になり、そして・・・。

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮尾登美子の作品

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