ドキュメント東京電力 福島原発誕生の内幕 (文春文庫) (文春文庫 た 6-15)
- 文藝春秋 (2011年7月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167356156
感想・レビュー・書評
-
2011.10.11読了。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原発ができた経緯、エネルギー政策の裏側に触れられる一冊。過去を学ぶことの大切さ、そしてそれを生かさなければいけないということを強く感じました。
-
日本の電力の曙からビフォアチェルノブイリへ至るドキュメントが、この時期に文春文庫で新装再販。
ウン十年も前に書かれた内容なれど、311後に俄かにスポットのあたったような事が、呆れるほどてんこ盛り。
この国は、ホラー小説なんか目じゃないほど、ホラーを地でいっているのだとつくづく… -
東京電力が生まれた背景、福島原発誕生の内幕が当時の関係者の取材によって丹念に書かれている。
電力を国管化したい「官僚」VS電力を国家に渡すまいとする「東京電力」の激しい主導権争いが非常に興味深かった。
現在の東電の体質からは想像できなかったが、戦前戦中の国家統制の弊害を体験した木川田(東電社長)は、電力の自立を守るために国家と激しく闘っていたのだ。意外だった。
その闘いに東電が原子力発電という武器で宣戦布告する。
原子力発電が国家対東電の戦場になった瞬間だ。
国家も東電も、日本の経済成長には安定した電力供給が必要。というゴールは共有できているのに、どちらが主導権を握るか。という日本全体の事を考えればどうでもいいことの闘いを繰り広げる狭窄さが悲しい。
議論検討も不完全のまま東電が福島原発建設へと突っ走った原因は、国家に原子力発電の主導権を握らせまいとした東電の、焦りからくる準備不足の先制パンチだったのだ。
木川田は「原子力発電は悪魔のような代物だ」と公言していた。が、その木川田が「悪魔と手を結ぶ」ことを決断したのも、主導権を国家に取られることなく、民間の電力会社が握るためだった。という事実。
原発にはどのような危険性があり、危険性を防ぐ装置をいかにしていて、それがどの程度の地震や津波に耐えうるのか。という説明を地域の住民にほとんどせず、札束でぶんなぐる形で、膨大な金でもって地域ぐるみを買収する形で原発建設を認めさせてきた。
アメリカが開発した夢のエネルギーだから、安全安心。
しかもコストが安い。
この原発導入の理由はいずれも後付けだ。
戦争の「大義」はいつの時代も後付け。
鵜呑みにせず、疑い、自分の目で確かめ続けることをやめてはいけない。 -
原子力村前史として、非常に興味深い。戦後の業界形成の構図と、その後の官民一体の体制構築手前までを綴ります。
エネ庁たち上げの思惑と、東電の代替わり(木川田→平岩)は、その後現在に至るまでの構造を十分に示唆しており、なるほどと納得。大政翼賛会になぞらえるのは田原氏らしいですが… -
1980年にこのような深い取材を行い、電力会社・官僚・政治の体制をドキュメントとして著した田原氏はすごい。