- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167371036
感想・レビュー・書評
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時代小説の短編集なのだが、すごくいい。敵討ちに出た者たちが、数十年と諸国を放浪する話とか、ああそうなんだと思ったし、女性を主人公にしたお話も趣があって読み応えがあった。作者の滝口康彦は2007年に亡くなっており、もっと早くに出会いたかったが、そこそこ作品は残っているようなので、おいおい手にできればいいなあ。
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滝口康彦 「 悲運の果て 」 武家社会における 女性の不幸と 敵討ちの不条理をテーマとした短編集。
武士の自己犠牲の先に「生きる」というテーマは感じるが、武士の残酷すぎる生涯の印象の方が強い。武士の家に生まれたら、武士になる以外に生きる手段はないのだろうか。
武士の残酷な生涯
*仕える家の存続のためには、家臣(とその家族)は 本心をあざむいて、偽りの心に生きなければならない不幸。
*父の仇を討ち果たさぬかぎり家督相続も許されず、流浪の果ては野たれ死にするほかない不条理。
その心を知らず
*物語のテーマは 本心を偽って 家の大義を 優先させる 武士の死に方を捨て、本心の通り 人間として生きることを選択した?
悲運の果て
*武士の掟〜父の仇を討ち果たさぬかぎり家督相続も許されず、流浪の果ては野たれ死にするほかない
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「一命」を読んで滝口康彦を知り、続けて本書を読了。本心をあざむいて偽りの心に生きること。それが侍の道なのか。形にこだわり命を犠牲にする。武士道とはなんと理不尽で残酷なものか。