螺旋館の奇想 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167451066

感想・レビュー・書評

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  • 田宮が入れ替わっていることには、みんなうすうすわかっただろう。
    でもそれが、沢本というのは以外だった。大久保が現れ田宮の犯罪を知り怒る沢本(偽田宮)。
    大久保と沢本が争い、殺しあう。そこに残ったのは二つの死体とよく出来た小説。一人にやりとする本物の田宮。そして、エピローグで驚愕の事実が!?
    でも、それはちょっとしたお遊びで、本当の小説はエピローグの前で終わったのだと思う。
    とてもよくできた小説だった。

  • 倒錯シリーズの番外編。老作家の久々の新作が原稿紛失し、同じ内容の小説が新人賞に送られてくると言ったお馴染み感あるプロット。物語は二転三転するが、仕掛けが大掛かりなので、わかりやすく楽しく読める。ただ、ややコミカルでバカミス要素が強い。

  • 折原さんの物語を読んでいるといつも途中で考えてしまうことがある。
    私はもう折原さんの仕掛けにハマってしまってるのではないか?
    いまはこんなふうに見えている物語も、最後にはまったく違う光景に見えてきてしまうのでは?と。
    最初から懐疑的な見方をして読むのはどうかと思うけれど、折原作品に対してだけは条件反射のように探りながら前に進んでいく感じだ。
    十年間も新作を書いていない作家が再び執筆活動へ戻ることを決意する。
    だが、プロットは編集者にけなされすっかりやる気を失ってしまう。
    突然現れた作家志望の女性は、いかにもな雰囲気をまとっている。
    想定内のトリックは、意外にも第一部のみで一応の決着をみる。
    問題は第二部だった。
    折原さんのわりには少し緩い感じはしたが、重なり合っていく倒錯の世界が堪能できる物語だった。
    「覆面作家」もそうだったけれど、重要な登場人物の職業が作家であることがたびたびある。
    作家ならではの心理に絡めた展開は読む側としても面白い。

  • 読みやすく、読んで後悔はしないレベルにはある。前後編に分かれており、『イニシエーションラブ』とメイントリックが似ている。しかし、アイデアの処理、小説への昇華ともに、あちらの方が断然スマート。こっちは、騙そうと力みすぎ。螺旋も話に全然関係ない。

  • 読み終わった今、一体なんだったんだろう…というのがまず第一の感想。悪い意味ではなく、どこまでが本当(現実)で、どこまでか嘘(夢)だったのか分からないってかんじ。



    ミステリー界の大御所である田宮は、10年ぶりに長編ミステリーを書くために、秩父の山奥の山荘に篭った。タイトルは「螺旋館の殺人」で本格推理ものだ。しかし、なかなか筆が進まないが締め切りが迫る頃、ある作家志望の若い女が山荘を訪ねてきた。その後、原稿の紛失や盗作騒動などが起こり…



    最初にも書いた通り、どこまでが小説の中身か分からず、普段読むことがない解説まで読んでしまった。解説も本編と似たかんじになっていたから、え?これは解説?まだ小説の一部?と混乱しながら読んだ。


    ネタバレになるかもしれないが、おじいちゃんの夢だったということかな?


    2016.9.19 読了

  • 折原一らしく,叙述トリックがしこまれているが,入り組んだ真相というほどではなく,比較的分かりやすい構成になっている。第一部として書かれている「螺旋館の殺人」も、第二部として書かれている「盗作のロンド」のいずれも,若い頃に小説家を目指した田宮老人が自費出版として出した本の内容だという構成。最後の最後に,折原一がこの作品を同人名義で発表したというオチが用意してある。
    第二部では,作中で沢木という編集者が田宮になりすますという構成になっている。このあたりだけが,折原一らしい複雑さだったが,それ以外の部分は,第一部の原稿すり替えのトリックも含め,やや平凡なデキ。読みやすい,軽い文体や,軽いキャラクターなど,エンターテイメントとしては十分楽しめるので★3で。

  • どことなく、綾辻行人の『黒猫館の殺人』を読んだ後に抱いた感想をこの度も抱いた。話の重厚さに魅せられるが、結局その結末か、みたいな。

  • 「私は被害者であり、犯人であり、作者である」

    大どんでん返しは最後まで止まらない

  • タイトル通り話が螺旋状。
    ヒントはあちこちに置いてある。
    他の作品も読んでみたい。

  • 「倒錯」シリーズの番外編。同じ登場人物が出てくるので、その意味でもおもしろい。どんでん返しの連続。満足である。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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