空手道ビジネスマンクラス練馬支部 (文春文庫 ゆ 2-23)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167528232

感想・レビュー・書評

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  • H29.10.25 読了。

    ・初の夢枕獏の作品。「中年男が、空手のビジネスマンクラスに入門して、そこにおこる体験ーたとえば生まれて初めて顔を蹴られた時に、胸に去来する思いであるとか、40歳になってからやる便所掃除の新鮮さであるとかなどを混ぜながら、中年サラリーマンのおっさんが、小学生の頃胸に抱いていた、強くなりたいという夢に、もう1度挑戦しようという話。」と筆者談。
    ・「人間というのはね、なかなか上手に生きられない。違う言い方をするなら、上手にこだわれない。上手にこだわれないから、こだわりなんであって、そのこだわりは人によって違うんです。
    みっともないこだわりも含めて、いろんなものを抱えているのが人間ですから。」・・・深い言葉ですね。

    ・40代の中年が空手を通して、自分の肉体の変化や忘れていた女性との恋愛や道場生との交わり、腐れ縁のケンカ相手などを通して、生きる上での価値観が変化していく様子が同年代としてうらやましくも面白く読めた小説でした。

  • ヤクザの尾形に土下座させられ、編集者の木原は練馬の空手道場へ通い強い男に変身したのだが……。男なら誰しも強くなりたいと思う! 
    ――新宿で飲んだ帰りに、ヤクザの尾形にからまれて、土下座させられたサラリーマンの木原が、一念発起して、練馬の空手道場に通い始めた。「強くなりたい。ケンカに勝ちたい」の一心で、男の腕前は、めきめき上達した。
    不倫のホテル帰りに、再び同じヤクザの尾形にからまれた木原は、若いOLの手前、りきんだのだが……。
    「餓狼伝」の夢枕漠が描く異色格闘技長編ロマン!

    ミニコミ紙の編集者として、小説家の夢を燻らせながらも、それなりに自負を持って生きてきた木原は、空手道場に通う今江がヤクザの尾形を叩きのめす現場に出くわしてしまい、逆恨みした尾形に木原は叩きのめされ土下座させられる。
    暴力に怯え、土下座させられた屈辱、いまひとつ自分の才能を試すことなどに踏み込めない弱い自分を鍛え直す為に社会人向けの空手道場に通い始める木原。
    そこで出会ったのは、自分の空手の才能を疑い自分の道を決めるのを迷っている今江、腎臓の病気を抱えている岩木、元ヤクザの組長の柏木など、様々な迷いを抱えて空手を習う中で自分の弱さや悔いや屈託と向き合い自分の中の何かを超えようと足掻いている戦友(とも)だった。
    戦友(とも)と拳を交え、酒を酌み交わす中で悩みや葛藤などを打ち明け合い、お互いに刺激を受け合いながら成長していく。
    自分の才能を見切ることに迷っていた今江の成長に刺激された木原が、小説家の夢に再挑戦する決意を固めたり、自分に屈辱を与えた片岡のボクサーを挫折しヤクザに身を落とした暗い過去を知り、片岡との修羅場を潜り抜けて「逃げない」強さを身につける大人の青春ドラマを軸にした格闘青春小説。

  • 40代の会社員木原は、ある夜、若い男がチンピラ達に絡まれている現場に出くわす。

    若い男は、空手の技でチンピラ達を倒し去っていったが、ボクサー崩れのチンピラ 尾形はその場面を見ていた木原を逆恨みし、後日、木原を襲撃し土下座させた。

    この土下座を会社の仲間にも知られることとなり、木原は屈辱に苛まれた。

    強くなりたい、木原は意を決して実戦空手のビジネスマンクラスに入門する。

    そこには、あの夜、チンピラ達を倒した若い男 今江が指導員としていた。

    空手の練習を通して気づく肉体の変化、そして共に汗を流す仲間たち。

    空手から始まった新しい人生に木原はどう生きていくのか。

    本当の強さとは何か。

    様々な人間関係とそれぞれが背負うもの。
    ドラマティックな展開を追う楽しさを十分に楽しめます。

  • 強くなりたい そんな夢に向かう中年男の話
    共感できる。不倫がありの時代の話 過去の小説

  • 空手を習ってみたくなった。
    社会人で始めるのは、
    それぞれの人生で得たものが出てきて
    学生時代とはまた違うものがある。
    新鮮でもあり、面倒でもあり。

    ここで終わっちゃうとはねー

  • 作者の格闘技愛に溢れた作品。でも、読者である私に格闘技愛がなくて、受け止めきれなかった。物語が悪いのではなくて、相性の問題なので、格闘技が好きな人には良いのだろうと思う。

  • 日常に潜む暴力に負けないための空手、という位置付け。

  • うん、中年のおっさんが頑張る話は嫌いじゃない。異様に読みやすくて漫画の如くあっという間に読み終えた。面白かった。終わり方は好みじゃない。

  • 大人の童話。

  • 42歳の作家志望だった男が、ヤクザもんに絡まれ土下座を強要された悔しさから空手を始める。

    師範の秋葉が語る中で、センスがある強い人は最初は分からなくて、努力して練習を沢山積んでから分かるものだというのが興味深かった。生まれ持ったセンスが開成するかしないか努力しだいだということ。

    あと空手だけでは食ってはいけない。一級の成績を残して道場を持って続ける以外は何も残らないとのこと。それはどうかなって思う。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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