- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167545079
感想・レビュー・書評
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小説家として結果を出せず苦しむ夫。優秀な医師として多忙な妻。都会で支え合いながら生活する中、妻は心を病んでいく。夫の故郷信州の山村に戻る決意をする。そこは、母を亡くし父が家を出た後、祖母と二人、自然と共に暮らした懐かしい場所だった。
都会で傷を負った二人に自然は懐が深い。妻は、以前の笑顔を取り戻していく。
タイトルの「阿弥陀堂だより」は、地元の病気で声を失った女性が“阿弥陀堂守”のおうめお婆さんに、インタビューし、その言葉を広報誌に連載している小エッセイからきている。お婆さんの飾らない、自然に同化した言葉は、人を導く力がある。
夫婦はこの山村で人生を過ごす土台を作る。生きていく為の足るを知る。
読後感が心地良い。最後に、この女性たちを写真に撮るのだけれど、あらゆる年代が揃って生活できるというのが望まれる社会なんだろうなぁと思う。 -
南木佳士さんの小説は筋だけ書くと,なんだということになるし,振り回されるような感動があるわけでもないんだけど,読み終わると,静かな心持ちになれる.この作品もそう.非常に読後感がいい.
最近,南木佳士を集中して読んでいるわけだが,こうして,エッセイを読みつつ小説を読んで見ると,小説の舞台裏がうかがえて面白い.実生活の小さな材料をいくつも細部に織り込みながら,ストーリーを紡いでいく技術ってのはほんとにすごい. -
主人公が主人公のようでない、不思議な立場の小説だと思った。妻の美智子や難病の小百合ちゃん、阿弥陀堂のおうめ婆さんの3人の女性たちにスポットは当たっており、主人公はむしろ脇役的存在。ただ、これらの女性たちの生き様を見てだんだんと等身大の自分を自覚していくところは、ビルドゥングスロマンと読めなくもない?
山村でろくに働かずぷらぷらしてるって、相当肩身がせまいと思うのだが、この主人公かなりお気楽。まあ、そうでなければ夫婦ともに病んでおしまいな気がするので、バランスの良い夫婦といえるのかも。とはいえ、喧嘩するシーンが全くないのは違和感ではある。
小説は読むに限る(書くものではない)と思う私から見ると、この鈍感な主人公は明らかに書く側には向いていないと思う。この小説自体のなんとなくぼやけたハッピーエンド風の終わり方もなんかいまいち。 -
心を病んだエリート医者の妻と作家兼ほぼ主夫の主人公。田舎っていいな。闇雲に頑張り続けることだけが人生ではないと思った。
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医者という人の生死に関わる仕事につき、自らも精神を病んでしまう妻。新人賞を受賞したものの次が思うように書けない夫。山の人となり前時代的な生活を続けているおうめ婆さん。病の再発から再起した小百合ちゃん。暗くなりがちな登場人物の設定だがそうならないのは、自然が圧倒的だからなのかもしれないですね。
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追われるように過ごしてる毎日が、なんとなくもったいなく思えてくる。
踵から地に足をつけて生きていくってすごい。
ちゃんと地味を味わいたいものです。 -
小説もいいけど、映画がさらによかったなぁ。
しかしながら、この人の文章は静かな感じがして、好きだ。
この小説も映画も大好きです。お年寄りと都会で神経をすり減らしてしまった人にとても優しい。ああ、本当にいい作品だ...
この小説も映画も大好きです。お年寄りと都会で神経をすり減らしてしまった人にとても優しい。ああ、本当にいい作品だと思います。
ありがとうございました。
素敵な作品でした。
南木さんは、お医者さんなんですね。
死生観が...
ありがとうございました。
素敵な作品でした。
南木さんは、お医者さんなんですね。
死生観が確立されているようでした。
高齢者医療や介護の問題は山積みですが、
おうめお婆さんの様に、生きることを受容できればと思いました。