- Amazon.co.jp ・本 (698ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167567057
作品紹介・あらすじ
江戸時代初期、二代将軍秀忠のご落胤として生まれた幸松は、信州高遠の保科家を継ぐ。やがて異母兄である三代将軍家光に引き立てられ、幕閣に於いて重きをなすに至る。会津へ転封となった後も、名利を求めず、傲ることなく、「足るを知る」こそ君主の道とした清しい生涯を、時に熱く、時に冷静に描く著者渾身の書。
感想・レビュー・書評
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NHKの番組「BS歴史館 今いてほしい!?日本を変えたリーダーたち(2)保科正之」2012.4.27を見て感動し、すぐに本屋に飛んで行きました。
本著の著者中村彰彦氏も出演されておりました。懇切に保科正之の業績を説明する一方、朝敵として認知された会津藩の祖というフィルターを通してしか昨今は語られないことに静かに憤慨しておられる姿が鬼気迫っていました。
同じ出演者の黒鉄ヒロシ氏は「名君中の名君」と絶賛。
そこまで人にして言わしめる人物を丁寧に書ききった名小説です。
正之の出生こそが正之を運命付けたのであり、生涯その則を越えることなく卓越した業績を残したことがよく分かります。
会津藩主として副将軍ということは、現在に直すと福島県知事兼内閣総理大臣のようなものでしょうか。
名君中の名君、リーダー中のリーダーとは正之のほか確かに思い浮かびません。
スーパーマンと番組で誰かが言っており、まさにそのとおり。あの時代に正之なかりせば、徳川体制の崩壊はもっと早かっただろうと確信させます。
経営の一助にと思って軽く読みすすめましたが、この本は深く感銘を受けました。
会津藩の歴史をもっと深く知りたくなる出会いの本でした。詳細をみるコメント1件をすべて表示 -
知られざる素晴らしい功績を残した人がまだまだいるんだろうな。徳川家光の異母兄弟として生まれた保科正之の一生を追う一冊。特に民を第一考えて発令する施策が素晴らしい。
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4-16-756705-9 698p 2012.1.5 6刷
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少し長かったけど、保科正之は気になる存在。
『天地明察』にも登場する賢者。
文中ところどころ、現代に通じる蘊蓄があり、
勉強になりました。 -
長編だけど分かりやすく読みやすくもあると思う。ただ、登場人物のセリフが少ないぶん感情面とか平坦に感じ、司馬遼太郎みたいな小説的読み応えは無いかも。
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挫折
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清流を泳ぐ鮎のように、始めから終わりまで清涼のなかを泳ぐように読めます。
江戸の名君と言えば、真っ先に米沢・上杉鷹山公を想い出しますが、その100年以上も前に、徳川方にこれほどの名君がいたとは知りませんでした。三代・徳川家光の腹違いの兄弟で、会津藩初代藩主。
時代考証は細部に至るまで丹念に調べられており、何より著者の保科正之に対する愛情がひしひしと感じられます。会津藩の家訓15カ条を制定し、「大君の儀、一心大切に忠勤」を第1条に定めたことから、会津藩は佐幕派となって保科正之ともども歴史から遠ざけられたようですが、足るを知り、私心なくことにあたる保科正之像はもっと知られてよいと思いました。読後は、心洗われる気分です。 -
各人物の事績が簡潔に纏められており一気に読み通せた。
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そこそこページ数がありますが、読みにくさは感じません。
会津で「負わせ高」の廃止や江戸城天守閣再建に異議申し立てるところなど、ぐっときます。
保科正之公は、清廉を体で表すような偉人だと思います。
会津藩家訓十五か条も、私はその一に非常に感銘を受けるのですが、一方で、この類稀なる名君を藩祖とした会津藩の末路を思うと、無念というか、物悲しい気持ちになります。