鎌倉擾乱 (文春文庫 た 43-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167629014

感想・レビュー・書評

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  • 鎌倉時代ならコレを読みなさいとすすめられました。3つの短編集『非命に斃る』『異形の寵児』『北条高時の最後』3源頼家、平頼綱、北条高時すべて鎌倉時代の嫌な人物というイメージを持っていたが、私のイメージとまったく違わず、非常に気持ち良く読めまた。特に異形の寵児の頼綱のネットリ感はすばらしくイヤらしく描かれていて、感動的ですらある。鎌倉の狭い土地にミッシリと暑苦しい武家がひしめいている様子を肌で感じられるような秀作。確かに面白かったです。

  • 鎌倉時代の短編集。源頼家を書いた非命に斃る、平頼綱を書いた異形の寵児、北条高時の最後の3編。

  • 頼家から高時まで少し古い史実・エピソードですが、時代背景を知る今なら楽しく読めた

  • 中篇3篇。
    先日読んだ『日蓮』絡みで、平頼綱の「異形の寵児」目当てで読んだが、なんと日蓮は出て来なかった!むじな丸はないわ〜と思ったが、「非命に斃る」は北条家の圧力に足掻く源頼家が良い味出してたし「北条高時の最期」も内管領父子相手と結局は共倒れになる鎌倉時代の終焉が面白かったので良しとする。
    3篇が鎌倉時代の初期・中期・末期を舞台にしているので、執権職の在り方が、将軍・連署・徳宗・内管領・御内人…との絡みで変遷していくのが窺えて興味深い構成だった。安西篤子の解説も◎。

  •  鎌倉幕府草創期以降の、政権内部における苛烈な権力闘争と、幕府の終焉までを描いた歴史小説。
     連作ではないが、時代ごとの中篇3本が連なることで、鎌倉幕府という、日本史上、有数の革命的組織の変遷を俯瞰できる。
     初代将軍・源頼朝ばかりが脚光を浴びやすいが、幕府の実権が北条得宗家、そして御内人へと移っていく複雑な主導権争いを、核となる人物らを清濁併せ飲んだ上で魅力的に描くことで、あざやかに浮かび上がらせている。
     狷介不羈な二代将軍・源頼家の放つ、疲弊した吸引力がせつない、「非命に斃る」。
     内管領として絶大な権力を握り、粛清の嵐を呼ぶ恐怖政治を布いた果てに、実子よりも愛で育んだ主君によって誅殺される、平頼綱の半生を追った「異形の寵児」。
     凡庸な暗君と呼ばれながら、幕府滅亡の際、死に臨んで初めて己が役目を悟った「北条高時の最期」の清々しさ。
     鎌倉という狭隘な土地にひしめき、うごめく土着のもののふたちの血生臭い権謀術数と、時代の異質な構造の奥深さを堪能できる、秀逸な作品集である。

  • 鎌倉幕府の転換点3つを描いた連作。将軍中心から合議制に移行(初代執権 時政)、内政へのスパイ機能確立(9代執権 貞時)、崩壊(14代 高時)。鎌倉幕府は、承久の乱や元寇など未曽有の戦いに目が行くが、それ以外の時期は権力闘争が目立つ。読んでて、もやもやする、、、

  • 後輩君に借りて読破。
    大学受験は科目:日本史なので

    「あ〜」

    とかいいながら読んでました。得宗とか内管領とかなつかしーなと思いながら。

    結構、鎌倉中期とか南北朝時代っておもしろいよね。
    日本史の教科書みたいに簡単に整理できないから。

  • 歴史の主役とは言えない人物を取り上げた短編集である。北条高時は有名だけど、源頼光、平頼綱は、あまり取り上げられることはないのでは。鎌倉時代の幕府の意思決定の仕組みの一端がうかがえて面白い。死と隣り合わせの毎日が恐ろしい。

  • 全1巻。

    鎌倉幕府の初期・中期・終期の話。
    2代将軍、源頼家。
    中興の北条時宗に仕えた、平頼綱。
    そして最後の得宗、北条高時。
    3篇の短編集。
    でも1本の流れ。
    「炎立つ」みたいな構成。

    これはいい。
    なんだろう。
    ずっと底辺にただよう滅びの美。
    ひさしぶりにおおっと思った。

    源頼家、平頼綱、北条高時。
    全てに通して、
    源氏vs北条、北条vs御内方、倒幕vs北条の、
    述べられる側でない、悪とされてきた側の
    視点で書かれているのも新鮮だった。

    特に高時はいい。
    愚鈍の代名詞とされてきたけれど、
    トップの人間でなかっただけなんだ。
    普通の人間が重みと向き合う葛藤が
    なんだかとても切なかった。

  • 3部に分かれており初めに頼家、でも広元に目がいったり
    次は俗に言う霜月騒動、出演がかなり珍しい北条貞時が格好よく見えます
    最後は北条高時、緊迫感が何とも言えずグー

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著者プロフィール

(たかはし・なおき)1960~。東京都生まれ。1992年「尼子秘話」で第72回オール讀物新人賞を受賞。1994年、「悲刃」で第1回松本清張賞候補。1995年、上記作品収録の『闇の松明』が山本周五郎賞候補となる。1996年、「異形の寵児」が直木賞候補になり、1997年、同作及び「非命に斃る」収録の『鎌倉擾乱』で第5回中山義秀文学賞を受賞するなど、本格的な歴史作家として活躍している。著書に、『日輪を狙う者』、『山中鹿之助』、『大友二階崩れ』、『虚空伝説』、『異形武夫』、『湖賊の風』、『裏返しお旦那博徒』、『平将門 射止めよ、武者の天下』、『霊鬼頼朝』、『天皇の刺客』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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