もっとも美しい数学 ゲーム理論 (文春文庫 S 4-1)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167651718

作品紹介・あらすじ

自分の利益を最大にするにはどうすればいい?アヒルの行動から軍事戦略まで「ゲーム理論」なら説明できる。天才数学者が生み出したこの理論が、生物学はじめ経済学、人類学などさまざまな世界を席巻し、いまや「未来の予測」まで視野に入れだした。アメリカ屈指のサイエンスライターが報告する最先端科学。

感想・レビュー・書評

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  • 期待外れ。タイトル負けと言うべきか。
    ゲーム理論の数学的な美しさについてほとんど触れていない。というか数学的な記述自体ほとんどない。
    ゲーム理論が多くの分野に貢献しているらしいことは分かるが、そういう本ならこのタイトルはないだろ。
    Amazonの怖さを久しぶりに感じた。
    途中から猛烈な飛ばし読み。
    なんかゲーム理論自体について書かれた面白い本ないかな。

  • よく、アメリカの新聞は科学記事が優れていて、日本の新聞とは比べ物にならない、と僕は言うが、それはあくまでクオリティー・ペーパーの話。タブロイドはもちろん非常にレベルが低いし、雑誌も「タイム」のような有名なものですら科学記事は扇情的で「はあ?」というものも多い。

    アメリカの科学本やビジネス本も玉石混合で、素晴らしいものもあれば、なんだかなあ、というものも多い。特にサイエンティスト自身ではなくライターが書いたものはお粗末なものが多く、サイドストーリーで適当にごまかして「読み物」としてはまあ面白くしているのだけれど、、、みたいなものも多い。

    本書もゲーム理論そのものについてはあまり触れておらず、むしろサイドストーリー満載で読んでちょうだい、という感じの本であった。サイドストーリーを読み飛ばしていたら1時間以内に読破してしまったというなんだかなあ、の本である。実際に大事な「ミニマックス法」「混合戦略」、「利得行列」、「ナッシュ均衡」、「囚人のジレンマ」などに注目すると半分以上がサイドストーリーナことが分かる。そのあとは、社会物理学とか、心理歴史学へと通じる著者の無理やりな応用論となる。なんとか理論でなんでもできる、、、という全能性を謳って(あるいはほのめかして)しまうと、アメリカの多くのビジネス本のエピゴーネンになってしまう。これであなたもチョメチョメできる、、、、そのエピゴーネンも日本にはとても多いが、こういう語り口はそろそろみんな飽きてこないのだろうか。

    ちなみにサイドストーリーばかりで内容がないのは日本の新聞社説や「天声人語」もそうですね。中国の故事来歴でうんちくを披露するけど、「だからなに?」みたいな通俗的な一般論で終わってしまう。あれもそろそろ飽きません?やめません?僕はもううんざりだけど。

  • ふむ

  • 私がすっかり時代遅れではあるけど、それでもワクワクさせられる本。一時期は学会で持て囃されたよね。でも全てを説明できないって言って、結局ただの流行りでしかなかったみたい。
    最初の「長生きしてたらアインシュタインと並ぶ名をあげていただろう」とか読んで、またエセ科学に引っかかってしまった……って思った。序盤はかなり思想の強い事言うんだけど、中盤からはかなり手堅い数学(と物理学など)で良かった!!!

  • 縦書きの科学書。ゲーム理論とその応用分野、関連分野とのつながりの話が雰囲気だけ述ベられている。

  • ゲーム理論の入門書か啓蒙書のつもりで買ったら、「ゲーム理論でなにができるか」を説いた本なのであった。

    お話は、アイザック・アシモフの「ファウンデーション・シリーズ」から始まる。このSF小説は正直言って未読だが、作中の数学者ハリ・セルダンが作り上げた「心理歴史学」がキモであるという。これは人間の行動を数学的に記述するものであり、ひいては人間社会が今後どのような道筋を辿るかを数学的に予言することができるという。

    スター・ウォーズみたいなおとぎ話でしょ、と一言で片づけるのは簡単だが、ゲーム理論を発展させることでこの「心理歴史学」が実現できちゃうのではないか、という驚きの主張がこの本のテーマなのである。

    ゲーム理論とは要するに(オレにはよくわかっていないので要するしかない)、ある特定の条件下において、利害が異なる複数の主体の間で生じる、戦略的な相互関係、を研究するものらしいが、さらに要すれば、複数者間のせめぎ合いをガクモンするものというところか。

    実際の人間社会の中ではその条件、主体、関係は複雑すぎて、ニュートン的な決定論では割り切れないことがわかって来た。そこに導入されたのが統計力学や確率論で、ここに至ってようやく人間行動の複雑さを解析できる可能性が生まれたのだという。ゲーム理論によって、化学、生物化学といったミクロから、人間個々人の営みや経済行動といったマクロまで、シームレスに統合できる大統一理論が生まれる可能性がある…と壮大なビジョンをこの本は見せてくれる。

    確かに人間は、気体の分子のように寄り集まったり衝突し合ったりしてある「状態」をつくっている。個々の動きは必ずしも合理的ではないし、相手関係によってコロコロ変化する。で、全体としてある方向へと進んでいる。著者は人間を分子になぞらえるのにためらいを感じるようだが、例えばアダム・スミスの「神の見えざる手」とは、まさに人間社会の分子的なふるまいを言い当てているように思われる。

    このほかフォン・ノイマンやナッシュ(「ビューティフル・マインド」の主人公)らの偉業に言及しつつ「ゲーム理論とはなにか」の説明もしてくれるし、翻訳(冨永 星 氏)もこなれていて大変読みやすい本なのだった。

  • 860円購入2011-06-27

  • 簡単には感想は書きにくいが、読み物としても内容を見ても十分に面白い一冊だった。

    なかなか分厚いので正直骨が折れるかと思ったが、ぐいぐいと読み込ませる内容がある。SFの世界が好きな人ならば、それだけで楽しめると思うし、ゲーム理論に興味がある人ならばもっと楽しめるだろう。

    「ゲーム理論」がどこまで飛躍する可能性を秘めているのかは、私などでは判断できないが、すべてのものが「競争をしている」と見れば、そこにゲーム理論を提供できると考えているのは、あながち的外れではないと思う。

  • ゲーム理論の枠組みが様々な学問分野とクロスしていると解説。

  • ゲーム理論が全ての科学を統合する可能性を模索するという、やや大風呂敷を広げた本である。

    前半は、アダム・スミス、ノイマン、ナッシュなど、ゲーム理論の基本的な部分の解説がされるが、後半ではその応用や、通常はゲーム理論と関わって語られないような内容が記述される。

    その理由は本書全体を通じて意識されているアイザック・アシモフの「ファウンデーション」シリーズに場するハリ・セルダンによる「心理歴史学」にある。
    これは、歴史学といいながら、未来予測までをも可能にするフィクションの科学だ。
    本書では、ゲーム理論が「心理歴史学」の役割を果たすのでは、という仮説を元に論じられる。

    その中ではネットワーク理論や物理学など多様な学問が現れるが、そのあたりについては『極東ブログ』運営者のファイナルヴェント氏による解説で適切に補足されている。

    ゲーム理論について一定の関心を持っている方にはオススメの本。

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