春、バーニーズで (文春文庫 よ 19-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 122
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665043

感想・レビュー・書評

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  • 『最後の息子』は読了済です。

    最後のお話が…
    このなんとも言えない気持ち。消化不良。
    「彼女」は瞳?オカマ?
    そもそも「ぼく」は筒井?

    総評として。
    全てにオシャレさを感じる本です。
    流石吉田修一さん。
    こちらも起承転結はボヤッとしている印象。けれどなんだかこのムードがオシャレで私はすきです。
    うん、内容を読むというか雰囲気を味わう小説。よい。

  • 「最後の息子」の主人公のその後を綴った連作短編集。
    装丁がおしゃれで、モノクロの写真がちりばめられていて寂しげな感じです。

    淡々と語られていて…、作中で昔話が物悲しくてむなしいと書かれていましたが、このお話自体そんな感じがしました。
    筒井と閻魔ちゃんの過去がお話の前提にあるからでしょうか。変わらない閻魔ちゃんも、閻魔ちゃんから逃げ出して収まるところに収まって生きている筒井もなんだか物悲しいというかどこか切ない感じです。

    「夫婦の悪戯」のお互いが嘘(でも本当の話…)を言い合うのが面白かったです。2人の動揺っぷりがリアルだった…(笑)
    「パーキングエリア」で、筒井の暴走がどうなるのかと思いましたが、最後は一応ほっとする展開だったので安心しました。なんて素敵な妻なんだ…!
    もしもの別の人生のことを考える、今の人生が嫌なわけではないけれど…現実逃避する気持ち、投げ出して逃げ出したくなる衝動はとてもわかります。

    最後の「楽園」が何故だかわからないけれど、すごく怖くて切ないです。一体誰の視点…?「彼女」はだれで、不慮の事故が何かを暗示しているのか…。

    もう一度、「最後の息子」と続けて読んでみたら何かに気付くでしょうか。


  • 僕の未来があって、君の過去がある
    元気ですか、今の僕です。



    ずっと読みたかった本
    とても写真のバランスが素敵で、小説、とは言い切れない。



    実際には、愛せる人を愛そうとしない依怙地な自分に嫌気がさしたのかもしれない。

  • たった今読了。
    もーーーー!!!!
    吉田修一の表現とは何故こうも毎回胃の奥をギューっと掴まれたような感覚に陥るのか。。。あぁ。。

    『最後の息子』の主人公・筒井のその後を描いた連作短篇集。

    筒井にとっての置き去りにした腕時計はきっと私達の中にもあると思います。
    具体的では無くても何処かに何かを置き忘れたような感覚があって、謎の焦燥感にかられてそれを探しに行ってもきっとそこにはもう何もなくて。

    うーん胃の奥痛い(笑)。

  • 一瞬にして読めたけど、記憶も一瞬にして飛んだ。

    ただ、京王線沿いの決して都会とは言えないところの夫婦の日常の1ピースが描かれていたような。半ば忘れて美化されているのか、心の奥であわーくぼんやりと浮かび上がっているようなストーリーだったように思います。
    パパをやっている男性が過去をぼーっと思い返すのは、なんだか空しさがあります。

  • 最後の息子で閻魔ちゃんのボーイフレンドだった
    あの彼のその後のお話。

    閻魔ちゃんとのエピソードは
    かなりあっさりだったけれど
    この作品は絶対に、必ず続けて読んでほしいと
    個人的に強く強くそう思います。

    月日の流れと環境の変化。

    「オカマのヒモ」だった彼が「父親」になって
    きちんと会社勤めをして。

    ハンドルを45度だけきる。
    携帯の着信音を無視する。
    言い訳を用意して、日常から逃げる。

    そして、自分による自分のための
    自分にしか解らない小さな賭け。

    そうだよね。
    そんな日があるんだよね。


    結局はまた
    いつもの日常に戻るのだとしても。

  • 好きな作家の一人である、著者。
    最近読んでいないなぁ、と図書館のホームページで検索。

    タイトルの響きに惹かれて予約。

    別の作品の続編とは、全く知りませんでしたが、この作品だけでも楽しめました。

    特にこれといったハプニングが起きるわけではありません。
    強いて言えば、主人公の筒井が衝動的に会社を無断欠勤し、携帯の電源を切り、日光まで足を向ける程度。

    あ、ここで夫である筒井と連絡が取れた妻の対応は格好よくて、印象に残りました。

    数年前の私だったら、筒井のような、穏やかで、少しミステリアスで、四六時中、何か小難しい事を考えている―言い換えれば、どうでもいい事も難しく捉えてしまう―男性を、手放しで、素敵!と感じていましたし、前述の妻の対応に憧れて、実践しようと思ったと思います。

    今、読んでみて、こういうの、スタイリッシュだけど、突然失う人間関係の典型なのよね、と思った事に自分でも驚いたのが、最大の収穫でした。

    全体的にバブル時代のようなフワッとした、現実にもありそうで、手が届きそうで届かない非現実的なお洒落さを持った作品です。

    印象的だったのは
    「若い男なら誰でもそうだが、自分には父親よりも大きなことがやれると思っている」
    「若いころには、確実な道が安楽な道に見えることがある。しかし若くなくなると、その安楽な道に必死に引き返そうとしている自分に気づく。」
    という二つの文。

    前者は、男性の特徴の内、私が最も嫌いなもの。後者は、ハッとさせられたもの。
    確実なものを確実なまま保つ事は、本当に大変だから。

    日常を巧みに描く著者の文章力が引き立つ作品でした。
    何かを得られそうで得られないのは、前作を読んでいないからなのか、私が未熟だからなのか。

    もう少し大人になったらリトライしようかな。

    2015年16冊目。

  • 本の紹介に曰く「デビュー作『最後の息子』の主人公のその後が、精緻な文章で綴られる連作短篇集。」
    そうとは知らず『最後の息子』を未読のまま読んでしまいました。読み終えてみれば、どうも前作を読んでおいた方が話のつながりは見えやすい様と思えるのですが、これだけを読んでも中々良いのです。
    日常を切り取ったような短編が5作。ちょっとした事件は起こるのだけれど、事件そのものよりもその背景にある主人公と妻、そして妻の連れ子の三人の「生活」が後ろから見事に浮き上がってくるような、なんかこう、良い雰囲気です。
    やっぱり上手いですね。

  • 瞳の勇敢さに心打たれました。
    強い女って感じがします。
    子持ちだけど筒井が結婚を決めた
    理由がわかります。
    でも、筒井に関しては
    謎が深いと思いました。
    筒井という人物について、、、
    はっきり分かったとは思えません、、
    何かの気持ちを隠し持ってるような

    そして
    最後のストーリーが謎でした。

  • 新宿バーニーズ閉店しちゃった

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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