- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167673017
感想・レビュー・書評
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「螺旋階段のアリス」は
ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」に登場するキャラクターたちが
そこかしこに絡められた、加納朋子さんならではのソフトで優しいミステリー。
大企業を脱サラし
憧れの私立探偵に転職したものの、事務所で暇を持て余している
仁木順平の前に、飼い猫"ダイナ"を追ってきた....という少女が突然現れる。
"ダイナ"とは、なんでも"不思議の国"のアリスが飼っていた猫と同じ名前だとかで
どうやら彼女は「不思議の国のアリス」びいきらしい....。
そしてこの仁木氏こそ、何を隠そう(?笑)密かな「不思議の国のアリス」フリーク
だったことが偶然して、この二人の探偵コンビが誕生(?!)するのです.....
仁木ご夫婦の、お互いの愛情のあり方を確かめ合う形での終わりが
とても印象に残ります。続きも読みたいな...。
子供の頃に読んだきりの「不思議の国のアリス」も、もう一度
読んでみたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
加納さんのミステリーは、殺人事件が起こったり、ドロドロした人間関係だったり…が無く、凄く優しいお話が多いから好き。
最上階のアリス、なんてもう… -
この作者の本、中古本屋の100円の棚に色々置いてあるので行く度に買っていたら、いつの間にやら3冊も積読に入っていた。
まずは1冊手に取って、サクサクと読了。
「転身退職者支援制度」なるものに応募し自ら起業して私立探偵になった仁木順平。
この本が出た200年代初頭、私が在職した会社でも同じように「転身支援」の名の下に体の良い退職勧奨がなされたけれど、何だか時代を感じるなぁ。
携帯電話は出回り始めた頃だが、まだカメラ付きは無く、こうした時代の探偵はなかなか大変ね。
時折舞い込む依頼は珍妙な事件ばかりで、それらを押し掛け助手の安梨紗ともに解決していくといったお話。
7つの話からなるが、謎解き自体は取り立ててのことはなく、読み終わってみれば色々な夫婦の姿が描かれていたことに気づかされる。
ゲームのように離婚と結婚を繰り返す妻とそれでも自分なりに彼女を愛する夫、業績の悪化とは裏腹に会社は順調だと威張るばかりの夫とその心情を察することも出来ず現を抜かす妻、ありもしないことを信じていられる妻と彼女をその世界に留め置くために骨を折る夫、社会的なことは何も出来ない夫とそれを承知で彼の人生に関わる全てを取り仕切きろうとする妻、そして世間に知られるシナリオライターの仁木の妻と違う自分になりたくて会社を辞めて私立探偵になった仁木。
色々な夫婦の形があるが、こうして見れば、私たち夫婦はそこそこ幸せな間柄かもしれないな。
4番目の奥さんなんか凄く夫思いのように描かれているけど、私からするとあまりゾッとしないし。
最後の話の、仁木夫婦の互いの変わったところ変わらないところを確かめ合う姿にはグッと来た。
依頼者や出来事に「不思議の国のアリス」のキャラクターやエピソードが模される趣向だがそれほど意味があるとも思えず、取って付けたような仁木のハードボイルドな探偵への拘りも話のテイストからは違和感あり。 -
サラリーマンから探偵に転身した年配の男と20歳前位の美少女がいくつかの謎を解いていく話だけど、不思議の国のアリスと絡めて話がすすんでいくところとか、主人公と美少女の身辺の謎も溶けていく様子がゆったりとして面白かった。こういうミステリーもいいよね。
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大企業サラリーマンから探偵へと転身した仁木。彼の前に突如現れた、アリスと一文字違いの美少女、安梨沙。彼女を助手に、事件という程でもない依頼を、彼女の閃きによって解決していく。
穴に落ちたのはアリス、君ではなくて僕のほうさ。ぐるぐると螺旋階段を駆けおりるかの如く飲み込まれて行ったのさ。不思議の国の迷宮へ。帽子屋もこの私も、君のいれてくれる紅茶とドレスのフリル擦れる囁きにメロメロだ。
だからもう屋根を突き抜けたり、涙の海で溺れたりしなくていいのだ。等身大の君で耳打ちして欲しいんだ。さあ、この問題を開く鍵は何処だい。
癇癪持ちの女王がこう叫ぶその前に。『この首をはねよ!』
お願いだから、チェシャ猫の様に現れたと思ったら消えたりしないでおくれ。君が可愛いだけのお人形じゃないことはわかったからさ。
せめて、この夢から醒めるまでは。 -
探偵ものと『不思議の国のアリス』がどう結びつくのかと思ったら・・・こうなるのか。
日常系の事件なのに、どこかファンタジーっぽい印象を受けるのは書き方が巧いからだろうなぁ。加納朋子さんの文章、好きです。 -
最後がなー
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アリスファンではないし、ルイス・キャロルもそんなに読んでないので、アリスのフレーズが出てきても反応できなかった。日常系ミステリーと聞いてたけれど、読後感はほのぼのしていない。「最上階のアリス」なんて、いい奥さんぶってるけど結局は・・・だったんでしょ?仁木と奥さんの関係は良かったけど、アリスの家族とか読み終えていろいろモヤモヤした。