時の渚 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167684013

感想・レビュー・書評

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  • 運命の糸が絡まり続ける本格ミステリー。サントリーミステリー大賞は納得。
    大団円後の感動を味わった後に、最後の最後で主人公の運命の糸が、それまでの事件の運命の糸に絡まるという思いもつかない展開(大どんでん返し)で、しかも涙なくしては読めない。やられた!

  • 何年か前にも読んだはずだが、覚えていなくて再挑戦。ところどころ思い出したが、結末は忘れていた。
    GPSでの追跡や92年式のクラウンなど時代設定が古いが、そこに目をつぶれば、親の子を思う気持ちに思わず涙した。良作でしたか。

  • 探偵の茜沢は末期癌に冒された老人から、昔生き別れになった息子を探し出すよう依頼される。やがて明らかになる「血」の因縁と悲劇

    偶然もここまで来るとかえってフィクションだと割り切れる。

  • 「笹本稜平」の長篇ミステリ小説『時の渚』を読みました。
    「笹本稜平」の作品は約3年半振り… 久しぶりですね。

    -----story-------------
    第18回(2001年)サントリーミステリー大賞

    探偵の「茜沢」は末期癌に冒された老人から、昔生き別れになった息子を探し出すよう依頼される。
    やがて明らかになる「血」の因縁と悲劇
    -----------------------

    2001年(平成13年)に刊行された著者の2作目… 「笹本稜平」名義でのデビュー作となった作品、、、

    元警視庁捜査一課の刑事で、探偵の「茜沢圭」を主人公にした人情ミステリです。


    元刑事で、今はしがない私立探偵である「茜沢圭」は、末期癌に冒された老人「松浦武三」から、35年前に生き別れになった息子を捜し出すよう依頼される… 当時、極道だった「松浦」はお産で妻を失い、逆上して医者を叩きのめした、、、

    生まれたばかりの赤ん坊を抱えて街を彷徨っていた彼は、要町で居酒屋をやっているという女性と出会う… 子どもが欲しいのに子宝に恵まれない女と、逮捕されたら子どもを預けるあてもない極道、「松浦」は彼女に子どもを託して刑務所に入った。

    出所した「松浦」は、ヤクザの世界から足を洗って事業に成功するが、死を目前にして天涯孤独の身… 無理は承知だが、生き別れになった息子を捜して財産を譲りたいというのだ、、、

    老人が生まれたばかりの息子を預けたという女性の手掛かりは、当時30歳くらいで要町の金龍という居酒屋をやっていたということだけ… 雲を掴むような話だが、「茜沢」は着実に捜査を進め、彼女が「原田幸恵」――「ユキちゃん」と呼ばれていた人物であることを突き止める。

    35年という分厚い時間の壁を通して、「茜沢」は「ユキちゃん」の影を追い続けていく… 少ない情報の中から息子の消息を辿る中で、自分の妻子を奪った轢き逃げ事件との関連を見出し、元上司の「真田警部」や元シャブ中で通信機器のエキスパート「西尾」等の協力を得ながら少しずつ真相に近づいていく……。


    「茜沢」が、私立探偵として依頼された人探しの柱と、殺人事件の犯人が逃走中に妻子を撥ねたという「茜沢」自身の過去の仇討ちという柱… この二つの流れが意外な形で融合し、パズルのピースがピタリとはまったかと思わせておいてから、違うピースが出てきて、またパズルを組みなおす という二重三重のどんでん返しが準備されており、最後まで飽きずに愉しく読めました、、、

    登場人物が魅力的だったし、家族の絆や愛情について描いた秀逸なヒューマンドラマでもあったし、本格ミステリとしても愉しめる… という面白くて、贅沢な一冊でした。

  • 最後のどんでん返しがおもしろかった。
    子と親の血はつながっていなくとも、時間という壁があろうとも、互いの愛情が何よりのきずなである。

  • 複雑な人間模様が描かれている。人々が生き生きとして、会いたくなる人が多い。ドキドキ、ハラハラし、読み終えたくなかったです(*^^*)

  • 序盤で、「もう展開が見えちゃったな〜。」なんて、得意気に思っていたのが大間違い。(^_^;) 次々に暴かれる新事実に、ただただ驚くばかり・・・。 ちょっと、いじり過ぎの感じもしたけど、ワクワクしながら楽しく読ませていただきました。(*^_^*)v

  • 親子とは何か。深く考える。

  • 血が繋がっていようがいまいが家族の愛は偉大だってことを考えさせられた

  • 久しぶりの笹本作品。

    ある事件をきっかけに刑事を辞め、私立探偵をしている茜沢は余命いくばくもない老人に35年前に別れた息子を探してほしいと依頼を受ける。
    かつて暴力団員だった老人の妻は出産時に命を落としてしまい、途方に暮れていたところ偶然出会った女性に息子を譲ったという。
    互いに名乗らず別れたため、手掛かりは女性が切り盛りしている飲食店の名前だけ。

    一方、かつての同僚から未解決となっている事件に再び動きが見られたとの連絡を受ける。
    その事件とは茜沢の妻子の命を奪い、茜沢が刑事を辞める理由ともなったもの。老人からの依頼をこなす合間に容疑者となった男の動向調査を手伝うことにする。
    やがて2つの事件が1つにつながるが、そこには悲しく切ない事情と茜沢自身が背負っていた数奇な運命があったー。


    おもしろかったです。
    携帯電話や戸籍に関する登場人物の知識が薄いところに作品の古さを感じますが、それもほとんど気にならないほど物語の構成がすばらしい。

    ただのミステリーではなく、心暖まるシーンもあったりして読みごたえがあり満足でした。

    笹本作品、もっと読んでみたいと思います。

    2018年3冊目。

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーをはじめ警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る。主な著書に『ソロ』『K2 復活のソロ』(祥伝社文庫)他。21年逝去。

「2023年 『希望の峰 マカル―西壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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