夜のだれかの玩具箱 (文春文庫 あ 43-10)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167722104

作品紹介・あらすじ

温厚な父が秘めていた40年前の不思議な恋、江戸から消えた女房が見せる奇妙な夢、少年時代の後悔を振りきれない男の帰郷…。切ない恋愛から艶めく時代小説まで自在に描きだす、著者の才が冴えわたる6篇。恐怖や迷いに立ち止まってしまった大人たちの、切なくて、ちよっと妖しい世界を詰め合わせました。自作解説付き。

感想・レビュー・書評

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  • 全6篇の短編集。

    *仕舞い夏の海
    海の表現がとても好きだと感じた。いつか行ってみたいと思った。
    ラストで過去の女性ではなく、今の家族を選択した主人公に感動した。

    *うちの猫は鼠を捕りません
    BARのマスターの雰囲気がとてもよかった。ラストには驚愕した。

    *夢女房
    人はあまりにも簡単に変わってしまうんだなと感じた作品だった。自分も何かの切欠で大きな間違いを犯してしまうのではないかと恐怖した。

    *お花見しましょ
    'それほど親しくない'2人が1点の作文によって関係が変わっていくのがよかった。自分も親友のことを考えさせられ、また、花見に行きたいと思わせる作品だった。

    *蛍女
    元盗賊である坊主、我丈に不思議と惹かれた。山姥のような話だと感じた。これからは蛍に少し恐怖しそうだと思った。

    *もう一度さようなら
    『仕舞い夏の海』の姉妹編。ここでは、仕舞い夏の海での主人公達樹の娘が主人公。
    作中での事故は東北の震災を思い出させた。突然に襲ってきた衝撃、もしかしたら死んでいたかもしれない状況で、他人を思いやる人々に心を打たれた。病床に着きながら、意識の中で事故にあった娘を助けようとすることに感動した。決して濃密に他者と結びつこうとしなかった男が、妻の死の予感に心を動かされた時、人って素敵だなと思った。

    全編を通して、人というものを考えさせられたように思う。とても面白かった。

  • 朝から夜に。

    「仕舞い夏の海」と「もう一度さようなら」が好き。
    特に「もう一度さようなら」の空の絵の思い出に感動する。
    こういう記憶が人を支えるんだろうな。きっと何より大切なものなんだと思う。
    「お花見しましょ」も良かった。
    あさのさんの描く少年はやっぱりいいなぁ。

    そして怖い夜を描いた「うちの猫は鼠を捕りません」に恐怖した。
    こんなBARには絶対行きたくない。

  • 私には合わなかった・・・

  • 全体的にどこか不気味なお話。
    死が復讐する?話が多いかも。


    あとで自分を恥じなきゃならないようなこと、するんじゃないぞ
    お父さんの前の奥さんは消えてしまった人だった
    お父さんは末期の悪性腫瘍で最後にお母さんはその町へお父さんを連れて行こうとする。

    身に覚えのない居酒屋に入ると常連であると言われ次々と自分の好物を出される。
    そこで妻に似ている女性に会う。彼女は夫とうまくいってないといっておりその夫は自分と酷似していた。

    恋人が消えた男の話。
    でも実はその恋人を消したのは誰?

    セフレとの事後の後に棚から落ちてきた小学生の時の作文。その作文を書いたのは死んだ友人だった。

    迷い込んだお坊さんは老婆のご飯とお酒をご馳走になる。お坊さんはもともとは盗賊でたくさんの人を殺め女を犯していた。

    死に近い男と結婚した雛子。1話目のお父さんの子供。父の死と事故。

  • 6編の短編集。

    生を見つめれば死が浮かび上がり、
    その逆もまた然り。

    物語とは、人が生まれてきて死にゆくまでの揺蕩いなのだろうな、と思った。

    仕舞い夏の海と、姉妹編のもう一度さようならが良い。碧い海と、白く泡立つ波の風景が印象的だった。

  • 短編集で読みやすかった。SF

  • 2017年1月17日購入。

  • あさのさんの書く闇はしっとりと深い色をしている。
    だから、「夜」の話は、とてもよく似合っている。

    昔を舞台にした作品は、人の業を描いて、今昔物語のような小泉八雲のような風合い。
    現代を舞台にしても、ある種の残酷さを秘めているという意味で、やはりおとぎ話のよう。「お花見しましょ」だけは、ちょっと違うかな。

    いいな、と思ったのは、「仕舞い夏の海」。「さよならだ」の言葉がすっと胸にとけるよう。この話の持つ力が、続編を生み出したのかも知れません。

  • 短編。

    妻と娘との生活よりもずっと前、
    一緒に暮らしていた人との突然の別れ
    死期が近づいてくるにつれて濃厚になる記憶。
    それでもずっと寄り添ってくれた家族を選択した気持ち。

    うまくいかない夫婦生活、
    不思議な名前のバーに迷い込んだ幻想と現実の狭間。

    美しさゆえに殺められてしまった職人の妻。
    職人の夢にあらわれる妻が伝えたかったこと。
    犯人の欲望が暴かれる瞬間。

    故郷の桜でお花見をした思い出。
    若くして亡くなった友人との記憶。

    女を殺めてしまったことへの恐怖と後悔。
    死んだものたちが、蛍となって浮遊する山。

    自信のない夫婦生活、
    病気の父が教えてくれたこと、守ってくれた事故。

    蛍の話が日本昔話みたい。
    あとがきいるのかな?これは??という感じのあとがきに戸惑う)^o^(

  • 「うちの猫は鼠を捕りません」
    の話が、不思議で少し不気味ですき。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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