鄧小平秘録 下 (文春文庫 い 85-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838164

作品紹介・あらすじ

1976年、毛沢東が死に権力の座に空白が生まれたその瞬間を、〓(とう)小平は逃さなかった。しかし長老たちは隠然たる影響力を発揮し暗闘は熾烈を極める。胡耀邦、趙紫陽、江沢民、胡錦涛…。表の顔を代々替えながらも、改革・開放の道を歩んだ現代中国の四十年を、記者として寄り添い続けた伊藤正が描き切った。

感想・レビュー・書評

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  • 中国の経済発展を導いた鄧小平の生き方を、著者が当時記者として現場で経験したことや多方面の史料をもとに、舞台裏から生々しく描いている。下巻では毛沢東の死後、鄧小平が最高実力者につく政治闘争と、その後の開放発展を進める手法がストーリーの中心。華国鋒、胡耀邦、趙紫陽を退け、江沢民、胡錦涛を選んだ流れがよくわかる。鄧小平は「中国は永遠に覇を唱えず」としていたし、歴史問題についても鄧小平が政治にかかわっていた時期には取り上げられなかったと記録されており、同氏が経済第一を貫いていたことがわかる。習近平の父が鄧小平氏の影響で復職を果たし、考え方も近かった。現在の習近平が鄧小平以降の社会の歪を修正する方向で政治を行っているのは面白い巡り合わせだと感じる。鄧小平は「豊かで強大な中国」の復興を生涯の目標として追及してきたが、一方でそれが民衆の願いであったため、政治闘争に勝ち残ることができたと思われる。歴史を知ることは、ポスト鄧小平時代の中国を理解する上でも役に立つと感じる。

  • 天安門事件からもう23年たってるんですね。
    彼が残した汚点はこれじゃないでしょうか。

    しかし中国の権力闘争はすごいね。
    日本のは政治ごっこ。

  • 3回も失脚して権力者として復活した鄧小平を描いた秘録。失脚させても戻れるような心積りにしていた位に高評価していたのが毛沢東というのが意外というか妥当というか。本心から毛沢東をリスペクトしていたかは不明だが天安門事件での所業は文化大革命体験者という事で読むと腑に落ちる。
    日本の失われた30年はそのまま中国の躍進でもあるが最恵国待遇を与え続けてたアメリカと技術を垂れ流した日本に導いた策略は本書に書かれている権力闘争で培われているものと思われる。

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著者プロフィール

大阪大学大学院基礎工学研究科教授

「2001年 『新しい光の科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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