- Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167838232
作品紹介・あらすじ
昭和前期から新橋で活躍し続けた名妓に詳細にインタビュー。政財界の要人たちの接待の場、伝統芸能の保存継承の場であった花柳界の知られざる姿を紹介。新橋芸者の一日から「旦那」の実態まで、社交界の"表も奥も"描く、本物の日本文化に触れる一冊。著者が名妓と出会った日々を回想した書き下ろし新章を増補した決定版。
感想・レビュー・書評
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コンプライアンスとは誰のためにあるのですか
各々が己の中に節度と良識を持たなくなった現代に
奥ゆかしく誇り高く芸事に励む花柳界の記録を
よくぞ残してくれました
平等を求める代わりに不自由になった今
厳しくも豊かだった昔をうらやましく感じました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
徳川時代からの花柳界の伝統が、戦時体制に入った1930年代の自粛ムードで途切れ、戦後再び賑わいを見せるようになった以降も復活する事が無かったいう話は、工業における技術の断絶にも似ていると感じた。その分野が繊細で奥深くあるほど、引き継いでいく事の価値と難しさがあるのだろう。花柳界の女性が歌舞伎役者を買い、歌舞伎を支えていたという事実などは、人間の性もさることながら、花柳界をポンプにしたお金と芸の流れが見えて面白かった。本書は最後の名妓の証言で、自分には万事縁遠い世界ではあったものの、彼女たちのの気位や心意気を微かに味わえた分、手に取った意味はあった。
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戦中から戦後に掛けて活躍した新橋の芸者の聞き書き。その前後に歴史的な話なども付く。新橋メインであり、特に上方ではまた違う部分もあるかと思うが、一流の土地での芸者のあり方、客との関係、芸者に求められることなどが書かれている。