- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167846015
作品紹介・あらすじ
小学校教員として働き始めた陽介。生徒に舐められクラスをまとめられず悪戦苦闘するなか、起死回生の授業を行おうとするが…(「先生一年生」)。いい大人になったって、人生は初めてのことだらけ。そしてそこには新たな可能性だってあるかもしれない。そんな初めての体験に右往左往する男女をキュートに描く。
感想・レビュー・書評
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新任先生(20代)のクラス受け持ちから、おばあちゃん(60代)の登山まで各年代の人が出会う「初めてのこと」がテーマの短編集。最終話「さよならは一度だけ」で子供に戻って「人の死」を経験する。これが泣かせる話で、70代の大人が主人公でもある。彼が経験するのもやっぱり「死」だ。自らの。ほか、30代の新米パパが、娘が一人で外出することにおろおろし、尾行までしてしまう「はじめてのおでかけ」も微笑ましくていい話。ひらけ、ゴマ!は次のステップへ進むため、新しい扉を開くための呪文なのかな。
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初読の作家の短編集。岩岡ヒサエの表紙につられてジャケ買い。
小学校の運動会。40になったシングルマザーの主人公は、観客席で元旦那と話す。元旦那はまた浮気をしているらしい。そんな中、息子が騎馬戦で落下、手首を骨折する…。(ラストラ40)
まあ、純文学でもないけど、特に大きな事件などもないような一般的な小説で、最近自前で書いているような話の参考になりそうではある。
ただ、まず引っかかったのが1本め「先生一年生」で、あれ?この本もう読んだっけ?と既視感に襲われた。その理由が『きみはいい子』の1本めと、プロットも内容も長さもほぼ同じだったのだ。いずれの作品も、もう一度読みたいと思わないし、両者での違いは最後に酒を飲んで憂さ晴らしするかしないかくらいしかなく、学級崩壊って同じ視点しか書けないもんかなと、その時点でげっそりしている。こういうの、短編集の最初に持ってきたらアカン。
後の作品も、視点はまあいいとして、良く言えば簡潔で無駄がない、悪く言えば現実味が不足していて、特に職業の記載が上辺だけしか感じないものが多い。もっと無駄な部分を書いてあるほうが良いし、本人の気持ちを書いていけば純文学方面にも行けるだろう。そういうところは足りないのに、余計な文章が付いてくるのは気に入らない。
そんな中で、まあまあ読めたのが「ラストラ40」。これも最後の5行いらん。最後の作品の大伯父が死んだかどうかの情報もいらない。それで読後の落ち着きがなくなってる。
解説はほぼ読んでいないが、ちらっと目にしたところだと、ナントカ賞を受賞した作家らしいが、賞を取ってから依頼されて、急いで書いた作品群なのかしらんという印象。もうちょい落ち着いて書かれた作品を読まんとなんとも言えないな。 -
20代から70代の男女のそれぞれの初めての体験を描く短編集。タイトルを訳すと「ひらけ、ゴマ!」。なるほど。
やっぱり、40、50の同世代の物語に共感を覚える。子供を中心とした生活から、共通点を持つ人への出会いと満足感。仕事じゃない、家庭でもない、自己を守る為の何かが必要になる時、おもいきり叫ぼう「ひらけ、ゴマ!」。 -
初めて読む作家。
20代、30代、40代、50代、60代、70代、それぞれの入り口にたって人生の「はじめて」につきあたったいい大人の右往左往を描いた連作短編集。
読み始めると引き込まれ、手に汗握る展開にドキドキしながら一息に読んでしまう。人間いくつになってもオロオロするものだ、みっともなく戸惑いながらも何とか突破すると、そこに新しい地平がひらける、いくつになってもそのくりかえしなのかな。物語の中の人物も言うように「しかし、だからおもしれえのかもな。いくつになっても知らねえことがあって、初めての経験ができる」
テレビの連続ドラマにもできそう(実際、別の作品で第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞を受賞しているようだし)。 -
なんてったって題名が素敵。ちょっと壁にぶつかっても、この呪文を知っていれば、先に進む勇気になる。子どもでも大人でも、それは同じなんですね。
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面白かったので大事に読んだ。久保寺さん存じ上げなかったので、他作も楽しみ。
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面白い!
今読むべき作家と帯で仰ってたけど、
その感じ凄いわかる
おとなになっても、毎日が新しい日々
最後のおっさんの話ぐっときたなあ