新装版 芙蓉の人 (文春文庫) (文春文庫 に 1-43)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901226

作品紹介・あらすじ

NHKドラマ化、決定!天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 久々の新田次郎作品は図書館でお借りしました。
    ☆5つと言いたいが、☆4.444444444...

    大晦日に読み終えた本書、無知故にこのような歴史があったことも知りませんでしたが、出会えてよかったと思える一冊です。

    明治時代の実話、天気予報の精度向上の為、富士山頂に気象観測所を設け冬季の気象観測を初めて行おうとした野中到と千代子の夫婦愛の物語。

    著者の作品では「八甲田山死の彷徨」が好きで、何度も読み返しています。
    今年人生初の青森旅に行った際にもレンタカーを借りて雪中行軍遭難記念像まで行ったことを思い出しながら記しています。

    舞台は冬季富士山頂、自から観測所の設計を行い、氷雪の登山に備える為に装備品を改良し、妻の千代子が一冬を山頂で過ごす為の食糧や炭等の手配をします。

    山頂で観測をするのは到1人のはずですが、それにしては千代子が準備する食糧等の量が多い。

    そう、千代子は到にも内緒で自らも冬季富士山頂での気象観測に同行する準備を進めていきます。

    しかし、そんな2人を待ち受けていたのは想像を超える過酷な冬山の姿。

    山岳物の感動作ではありますが、明治女性の強さと優しさ、愛を描いた感動作でした。

    <あらすじ>
    野中到は、日本の気象予報を正確にするために、富士山頂に観測所を建てることを夢見る気象学者です。しかし、その計画は政府や気象台の反対に遭い、私財を投じてもなかなか進みません。そんな中、到は千代子という女性と結婚します。千代子は、到の夢を理解し、尊敬し、応援する妻となります。やがて、到は富士山頂に観測小屋を建てることに成功し、冬季観測に挑みます。千代子は、一人では無理だと思った夫を支えるため、秘密で後を追って山頂に登ります。二人は、厳しい寒さと高山病に苦しみながら、観測を続けます。しかし、その過酷な環境は、次第に二人の体と心に影響を及ぼし始めます。果たして、二人は無事に下山できるのでしょうか。そして、二人の観測は、日本の気象学にどのような貢献をするのでしょうか。
    この小説は、実在の人物である野中到と千代子の生きざまに基づいて書かれています。富士山の美しさと厳しさ、夫婦の愛情と信念、科学の進歩と挑戦など、様々なテーマが織り込まれた感動的な物語です。


    NHKドラマ化、決定!

    天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。

    内容(「BOOK」データベースより)

    時は明治28年である。正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。そのために野中到は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻・千代子は後を追って富士山頂に登る。明治女性の感動的な物語がここにある。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    新田/次郎
    明治45(1912)年長野県生まれ。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 明治時代、富士山頂に通年観測できる気象観測所を作った人とその妻の話。
    当時はできないと思われてたこと。想像を絶する大変さとしか言いようがない。

  • 父から勧められて。

  • R5.3.5~3.11

    (きっかけ)
    ・好きな作家
    ・富士山測候所について知りたくて
    ・古本屋で100円

    (感想)
    新田次郎さんの八甲田山死の彷徨を読んでいたので「壮絶な山岳小説」はよくわかっているつもりでしたが、別の角度からの「壮絶」がここにありました。
    到の決意の深さと千代子の夫への情熱、目的のためなら「死」を厭わない二人のようすがよく描かれており、心身を崩す二人の心に引き込まれて、読んでいて少々気分が悪くなるほどです。
    二人は生きて地上を踏めるのか、最後の一ページまでドキドキの1冊でした。

    補足:ページ構成は、1冊のうち半分が登山準備編、少しだけ登山、残りの半分が富士観測編です。

  • ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
    そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
    また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
    年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と本当にびっくり。
    しかし、昔の人は強かったんだなー。と思います。ただでさえ、ただの主婦の女性が、たったの数週間、実家近くの低山を歩いて足慣らしして、それで富士山に登っていけるなんて、おそらく現代と比べて基礎体力や基礎的な脚力が本当に高かったんだと思う。現代の20代女性が突然3週間丹沢で足慣らしして富士山に登れなんて無理でしょう。。。そもそもトレーニング最初の1週間は筋肉痛でどうにもならないでしょう。
    そして、一人で2時間おきの気象観測に突っ込ませた気象庁(昔は気象台?)と、それを一人で引き受けた野中到さん、ありえない。ちゃんと計画考えていない。そこはおかしいと思う。
    そりゃ富士山寒いでしょうよーー。マイナス20度で風吹きまくりなんだから、一瞬で死んでしまうよ。。昔から現代への、一歩一歩の進歩っていうのは、こういう無茶や無理にトライして、それを乗り越えられたケースと、それよりももっと多くの乗り越えられなかったケースを踏み踏みしながら、この現代が築き上げられたんだろうなと思うと、ホントーにすごいことです。

  •  気象に詳しく、富士山頂での観測経験のある著者ならではの自然の厳しさが伝わってきた作品。
     自費をも投じて富士山頂での越冬観測に臨んだ野中到の夫人、千代子さんの目線で描いている。
     明治、士族の家、嫁という束縛が強く、形だけでも整えようとする親世代との確執が、例えば、冬山に籠るのに、男装はダメ、モンペもダメ‥今なお共感を呼ぶ。
     新たな時代の幕開け、そして列強諸国と、肩を並べたいがための国の威信をかけ
    夫を支える千代子さんの不屈で、鋭意ある行動に、明治女性の芯の強さが読めた。

  • 読み終えたとき 芙蓉の人ロスになるくらい面白かった。
    少し冬山登山の経験があるのでそれを思い出しつつ読み進めたが、雪の季節の富士山の厳しさは想像しきれない。しかも明治時代の装備…
    健気だけど頑固に到に尽くす千代子すごい。

  • 富士山登山でしょ、と高をくくって読み始めたが、壮絶。あまりに壮絶。
    今と違って装備の整ってない明治28年に、富士山頂上で冬を越すということがいかに難事か。3カ月持たなかったけど、2人とも生還できてよかった。

    何が怖いって、10月の夜に標高2500メートル、真っ暗闇のテントの中でこれを読んだこと。お国のために、という意識はもはやどうでもよくて、雪と氷に囲まれた暗闇の中、歩くこともできぬ体に鞭打って、昼も夜も2時間ごとの気候観測を続ける、その過酷な情景描写に、羽毛たっぷりの寝袋にくるまった自分の体が震えた。
    読み終わっても興奮冷めやらず、テントの外に出てみた時に見たきれいな星空も合わせて心に残った。

  • 体力的には難しい、とか
    女は家庭を守るものだ、などと
    周囲から反対されながらも
    過酷な環境で気象観測を続ける夫「到」を支えるために後を追った
    「千代子」という女性のお話です。

    強いです。

    私だったら、ここまでして自分の意思を貫き通せるだろうか、と
    千代子の静かな強さに感動を覚えました。

    それだけに、ラストがせつなかったです。

  • 「新田次郎」のノンフィクション作品でNHKでドラマ化もされた『芙蓉の人』を読みました。

    「新田次郎」作品は、2年前に読んだ『アルプスの谷 アルプスの村』以来ですね。

    -----story-------------
    時は明治28年である。
    正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。
    そのために「野中到」は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。
    一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻「千代子」は後を追って富士山頂に登る。
    明治女性の感動的な物語がここにある。
    -----------------------

    明治25年(1892年)、日本の気象予報を正確に把握するために、富士山の山頂に観測所を設置しようと、「野中到(いたる)」は富士山に登頂し、冬の寒さに耐えながら気象観測に力を尽くす… 「到」と命がけで夫と行を共にした妻「千代子」との夫婦愛と、気象観測に情熱を注いだ人生を描いたノンフィクションです。


    日々の暮らしに欠かせない天気予報… この予測をより正確なものにするべく、命を懸けた「野中到・千代子夫妻」、、、

    「到」は私財を投じて富士山頂に気象観測所をたて、中央気象台からの「委託」という形で観測機器を借り受けて、前人未到の冬期観測を実施… たった一人、眠る時間も削っての2時間おきの計測を続ける「到」、、、

    一人での観測は無理だと考えた妻「千代子」は、夫を支えるため、周囲の反対を押し切り、娘「園子」を実家に預け、夫の後を追って山頂に登る―― 暴風、雪、低温… 想像を超える自然環境下に置かれた観測所では、室内で終日ストーブを燃やし続けても寒さが増し、壁面は凍りその厚みが増してゆく。

    さらに高所での生活で高山病を発症… 食欲は失せ、食料あれど食べたいものが底をつき、何より寒さと低気圧によって当時の計測機器がことごとく使いものにならなくなっていく。

    献身的な愛情と勇気をもった明治女性の姿を描いたこの傑作でしたね… 夫妻の奮闘、暮らしぶりもさることながら、衰弱し自力で立つことも這うこともできない二人の救出に向かい、凍結した頂上から二人を背負って連れ帰った人たちの心意気にも心を打たれました、、、

    狂ったような暴風と、目も凍傷を受けるほどの極寒… 当時の装備で厳冬の富士山に登るなんて、本当に命懸けですもんね。

    それにしても、「千代子」の精神的な強さには敬服しました… 見習いたいですね。

  • 野中到(のなか-いたる),千代子(ちよこ)夫妻の実話。新田次郎の書く本編はもちろん、最後の解説を含めて面白い作品。最後にエピローグ的に出てくる到と娘の会話に感動させられた。
    『第66回NHK放送コンテスト 朗読部門』の課題図書にもなった。

  • 明治の男の気概と意志を感じる。
    明治の女性の凛とした強さを感じる。
    あの当時の科学技術の水準も低く、材料や機材も素朴な時代の中で、富士山頂に観測小屋を私財を投じて建立し、しかも冬季観察を企てようという誰も考えもしなかったことを祈願し、実行した野中到。
    日本どころか世界的にも類例の無い壮挙であり、当時の民衆も熱狂したという。
    野中到の物語は何度か小説化されたようだが、野中到の影に隠れていた妻の千代子に光を当てたのが新田次郎のこの名作である。
    新田次郎自身がかって気象庁職員であり、富士山測候所に数百日勤務していた経験に裏付けされた冬の富士山の描写は凄みがあり、まるでその場にいるかのような気にさせる。






  •  ♪~芙蓉の雪の精を取とり 芳野の花の華を奪い 清き心の益良雄が 剣と筆とをとり持ちて 一たび起たば何事か 人生の偉業成らざらん~♪ 新田次郎「芙蓉の人」、2014.6新装版文庫、1975.5刊行。読み応えがありました。そして深い感動を覚えました。富士山の頂上での気象観測に命をかけた野中到、そして、その夫を支えるために富士山に登り、観測を共にした妻、千代子の物語。二人にまかせっきりの気象台幹部の情けなさには憤りを。野中夫妻に感謝の気持ちでいっぱいです。

  • 途中から読むのが辛くなるほど壮絶で過酷。
    でも読まずにはいられない熱量があった。

    ちなみに、
    あとがきや解説ってあまり面白く感じないことが
    自分の場合殆どなんだけど、この本はあとがきまで
    読んで完結したって感じました。

  • 意義深く、偉大な仕事に打ち込めること。
    その想いに寄り添ってくれる人がいること。

    この二つ、自分の人生に出逢えれさえすれば。
    その人は大成功したと言えるんだと、思いました。

    ありきたりですが。
    一人で戦うのはある意味簡単で。
    自分に続く二人目を得れること。
    この二人目の熱さで。
    翻って己の人生が決まるんですね。

    この本ではそれが妻でした。
    それが相棒でも友人でも敵でも。
    一人ではない人生になれること。
    そのもの自体が、大事な気がしました!

  • 私費を投じて気象観測の道を切り開いた男と、支えた女。粗筋を知っていたが、明治の夫婦の並なみならぬ覚悟に胸うたれる。しかし、現代ならばマスコミやネットで…と思わないでもない。凄まじい冬山の猛威に挑み、夢半ばで倒れた無念さに涙溢れる。

  • 作者の登山(?)ものはよいですね。過酷な環境に置かれた人の限界の挑戦の物語は引き込まれます。
    明治の時代においてつつましくあらねばならぬ女性が表舞台に立って活躍をした事実は日本における女性の地位を高めることに役立ったのでしょうね。
    他の作品も追々読みます。

  • 確か映画化されたんだよなぁと思い、手に取りました。
    明治時代に富士山頂に気象観測所を建てるために尽力する夫について冬の富士山に登り共に観測小屋に籠った妻・千代子の物語。
    まだ女の人の地位も低かった頃に千代子はしっかりと自分の意思を持ち、行動力を発揮するのだけど、その根底には夫に尽くし愛する気持ちがあってこそなのです。
    千代子は本当に強くて聡明な女性。冬の富士山頂の様子は凄まじく、雪と氷に覆われた小屋での生活は寒さとの闘いで、本当に壮絶。普通の人にはとてもとてもできない。もちろん私にも無理だけど、これをやってのけた女性が本当にいたなんて、すごすぎる。
    所々で出てくる手紙や報告書の文章が当時のままの昔のものなので、きちんと読解できない自分がもどかしかったです。
    そして読み終わってから新田次郎さんが書いたものだったと気づいた。さすがの筆力。

  • 究極のブラック職場で奮闘された野中夫妻には素直に感嘆。

  • 映像化しているらしいので先に原作を。。と思い
    読み始めたが、意外に淡々とした感じ。

    あとがきに実際に会った時について軽く触れられているが
    その後、どんな人生を送ったのかも気になる。。

    今は本当に便利な世の中だと痛感。

  • 新田さんのその他の作品も見てみたいと思いました。
    富士山に登ります。

  • 冬季の富士山頂での気象観測に挑む夫を追いかけて、富士山に登り、厳寒の観測小屋にともに籠る妻の千代子。

    それは、現代の私たちが想像する気象観測のイメージを大きく超えて、未知の極地探検のような、命がけの過酷な事業。

    彼女の強さに心を揺さぶられ、偉業を成し遂げる人のすざましい力を思い、それとともに、そういう力を前提にして成果だけを求めようとすることのずるさ、危うさを感じました。3つ目については、この作品のことではなく、読んだ私の個人的な思いであって、感想とするのは間違いなんですが。

    作者の新田次郎さんは、実際に富士山での観測に携わった方でもあり、偉大な先人への敬意をもってこの作品を書かれたのでしょう。淡々とした描写がかえって胸にせまります。

  • 2015*09*18

  • 次郎さんの小説でした

  • 富士山での生活は本当に過酷だったんだなと思った。

  • ドラマを見ました。想像を絶する極寒生活、死を覚悟してまでの使命…史実だなんて。夏の富士山ですらあんなに寒いのに…

  • 【NHKドラマ化、決定!】天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。

  •  明治の時代、正確な天気予報をおこなうために、体力と気力の限界に挑んだ夫婦がいました★ 私財を投げ打って富士山頂に気象観測所を創った野中到。そして周囲の反対を押し切って夫と二人、命がけの観測に身を捧げた千代子。この夫婦は実在の人物だと言います。

     震えて読みました。山頂の観測所を襲う寒さは厳しく、活字の向こうから寒波が迫ってくるようです。しかも、高山病とのダブルパンチ! 死の崖っぷちをさまよいながらも、二人は決して降りようとはしなかったのでした。
     たった一人では到底成し得ない作業であり、千代子の選択は大きな助けとなったけれど、あまりにも大きすぎる犠牲が伴ったのでした――

     史実に基づいて著者が丹念に調べていなければ、成立し得なかった小説です。ただ、調査結果を並べ立てられても、心の奥まではきっと届かなかったでしょう。なぜ、この作品は私の心を揺さぶるのか!? それは、難事業だけではなく、そこに身を投じた夫婦の生きざまが書かれているからだと思うのです★

     新田次郎は、死に近いところへと登っていく登場人物を、「生かす」ところから始めています。う~ん、どう書いたら伝わるだろうか……。野中到にも、千代子にも、魂がある★ 彼らは生きていて、生きた人間が死に近い場所にアタックして、くるしみながら、でも「やめない」ということを選ぶのです。

     苛烈な状況にさらされたなかでも、「やめない」ことの凄さ。ほかの動物と較べたらあまりにも脆弱な肉体である私たちは、「やめない」ということによって、環境に打ち勝とうとするのです。これが人間の力だ! 特に「昭和の日本人」らしい生きかたに胸を強く打たれ、不覚にも涙しました★

    『氷壁』『マークスの山』に並び、山岳小説が好きな人に、「絶対」をつけておすすめする本です。そういえば、『ホワイトアウト』を読んだ時も新田次郎を思い出したな★(で、やっぱり泣いた)

  • 時は明治28年である。正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。そのために野中到は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に籠もった。一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻・千代子は後を追って富士山頂に登る。明治女性の感動的な物語がここにある。

  • 壮絶過ぎる。
    実話がベースとは…。
    自分の目的のため、冬の富士山頂上に一人で籠ろうとする男もすごいが、幼い子どもを残して夫とともに生きようとその環境に飛び込める女もすごい。
    事実、あった話なんだよね……。
    明治という時代だからか、壮絶でひたむきだ。

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著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

新田次郎の作品

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