明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫 う 11-19 髪結い伊三次捕物余話)
- 文藝春秋 (2015年1月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167902728
作品紹介・あらすじ
デビュー二十年! 大人気シリーズ第十一弾伊与太が秘かに憧れて、絵にも描いていた女が死んだ。しかし葬式の直後、彼女の夫は別の女と遊んでいた……。江戸の人情を円熟の筆致で伝えてくれる大人気シリーズ第十一弾!
感想・レビュー・書評
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シリーズ11作め。
作者はデビュー20周年だったそうです。
廻り髪結いの伊三次は、町方同心の不破親子の手伝いもつとめているため、捕物にも関わっています。
だんだん、若い世代の話が増えていましたが。
今回は伊三次の出番が続き、女房で芸者のお文姐さんのいいシーンもあって、古くからのファンも満足する短編連作となっています。
「あやめ供養」
伊三次が髪結いに行ったことのある町医者の家族に事件が起こり、容疑者として直次郎の名が。
久々の再会に驚く伊三次。
直次郎はすっかり良い父親になっているようなのだが?
「赤い花」
魚問屋の末娘は、大柄な男勝りで店にも出て働いている。
そんな娘に、縁談が‥?
「赤のまんまに魚そえて」
伊三次の弟子の九兵衛に、髪結いに持っていく台箱を誂えてもらうことに。祝いの席の準備が始まります。
老舗の若旦那の髪を急に頼まれた伊三次だが‥
「明日のことは知らず」
伊三次の息子の伊代太が通りがかりに見かけ、ほのかに憧れていた女性の身に何が‥
一方、大名家に奉公に出ている不破の娘・茜は、後継ぎの若様の世話をしていました。身体の弱い少年の覚悟と諦念と優しさ。
離れている二人が、ふと互いを想う。
人情味ある展開で、しみじみ。
文庫化された2012年、作者は闘病中で、惜しくもその後亡くなられました。
まだ読んでいない作品を少しずつ読んでいきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
明日のことは誰にもわからない。思いもよらず幸せが訪れたり、突然の災難にあったり。そんな人生の機微を人情味たっぷりに描く人気シリーズ。
四十の声を聞き、伊三次の性格も丸くなって涙脆くなってきた。自身の子供の成長に親ながら驚き、親しい人物の訃報に嘆く。時代は違うといえども、この年齢になると思うところは一緒なんだなあと思う。 -
面白かったです。そんなつもりもなく、何となく、謎を解いていく伊三次さんの人柄がとても良いと思いました。
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1編1編はとても楽しい。やぶ柑子という1編が好き。
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伊三次が帰って来た。やっぱり主人公は伊三次とお文。