奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ 食と農の都・庄内パラディーゾ (文春文庫 い 86-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903237

作品紹介・あらすじ

「美食の都」にようこそ!日本海にほど近い小さな町に建つ伝説のレストラン。天才シェフが供する「地場イタリアン」の背景には地方再生のヒントが隠れている。

感想・レビュー・書評

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  • 庄内が「食」で熱いらしい、というのは、「どっかで聞いた気がする…」というレベルで、どこのサイトで見たんだか…なのですが、そんなうっすらうろ覚え情報をいったん綺麗にする意味で、本著を図書館の棚で見つけたのは正解だったなと。
    庄内という土地、意識しないと辿り着かない場所かもしれません。昔、「山形県唯一の離島」に行こうと思って酒田駅に降り立ちましたが、本著のようなキッカケを持つと訪れるべき理由が明確になって、そうして訪れるべき場所なのかもしれません。

    本著におけるメイン題材は、もちろん奥田政行シェフで、もちろん「農の革命家」山澤清さんや他の登場人物(単一テーマのノンフィクションと捉えたら多い)も素晴らしい彩を添えておられ、それこそが著者の作り上げた世界なんだと思います。
    その観点では、著者による本著の組み立てがいかに見事だったか。ノンフィクション作家として長いキャリアを持ち、カズだったり小澤征爾だったり水戸岡鋭治だったり、有名人を「料理」してきた著者だからこそ、の組み立ての妙があったのだと思います。
    ※この文庫版解説は、本著に影響されて山形県鶴岡市に移住された方が担当されており、いやこれ以上の人選ってないですよね。。

    さて、取りあえずは奥田政行シェフの描写。
    逆境の中で、料理の素材を「愛に変わるまで知り尽くす」という狂気や、『エスコフィエ』(1903年刊の伝統的フランス料理のレシピ集)をそのまま受け入れるのではなく、日本の風土に合わせて考える(いや、並大抵のことじゃないと思いますよ)工夫。
    この時点で、絵に描いたような「守破離」が身についておられる…。教本がある中で思考停止することなく、自分の感覚と思考を信じる力と言うか…相当自信が無いとできないことなので、これが仮に自分のフィールドだったとして、自分にそこまでのアウトプットが出せるか?と考えさせられました。

    また、「一皿に塩、旨味、焦げ、脂の4つを揃えることを自身の禁じ手とする」という奥田シェフのスタンス。
    水が上から下に流れていくことをよしとしないスタンスですよね…。燃え盛る現場に敢えて飛び込んでいくタイプと言うか、憧れは持ちつつも真似はできないなと思ってしまいます(笑
    しかし、それだけ食の世界が多様化しているってコトですよね。単純なアプローチはもう人の歩いた道だというコトなのでしょう。食の道も、茨の道なんですね……。

    とりあえず、なんか野菜がもっと食べたくなりました(笑
    そう思いつつ、「仕掛け人」である著者の作品をもうちょっと読んでみようかな、という思いになったところです。

  • 食文化に対する使命感

  • 後書きにも書いてあったけど、良くも悪くも東京の人が書いた文章。
    一番荒いのは、農家の収支の読みが甘すぎるとこ。
    それ以外は、徳島の奥田さんに出会いたいと思えるような内容でした。

  • 20150423読了

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