- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167903282
感想・レビュー・書評
-
サイバー犯罪捜査官とサイバー犯罪の元容疑者がタッグを組んで個人情報絡みの事件を追いかける警察小説。 元容疑者である武岱のキャラが立っていて、その存在感に本筋の話が絶妙にフックアップされている。
「XPウィルス」の作成と配布の罪で逮捕された武岱は2年に渡る勾留の末に不起訴処分となるも、長期の勾留期間によって蝕まれた彼の身体は痩せこけ釈放された頃には骨と皮の亡者然に成り果ててしまう。しかし、その2年後には驚くべきことに彼は筋骨隆々・頭脳明晰というスーパマンへと変貌を遂げていた。 そんな武岱がかつて自分の取調べ担当だった捜査官とコンビを組むという「設定」を軸にして、主要登場人物達(主に警察関係者)のキャラが本筋の流れの中で自然に深掘りされていくのが良かった。
手垢のついたような構成の話だとしてもキャラに魅力・奥行きがあると見える光景が全然変わってくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マイナンバー制度、冤罪事件、マスコミの偏向報道、警察の横暴捜査など、現実に今起きている、また今後起こりうる問題がてんこ盛り。
その上で、物語としてエンターテイメント性抜群で一気読み。 -
丁寧に積み上げたディテールと強い物語でみっしりと組みたてられた警察小説だった。いますぐにでも起き得る事件の舞台は、2015年から見るとほんの少しだけ未来で、おそらく2010年代後半。
われわれの世界とはちょっと違うコンピュータウイルスが猛威をふるった数年後。ウイルス作者の誤認逮捕と釈放。民間委託された行政サービスシステムの、開発責任者の誘拐。見えない動機。誤認逮捕されたエンジニアとの奇妙な協力関係。現代的なプロファイリング。「民間企業のエンジニアがときおり見せる座り方」。戸籍統一文字。多重下請け、8世代後。Nシステム。住基システム、マイナンバー。顔認識、顔紋。エンジニアの地獄。「バカのつける暗証番号」。上層部の腐敗。位置情報。トリプルSIM。Dvorakとショルダーハック。そして、ビッグデータと復讐譚。 -
難しかった! でも面白かった!
IT産業の下請け体質のひどさとか、いろいろ知れた。
サイバーのことはほとんど解らないけど、私と同様に解らない人が沢山いて、そこに付け込んで、あわよくば気づかれないだろう、という犯罪が沢山あるんだろうな。マイナンバー制の犯罪は、本当にひどい。 -
近未来というにはあまりに現在進行形な小説。それだけに、実務への示唆に富んでいる。
-
バディものを想定していたら、不仲でした。中盤まではアレですが、そこから終盤への追い込みは勢いがあって、良かったです。私の知っている限りだと、4次受けが最大ですが、再派遣は日常。忙しいくらいで、あの人はそこまで壊れるか?と思える人は幸せです。
-
藤田太洋初めての警察モノ。当然ITがらみの話はどんどん出てくる。以前、ウィルス作成の疑惑で誤認逮捕された容疑者が犯罪を明かしていく。面白いキャラクタが揃ってるのでシリーズ化を期待したい。