新装版 海王伝 (文春文庫) (文春文庫 し 5-30)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905521

作品紹介・あらすじ

海と船へのあこがれを抱いて対馬で育った笛太郎は、海賊船黄金丸の船大将となってシャムを舞台に活躍するように。シャムのバンコクは明国の海賊マゴーチの本拠地。マゴーチは笛太郎の実父だが、笛太郎が異母弟を殺したことから親子の宿命的な対決が始まった――。戦いの果てに、笛太郎は「狼」から「王」へ変わることができるのか? 海に生きる男たちの夢とロマンを描いた直木賞受賞作「海狼伝」の続編。

感想・レビュー・書評

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  • 能島小金吾を亡くした黄金丸は種子島、琉球を経てシャムへと辿り着く。シャムでは異母弟である馬剣英と出会い黄金丸を奪おうとする馬剣英を返り討ちにする。それにより父親である馬格芝(人見孫三郎)率いる海賊衆が黄金丸を襲うも三郎などの活躍により格芝を捉えることに成功。実の父と対面するも日本時代の記憶はないと言われ対馬で待ち続ける母のことが可哀想になる。次の面会の時に格芝は隠し刀で笛太郎を襲うも牛太郎が庇う。牛太郎はその傷により死んでしまい笛太郎は実の父に復讐を誓うところで話が終わる。牛太郎は紀州の山出身で動物の心が分かる心優しい人物で笛太郎は牛太郎を側に置いていた。それは海賊の船大将として優しい心を捨てなければならない笛太郎が補うため近くに置いていたが最後牛太郎が亡くなったことでその優しい心も無くなってしまい今後笛太郎は悪としての所業を行うことに抵抗無くなってしまうのか。

  • 新型コロナによるステイホームの環境下、もっぱら帆船模型造りと「読書」に明け暮れる毎日だが、本書は予想以上に面白く、久々に夜が更けるのも忘れて読み切ってしまった。
    海を舞台にした時代小説は少なくないが、その中でも白石一郎は、海洋冒険小説を数多く書き、強い印象を残している。
    「海狼伝」はその中でも最高傑作と言われ、「海王伝」はその続篇である。本書は昭和62年7月に第97回の直木賞を受賞している作品だが、いまでも全然古びていないのが見事。戦国時代終盤、対馬で海と船へのあこがれを抱いて育った少年が航海中に村上水軍の海賊衆に捕らえられ、以後は水軍と行動をともにする。そして様々な経験を経て、いつしか比類なき「海の狼」へと成長していく。
    迫力満点の海の戦闘シーンが随所に出てくる、まさにまぎれもない海洋冒険小説だが、主人公が陸の国境に縛られず、海賊衆の掟にも縛られず、あらゆることから自由になっていることが、この物語に「自由な風」と「躍動感」を与え、読者を引き付けるのかもしれない。 (ID194 田中嘉明)

  • つづきがー。ここでしまいか!!!

  • 歴史背景などの説明がうだうだ続くようなことがなく、ストーリー展開のスピードがちょうどよくて、あっという間に引き込まれた。続きが読みたかったな。

  • 夏に相応しい歴史冒険小説。村上海軍の流れを持つまじめな海賊、つまり盗みはしないが戦いを挑まれたら徹底的に相手を粉砕する。日本を出国して明(中国)を目指すがシャム(タイ)のアユタヤに行き着く。そこで戦いを挑まれながらら次はシャムとビルマ(ミャンマー)の争いに巻き込まれる。そして最後の大勝負は元村上海賊でシャムを根城にする明の海賊(つまり日本人)の大物。主人公とこの大物海賊は浅からぬ縁があり…その息子に挑まれた一対一の決闘で殺してしまう。そこから大海賊の攻撃が始まり。
    となんとも壮大で夏向きの小説。読後も爽やかに終わった。

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著者プロフィール

白石一郎(しらいし いちろう)
1931年11月9日 - 2004年9月20日
釜山の生まれの作家。終戦までは釜山、戦後は佐世保市で育った。長崎県立佐世保北高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。双子の息子がおり、白石一文・白石文郎両名ともに作家となった。
1987年『海狼伝』で第97回直木賞、1992年『戦鬼たちの海—織田水軍の将・九鬼嘉隆』で第5回柴田錬三郎賞、1999年『怒濤のごとく』で第33回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。

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