ペテロの葬列 上 (文春文庫 み 17-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905842

作品紹介・あらすじ

待ち受ける驚愕の展開。ドラマ化もされた話題作、待望の文庫化杉村三郎が巻き込まれたバスジャック事件。実は、それが本当の謎の始まりだった――。『誰か』『名もなき毒』に続くシリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 『ペテロの葬列 上』―杉村三郎が開く、社会の暗部への扉

    杉村三郎シリーズ第3弾の『ペテロの葬列 上』を読み終えた今、心は複雑な感情で満たされています。物語は、老人によるバスジャック事件から始まります。この一見単純な事件が、実は日本社会と人間の心に潜む深い闇へと続く入口だったなんて、誰が想像できたでしょうか。

    杉村三郎は、ミステリの主人公として、またしても事件に巻き込まれます。しかし、彼のこの事件への関わり方は、ただ巻き込まれたというだけではありません。事件に足を踏み入れる彼の姿勢は、時に深い思索を促されます。園田編集長の過去と事件との繋がりは、さらに物語に複雑な層を加えています。

    下巻への期待は膨らむばかりです。この上巻が描き出した、社会の裏側と人間の心理の奥深さは、下巻でどのように展開されるのか。杉村三郎としては、これまでにも多くの事件に巻き込まれてきましたが、この『ペテロの葬列』は彼にとっても、また読者にとっても、特別な意味を持つ物語になりそうです。

    杉村三郎シリーズを追い続けてきた私としては、この物語がどのように紐解かれていくのか、その先にある「真実」が何なのかを知ることが待ち遠しいです。『ペテロの葬列 上』は、ただのミステリー作品を超えて、社会と人間の本質に迫る問いを投げかけています。

  • 杉村三郎シリーズ③
    「名もなき毒」から2年経過した設定。

    バスジャックに巻き込まれた三郎と編集長の園田瑛子。事件としては、本書の半分で解決したかのようにも見えたが。
    そこから拡がる波紋とナゾが読者を掴んで離さない。

    金銭目的ではない犯人の要求の違和感。編集者の秘密。犯人、人質たち、バス運転手もひと癖感じる。

    セクハラ、パワハラ、詐欺、自己啓発セミナー、洗脳と散りばめられた社会問題がどう終着するのかも見ものだ。

    題名「ペテロの葬列」所以にはまだ想像もつかない。下巻へ!

  • 杉村三郎シリーズ第3作目。2作目の「名もなき毒」から2年後の事件という設定らしい。今度はバスジャック事件に遭遇し、その時死亡した犯人の謎を追っていく物語。どうも過去の極悪詐欺事件が絡んでいそう。
    何十年も前のテレビの生中継で顛末を見たことのある恐ろしい豊田商事事件もリアルに話に出てきたり、バスに同乗していた前作でも登場している女編集長の謎も今回明らかになっていきそうでそれも興味津々。
    1作目の「誰かsomebody 」の杉村三郎がシリーズ化されるとは思っていませんでしたが、こうしてシリーズ化されると次への展開に期待が高まっていくのが止まりません。
    上巻ではまだ何も解き明かされておらず、これからの展開にワクワクします。読み終えると同時に下巻を買いに走りました。

  • Audible読了
    僭越ながら、みゆきさんはホームのような感じ。
    他のミステリーだと「この先の展開は…」と頭の20%くらいを使えるが、宮部作品は細やかな人物描写に心を奪われて、それを忘れる。人のコミュニケーションは、言語と非言語で4:6ともいわれるが、まさに言外のコミュニケーションの方が雄弁で、それを推し量れる登場人物たちもまた魅力的だ。

    さて本シリーズは比較的レビュー点が控えめながら、私にはとことん刺さる。主人公の内観が理想的だからだ。一言でいえば思慮深い。こうありたいと願う目標みたいな人物だ。シリーズを長く続ける理由も、ひょっとすると作者自身が、杉村三郎という人物を特別に好きだからではないか、と邪推する。

    松本清張を読んだ直後に、この作品を手に取れたことは幸運だった。全く先の読めない上巻。ページをめくる気持ちが逸って仕方がない。


    が、Audible配信は9/29だと。久方ぶりに愕然とした。

  • シリーズ物だったから買った一冊。

    主人公が事件に巻き込まれる話しだった。

    バスジャックはしょうがないけど、その後の事は自ら首を突っ込んで事件に参加してる様に感じる。

    丁寧過ぎる行動で、謎や疑問が湧きそれを解決しようとして事件に巻き込まれている。

    性格なのか?

    上巻では謎ばかりで、壮大な前振りを読まされたように感じスッキリしない。
    下巻で全ての謎が解決しスッキリしたいと思った小説でした。


  • コナンばりに事件に巻き込まれる杉村三郎ですがそれを極力違和感なく書いてるところが流石だと感じました。
    前作の名も無き毒と同様に今回もおそらく2つの事件、バスジャック事件と新聞会社の殺人事件が複雑に絡み合ってきそうな予感がします。割と、後半にいろいろな展開があったので下巻が楽しみ!暮木老人怪しいな。

  • 杉村さんシリーズはあまりにも面白くて地に手をついて愕然とした思い出がある。それは前作「名もなき毒」しかり、本作も圧倒的な人間の業を見せつけられるからだ。杉村さんはいつも間に合わない。バスジャックに隠された謎、家族との関係。いつもラストは静謐さを感じる。シリーズの一つの区切りとなる本作は是非多くの方に読んでもらいたい。

  • 宮部みゆきのペテロの葬列を読みました。

    杉村三郎シリーズの3作目で、今回は杉村三郎がバスジャックに遭遇してしまいます。
    バスジャックをした犯人は弁舌のたつ教師のような老人だったのですが、杉村三郎はそれが誰なのか、なぜこのような事件を起こしたのかを調査していくのでした。

    今回の事件については犯人の動機と犯行内容に必然性・納得性があまり感じられなかったのは残念でした。

    杉村三郎は最終的には謎を解決していきますが、解決途中での対応が結果的に後手に回ってしまうように描かれているのは作者の意図なんでしょうね。

  • 杉村シリーズ初の上下巻
    宮部みゆきでこれはもう長編とは思わない( ̄∀ ̄)

    ついにデッカい事件に巻き込まれました。
    どんどん引き込まれるこの感じ…
    やっぱり上手いなぁとm(_ _)m

    一気に下巻に突入しますε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

  • 今多嘉親という人が一層好きになった。
    こういう歳のとり方をしたい。
    さすが大企業の頭取だよなと思わせられるすごい器の人。
    下巻も早いとこ読みたい。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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